前世記憶

話にはよく聞いていた
子供が母親の胎内の記憶や前世を語るという
不思議な現象のことを

ウチももしかしたらあるのかな
いや案外何事も起きないかもしれない
そんなふうに思いながら過ごしていたが
それは唐突に始まった

子供のおやつに焼き芋を出した時のこと
椅子に座った子どもが言った
「かーんしょ、ふふふ」
これは偶然なのか?
甘藷という言葉を知っている歳ではない。
まだ平仮名さえおぼつかない3歳なのに。

このとき
母の私がどんな顔をしていたか…
おそらくは、ご想像の通りであろう。

そのことを忘れかけたころのこと。
数字を書くのにハマり、一心不乱に数字を書いていることが多かった我が子だが、
1、3、5、7、9、11、、、
奇数だけを並べていることがあった。

もちろん、奇数という概念を教えたことはない。
単にひとつ飛ばして書いただけということもあり得るし、
などと思ってあまり気には留めなかった。

そしてまた別の日。
1920
と書いていた
いつも数字は区別をしていて
19  20 21 というふうに空間が空いているのだが
その日は 1920
まるで西暦のように見える
もしそうだとするなら戦時中か?
まさか…

それから数日経て驚きの発言を聞く。

「しょうかいき」

消化器?消防士さんかなー
なんて呑気な返しをした母にひとこと

「ひこうきだよ」
「しょうかいき」

もう一度はっきりと哨戒機と言ったのだ

それが何かを知らない母は検索して知った
まさかこれは前世の記憶なのか…?

他にも奇妙なことがある

トミカなど
子どもらしい遊びも好きだが

伍代夏子が好きだったり
時代劇を見たがったり
アニメをかけるとニュースにしろと怒る

中身、
ぜったいお爺ちゃんだよね…

という不思議なうちの子である。


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