私たちつき合っているの問題

「ねえ、どうしてまりかを口説いてくれないの?」
「口説くって何だよ?」
「好きとか嫌いとか、つき合っているとかいないとか」
「じゃあ、嫌いでつき合っていない、と言えばいいのか?」
「もう」


まりかは、タカシの裸の肩に顔を埋めた。


「だからこうしてるんだろ?」

だから、って何がだからなの?
マッチングアプリで知り合って2か月、タカシはまだ、まりかにつき合おうと言ってくれない。
なぜ言ってくれないのかとたずねると、

「そんなに器用じゃないから、あっちこっちはできないよ」
「忙しくて、ほかの人に会う暇なんてないよ」
「2度目に会ったときにキスしただろう?」

と、はぐらかす。
かと思えば、初めて体を重ねたあと、まりかが恋、始まっちゃったねと言うと、彼は、初めて会ったときに始まっていたよ、と、言ったりもする。


つき合おうと言ったって、浮気をする殿方もいるし、がっつりつき合っていたって、別れるときには別れる。
まりかだって、そうだったじゃないか。


でも。
でも、である。
やっぱり、けじめのひとことがあってもいいんじゃない? と思う。
ひとことがないから、半日既読がつかないと、不安で眠れなくなるし、まりかにはもう興味がないのだと、根拠のない不安おばけに人生を乗っ取られそうになる。


私たちつき合っているの問題。
恋の悩みは、10代も50代も、さして変わらないのである。



それにしても、私たちつき合っているの?

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