Sequoia CapitalがVCファンドのモデルを覆す

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世界で最も歴史のある、成功しているVCの一つであるSequoia Capitalが、上場企業への出資を含む、アメリカおよびヨーロッパへのすべての投資を行う単独運用ファンドを設立することが明らかになりました。

なぜこれが重要なのか:VCはイノベーションのための資金であるが、VC業界自体がイノベーションを起こすことはほとんどありませんでした。これは根本的な例外なのです。

・Sequoiaでパートナーを務めるRoelof Bothaによると、「VCのモデルは時代遅れだと思っています。私たちVCとファウンダーの関係性は妙なのです。IPO直前になると、私たちが取締役会を降りてくれるか、株式をすぐに手放してくれるか確認してくるのです。彼らはこれからさらに価値が高まっていくにも関わらず、なぜこれがデフォルトになっているのでしょうか。」

詳細:このSequoiaのファンドはオープンエンド型(いつでも換金可能)のファンドで、すなわち将来のSequoiaのサブファンド(シード、ベンチャー、グロース等々)の唯一のLPとなります。サブファンドのマネージャーはそれぞれの期待収益に合わせ、いつこの資産をSequoiaファンドに組み込むのか決めます。

・SequoiaファンドのLPはSequoiaファンドに口座を維持し、毎年の償還権を持ち、サブファンドへの配分要求を行います。つまり、クローズエンド型のサブファンドとオープンエンド型の本体ファンドは相互に影響を与え続けることになります。
・サブファンドは30%のキャリーを含むSequoiaのプレミアムフィーのストラクチャーを維持する一方、Sequoiaファンドは1%未満のマネジメントフィーと長期的なパフォーマンスフィーを得ることになります。
・Sequoiaの社員はこのSequoiaファンドの資本の少なくとも5%を拠出します。

More:SequoiaはRIA(登録投資顧問)になることも計画しており、これによってCryptoやセカンダリといった領域での投資も行うことが可能になります。またSequoiaは投資家に対し、株式を公開する予定はないと説明しています。

・これらの変更はインドや中国での投資には、ただちには適用されません。例えばTikTokを持つByteDanceなどがその例です。

理由:Sequoiaはこれらは自身と起業家、自身とLPと利害を一致させるためだと主張しています。

・起業家サイドからみれば、これによって上場後も長く関わり投資してもらいつづけることが可能となります。例えば、Roelof BothaはSquareのボードメンバーのままです。

・LPサイドから見れば、従来のファンドストラクチャーではGoogleのような会社も含めて、なるべく早く株式を売り抜けることが必要でした。ここ15年の株式売却に関し行ったある内部調査によると、もしSequoiaがもう12ヵ月株式を長く保有していれば、さらに80億ドルのリターンを得ることができた可能性があるとのことです。

税務上の影響:Sequoiaは現在450億ドルほどの欧米の上場株を、わずか20億ドルのコストベースで保有しており、すでにそれらの多くをこのSequoiaファンドに組み込むことに合意しています。

・Sequoiaは将来的な譲渡も同時期の税率で行われると考えており、この譲渡に係る税務処理は明確になったと思っています。IRSはSequoia社の分析を今後詳細に検討すると思われます。

時間軸:Sequoiaはこのコンセプトを約1年前に一部のLPと相談しながら議論をはじめました。今年初め、詳細は明かさないままハイレベルなストラクチャー変更を承認するようLPに求めました。そしてこの月曜日に詳細が共有されました。LPへの説明会は明日(この記事時点での)と木曜日に行われる予定です。

・Axiosはこの動きに好意的なSequoiaの長期的なLP3社にインタビューをしました。支持している理由の一つには、株式売却の責任をLPではなくSequoiaが負ってくれるということもあったが、メインの理由は彼らが間違った方向に行ったことがない、ということでした。

・ひとつの懸念はボラティリティが高まることです。Sequoiaのファンドの価値が上場株の変動に大きく影響を受けうるからです。これは4半期ベースで株価算定を行う普通のVCのポートフォリオとは違います。

総論:VCの世界ではすぐに真似されるので、この話が終わる前に既に競合ファームもマネジメントミーティングを設定したかもしれません。
しかしながら、圧倒的な公開株の保有量とブランド力によって、Sequoiaのみがこういった変更を実現する可能性は高いです。

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