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OLIVE (映画マガジン)

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映画を観て感じた「!」をつらつらと書いていきます✏️ 映画メディア「OLIVE」(http://olive-movie.net) の公式サイトも是非のぞいてください!
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#夏に見たい映画

迷路に出口はないと、認めるまで ー「悲しみに、こんにちは」

大切な人を失った時、まるで心にぽっかりと穴が空いて、自分の一部がどこかに行ってしまったかのような感覚になります。 悲しみの受け入れ方は誰も教えてくれないし、身体中の水分がなくなるくらい泣いても、悲しみは去ってくれません。 反抗したり、無気力になったりを繰り返して、しばらく時間が経ったあと、やっとの事で受け入れられるものだと思います。 映画「悲しみに、こんにちは」では、母親を病気で失った少女・フリダの物語で、彼女が静かに、ひたむきに、「喪失」と向き合う姿が描かれています。

永遠なんてないことを、夏が教えてくれた。ー「夏にみたい映画BEST5」

こんにちは!7月になり夏本番の気候になってきましたね。夏日にちょっと疲れたら、ゆっくり家で映画を楽しむのもオススメです。 今日は、夏にぜひ観てもらいたい映画を5本、紹介します。 ①グッバイサマー** (2016: Microbe et Gasoil )**ログハウスの車で、たった1人の友達と旅にでる。 ミシェル・ゴンドリー監督の最新作。内容がメルヘンでついていくのが難しい作品が多いものの、これは違いました。夢とリアルがしっかり融合していて、最後まで楽しむことができました

傷つきながら、輝いていた。ー 「君の名前で僕を呼んで」

このタイトルを初めて目にした時、すごく好きな人がいた時のことを思い出しました。「その人の一部になりたい」と思うことが、「好き」の最上級だと思っていたし、これはその心の叫びそのものだと思ったからです。 主人公エリオは、家族と北イタリア避暑地で17歳の夏を過ごしていました。 そこに、エリオの父の教え子がやってきます。それが、オリバーでした。彼はアメリカ人で、「Later (あとでね)」が口癖。はじめは、気に入らないと思いながらも、知らず知らずのうちにオリヴァーに惹きよせられて

声というメロディーがなくても。 ー 「エール!」

こんにちは。 先週みなとみらいで開催していたフランス映画祭、みなさんは参加されましたか? わたしは、オープニング作品の「セラヴィ!」と最終日の「CUSTODY」を鑑賞しました。 そちらの感想はまた後日書こうと思っているのですが、今日は私がフランス映画にハマったきっかけになった作品を紹介しようと思います。 フランスのとある家族を描いた、あたたかい物語「エール!( La famille Bélier )」 この家族は、仲良しで、よくいる普通の家族にみえるのですが、実はみん

コーヒーと、タバコと、微笑みを。 ー「LUCKY」

英語とスペイン語が飛び交う、アメリカ南西部の街で過ごすラッキー。90歳。毎朝起きたら欠かさないのが、ヨガとエクササイズ。行きつけのカフェでコーヒーを飲みながらクロスワードを解き、ドラックストアでタバコを買う。 家に帰ると、クロスワードの続きをやりながらクイズ番組を楽しむ。特に代わり映えのしない、ラッキーの毎日が淡々と描かれます。頑固で厄介なおじいさんですが、街のみんなから愛される人気者です。 ラッキーは多くを語りません。説明的なセリフはなく、彼と彼が出会った人々との会

小さな幸せを、幸せと感じられること。ー 「万引き家族」

こんにちは! 先月、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝監督の「万引き家族」 。やっと時間をつくって観ることができました。 2004年に公開された同監督作品の「誰も知らない」でもそうでしたが、今作も同様で、希望を残すような物語ではなく、ドキュメンタリータッチで淡々と描かれていきます。なので、鑑賞後はいろんなことが頭の中をグルグルと回って消化するのに時間がかかりました。 一人一人が複雑なバックグラウンドを持っているため、身元が明確にはわからなかったりしたので、