楽曲分析してみた 杜の鼓動〜桜の風景〜 ①
唐突ですが。
楽曲分析の過程を紹介してる人ってあんまりいないなーと思うのですが、なんでなんでしょうね。(私が知らないだけ?)
私は、他の人がどんな分析をして、どんな考えを持って演奏しているのかをもっと知りたいなと思っています。
なのでまずは、自分がどんなことを考えながら音楽作りをしているのかを書いてみようかなと思いました。
音楽作り言ってもそんな大層なものではなく、スコアリーディングの作業過程と思っていただければ。
楽曲分析の題材は、丸本大悟さんの「杜の鼓動〜桜の風景〜」
マンドリンオリジナルの中でも屈指の人気曲ですねー YouTubeにいくつも動画があがってますので、曲を知らない方は是非聴いてみて頂ければと。
今年演奏会で取り上げる予定なので、その演奏会の「ネタバラし」みたいな意味合いも込めて、何編かに分けて書いていく予定です。
今日はまず、分析を始める前の前提、準備みたいなところを書きます。
1.分析のゴール
まず楽曲分析といっても色んな切り口があるので、今回の分析のゴールを決めておきます。
そもそも楽曲分析の目的は演奏の方針を決めることにあるわけですが、演奏方針には大きく3つの観点があると思っています。
(1)曲全体の組み立て
ここがヤマだとか、静かな場所だとか、ここが伏線になっていて最後に回収されるようにしたいといった曲全体の組み立てに関する方針
(2)アンサンブル
どのパートがどんな役割をするのか、どうやって合わせるのか、音量バランスはどうするか、など曲の各ブロックにおけるアンサンブルの方針
(3)表現方法
各旋律をどのように演奏するのがよいのか、どのような意味をもたせるか、など表現方法についての方針
基本的には(1)から順々に進めていけばよいと思いますが、どの方針について検討したいのか?で分析する内容も違ってきます。
今回の分析は、まず(1)について。
曲全体の構造を理解して、曲全体の組み立て方針を決められるようになる
とします。
2.ざっくり構造を捉える
まずは曲を聴いてざっくりとした構造を把握してみます。手始めにこんな図を作ってみました。
曲を4つのブロックに分けて色付けしてみました。セルは小節番号を表してます。
そしてこの後は、特に難しいことは考えず曲を聴いた時そのままの印象を書いてみます。
<序奏>
儚げな和音の裏から「D→Cis→D」というチェロの旋律が聞こえてきます。非常に印象的な序奏で、聴いているとこれからどんな曲が始まるのだろう、と言う期待感が自然と沸き上がってきます。
<第一部>
マンドリンのソロによって第一主題が呈示されます。第一部はほとんどこの主題で構成されており、曲が進むにつれ徐々に厚みをましていくように作られています。
<第二部>
テンポが速くなって軽快な曲想にかわります。第二主題は第一主題と似ていますがリズミカルな性格が強い主題です。
第一部と比べると、ギターが目立つ部分が多いのも印象的。
<結尾部>
第一主題が再現されて曲はクライマックスを迎えます。不思議なもので、聴いていると自然に桜の花びらが舞い散る風景が頭に浮かんできます。
たかが1、2行、しかも感想レベルのことを書き連ねてみましたが、結構重要なことだと思っています。自分が最初に聴いて感じたことに楽曲のエッセンスが詰まっているからです。
・序奏を聴くと「どんな曲が始まるのだろう」と期待感が高まるのは何故か?
・第一部では曲がどのように厚みをましていくのか?
・第二部を軽快な曲想たらしめているのは何か?
・なぜ、クライマックスで桜の花びらが舞い散る風景が想起されるのか?
これらを深掘りしていくことで、徐々に曲の構造が理解でき、どうやって演奏すれば良いのかという方針が明らかになっていきます。
今回は、楽曲分析をするための、前提・準備みたいなところを書いてみました。
曲を聴いた印象レベルですが、ざっくり4部構成になっていること、各部の特徴になりそうなところが把握できました。
楽曲分析というと、一見堅苦しそうですが、、、
走り出しはこんなもんでいいと思うんですよね。曲を聴いて感想書き出すだけ。
次回は、実際に譜面に書いてある音符を読みながら、構造を具体化していきたいと思います。
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