誰も興味ない話し
私が高校一年生のときのこと
ずいぶん昔のことなので細かいことは忘れてしまいましたが、夜に外出した帰り道のことです。
当時はのんびりした世の中で、女子中学生でも夜の九時半、十時まで塾に拘束された後1人で家に帰ることは特別でない時代でした。
なぜ、私がそこにいたのか
なぜ、彼がそこにいたのか
全く思い出せませんが、ばったり再会して
「お久しぶり」とご挨拶して
「送って行くよ」ということで、私の家に向かって
2人、ゆっくり ゆっくり歩いて行きました。
彼は、私が中学一年生のとき、同じクラスの友人が好きだった人でした。友人は自分の気持ちを彼に伝えてほしいと私に頼みました。
私は、この手のことが大の苦手だったので一応断ったのですが、
彼女は、「心に秘めた自分の気持ちを貴方に打ち明けたのだから」
と言うので、仕方なく代理で告白した相手でした。
私は、彼が所属するクラブの部室の前で彼を待ちぶせし、友人の気持ちを彼に伝えました。
「友人のL.Q.さんの気持ちを伝えに来ました。」というような意味のことを告げました。彼は
「うん、わかった。」
とだけ言って、そのままどこかへ行ってしまいました。
私は役目を終えたので教室に戻ると、教室の扉の前で彼と友人が話していました。
話し込んでいる2人は、足が止まった私に気づき、友人は目を伏せ、彼は私に軽く手をあげて去って行きました。
その後友人と一緒に帰ったのですが、道すがら友人は一言も言葉を発しなかったので、彼の答えは想像がつきました。
告白の断りを代理人である私に言わず、直接本人に伝えることは気の重いことだったに違いない。
それでも彼は、彼女に恥をかかせまいとしたのです。
「中学生ながら彼の態度は立派だ!」
私は心の中で彼を褒めながら、黙って彼女と一緒に歩きました。
その後、同じ学校にいるので顔を合わせることはありましたが、特に会話をすることなく、私も友人と彼の事を話すことなく、彼女は別の人を好きになり、あの代理告白はなかったことになりました。
それから3年間の月日が流れて再開しました。
ご近所のバラの花が香る季節でした。その季節に夜の外出していたなら、その日は村祭りだったのかもしれません。
もう少しで家に着く という所で彼は
「ちょっとだけ付き合ってみる?」
と私に言いました。
ちょっとだけって何だよ! と思ったので
「今は、そういうの いいかな。忙しいし。」
何なんだこの答えは。😱 私も私だ!
私は彼に悪い印象は持っていなかったのですが、あの問われ方では素直にうんと言えませんでした。
でも、それだけでない何やらモヤモヤしたものが心の中にあり、そんなことも何もかも時間と共に忘れてしまっていました。
私は喜怒哀楽を全て表に出さないように生きて来ました。
感情の表現は下手をすると相手に対して不快感を与えると思うと恐くなって、後からお礼状を送ることがしばしばです。
うれしいことはそれで良いのですが、怒りの感情は難しい。🤔
その時、その瞬間しか言えない場合が多く、あとからごちゃごちゃ言えないと思うと、怒りについては泣き寝入りしてきました。
何もかも黙っていることは、それなりに楽でした。心を閉ざして思考を停止させると怒りの感情が収まり、その場はすっとやり過ごせます。
子供の頃から、そんな風にして誰とも揉めることなく過ごすことに慣れてしまうと、人に誤解されたときに、その誤解を解く努力すらしなくなってしまっていました。
自分の感情にフタをする癖が付く=負け癖が付く
という方程式が成り立つように思えました。
ずいぶん大人になりきった年齢になってから、ようやく自分は負け人間であることを認めました。
だから、ここは頑張らなければならないところです。
「自分の感情を言語化する」訓練を始めました。
相手に対して、自分の心がどんな風に不満を感じたのかを冷静に分析することにしました。
その訓練を始めると、ブログがうまく進み始めました。✌️
あの時の
「今はいいかな、そういうの。忙しいし。」
なんてのは答えになっていません。
でも、あの時はそれで良かったかもです。
あの時の私の気持ちを正直に言語化すると
「貴方は私に好意を持ったのではなく、偶然ばったり会った私に対して ふと下心を持ったから、付き合ってみる?なんて言葉を言っただけでしょ。下心みえみえだから気持ち悪い。」
と言えなくて良かった。
沈黙は金です。
庭先で漂うバラの花の香りで大昔のことを
ふと思い出しました。
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