【連載短篇】 アイネ・クライネ・ナハトムジーク(2)
(全4話・短篇小説 / 原稿用紙13枚)(1)へ ⇔ (3)へ
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「蒼也くん、ミルクを飲みなさい」
赤岸もな美は数回繰り返したが、蒼也は背を向けたままで、要らないとぶっきらぼうに返すばかりだった。
夜になっていた。あまねは既に帰ってしまい、部屋にはもな美と蒼也のふたりきりだ。
「飲まないとおおきくなれないわよ」
「おおきくなんかならないよ、知ってるくせに」
「あっためてあげようか? それとも、ココアを入れたら飲む?」
もな美を聞こえないふりをして