見出し画像

粋な計らい

先日のこと、父が体調を崩し民間の救急車で専門クリニックに搬送されたときの話。

今、父は病院に入院している。
そんな中、病院から「専門クリニックへ付き添いをしてください」と連絡があった。
入院している病院は専門外の症状とのこと。

病院が手配してくれた民間の救急車で、母と私で付き添いクリニックへ向かった。

この民間の救急車を利用したのは10日ぶり2度目。
運転手さんも同じ方。
かっぷくのいい体型だが、とても機敏に行動される。

無事に診察が終わり帰ろうとすると運転手さんが
「家族でお写真を撮りましょう」
と言い出した。

私の頭の中はハ・テ・ナ?がいっぱい。
父は入院着にストレッチャーに乗った状態。
母と私は、着の身着のまま。
通りに面したクリニックで車の通り、人通りも多い場所で
「写真を撮りましょう」?

運転手さんにうながされるまま、スマホを渡し写真撮影が始まる。
家族3人共に、
1枚目はマスク付けたまま。
2枚目は「マスクとりましょうか」と声をかけてくださり、
    ちょっとムッとした顔
3枚目は真顔
4枚目はなぜか笑けてきて
5枚目は爆笑
  ・
  ・
  ・
「何枚も撮りましょうー」「どんどん撮りますよー」
と、運転手さん。

その時は、写真撮影の意味がほんとにわからなかった。
写真は楽しいときに撮るものと思っていたから。

帰り道もなんであんなときにあの場所で写真?と考えた。

しかし、後日思う。
そういえば、父が倒れてから今まで写真をほとんど撮っていない。
写真がない…。

運転手さんは仕事柄いろんな家族と接しているだろう。
そういう家庭が多いのだろうか。
もっと写真を撮っておけばよかったと。

あのとき写真を撮っていなかったらこれから先も撮っていなかっただろう。
残された家族の時間を記録しようと思えた。

今となっては、その時の写真が一番の宝物になっている。

運転手さんの粋な計らいに感謝。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?