足、のこと。8

【手術】

朝9:00前に手術室に呼ばれ、病室に戻って来たのが午後3:00前くらいだったはず。手術中のことは、当たり前だけどほとんど覚えていない。手術室、ていうより手術コーポ?マンション?そのくらい部屋がいっぱいあって、わたしは一番奥の部屋(不動産屋的に言うと角部屋)だったので、歩きながら他の部屋を覗いたりしてた。手術前には5回以上自分の名前とどこの手術をするかを言わされる。情報共有しとけや、と思ったけど別にそういうことではないらしい。間違いを防ぐため、だって。そんなこんなで手術台に乗り、誰かに寒いですか?とか聞かれた気がするけど、なんて答えたかも覚えていない。次の記憶は、手術が終わって、病室に戻るために酸素の量をはかられたり、あちこちに点滴いれられたりしてるとこから。麻酔が効いてるから特に痛みはなかった。手術室の専門看護士さんて、やっぱり病棟の看護士さんより手際いいなあ〜、なんでこの仕事やろうって思ったのかな〜、どうもありがとう〜、とか考えてた。病室に戻り、旦那さんと母親に再会。麻酔のせいか、術足の感覚はまったくなかったけど、やけに元気だった。経験から言って一番つらいのは術後2日目、3日目くらいなはず、今はけっこう平気!いえ〜い!とかべらべら喋って結局夜まで眠らず、旦那さんに「ちょっと休みなよ〜。」と何度も言われた。

【術後〜1週間】

RAOを受けたら術後1週間は地獄が続くと思った方がいい。基本はベッド上安静、もちろん術足には絶対に荷重をかけてはいけない。そして3日目くらいまではとにかく痛い。まだ術後の身体に慣れていないし、痛みのコントロールの仕方もわかってないし、動きのコツもつかめていない。そこへきて一番痛みの強い時期なので、冗談じゃなく正気ではいられない。痛み止めがきれそうなときにナースコールを押しても、なかなかタイミングよく来てくれなかったりで、「遅くなってすいません〜」なんてようやく看護士が部屋に来た頃にはまさに痛みのてっぺん、1ミリ動くだけでも冷や汗びっしょり、痛み止めの座薬をいれるためにパジャマのズボンを脱ぐことすらままならない、という...。こう書くとRAO受けるのやめようかなあ、と思われてしまいそうなので、フォローするなら、めちゃくちゃ痛いのは3日目くらいまでだと思う。その後は痛みのピークをこえるのはもちろん、痛みと共にある身体の状態に慣れる、というか、こうしたら痛いぞ、とか、こう動くとラクだぞ、とかが徐々にわかるようになる。人によって差はあると思うけど。あと、ベッド上で座ったり寝てる時間が長いので足だけじゃなく、腰も痛かった。術足じゃない方の足だけでブリッジしたり、腰の下にクッションをあてたり、寝返りは打てないので左右に少し身体をずらしてみたり、ベッドの上の世界をなんとか思い通りに生きられるようになる頃には1週間がたっている、はず。ちなみに、術後3日目でできたこと「ベッド上で寝ながら右膝立てるまで5分」術後6日目「1人で車いす移動を許される」参考までに。そしてマジックハンドは驚異的なまでに上達している。

あと、もうひとつ。めちゃくちゃ簡単な方法で生活がグンと楽になったので、これはすべてのRAO術後患者に教えたい。用意する物は手ぬぐい1枚。これを、パジャマの上から術足の太もも部分に結ぶだけ。車いすに移乗するとき、術足を持ち上げたいとき、手ぬぐいをすっと持つだけでかなりスマートに術足を動かせます。術足はしばらく物だと思った方がいいです。何一つ自分の力では動かせないので。便利だったのは、車いすのステップ部分に足を乗せられなかったのが簡単にできるようになったことと、トイレの個室内での回転がめちゃくちゃスムーズになったこと。毎日違う色の手ぬぐいをつけてたわたしは、願掛けで術足に手ぬぐい巻いてる人、だと思われていたらしいけど。

【術後〜3週間】

1週間もすれば、わずらわしさにも慣れるし、病院の生活自体にも慣れてくる。朝も夜も早い。大部屋はつらい。食事も美味しいとは言えない。リハビリがある日はリハビリ、それ以外は特にやることはない。たまに採血とレントゲン、「調子はどうですか?」と聞きにくるだけの回診。だいたい1週間くらいで抜糸、そしてシャワーが解禁になり、10日すぎると面会を許される。面会は楽しかった。振り返っても、面会によってだいぶ救われたと思う。来てくれた人、本当にありがとう。大部屋はつらい、と一言ですませたけど、ここには書ききれないので割愛しただけです。(2015年8月のフェイスブックは病室のばあさんの話がほとんど!興味があれば読んでみてください)ストレス解消は、わたしの場合人に話すこと、というより、人に話してなかったらハゲが10個くらい出来てたと思う。術後3週間までは、ひたすら辛抱。辛抱という言葉でしか語れない。術足に荷重をかけるのがNGなので、リハビリと言っても他の部分の筋肉が落ちないための運動をほんのちょっとだけやる、という感じでおそろしくヒマです。ちょっとした車いすの達人になりはじめるし、普段使わない腕の筋肉使いまくって、腕がムキムキし始めるのもこのあたり。下半身はかなり衰えてるのに上半身ががっちりしてきて怖かった。あ、でも車いすの期間が終わればあっという間に落ちる。変わらない日々の中で、自分ばかりが停滞してるような気持ちになる嫌な時期、そういうもんだ、と受け入れるしかない。長い3週間の終わりは、いつかやってくる。ちなみに、術後16日で「うつぶせができる」術後18日では「左足が右足の靴下をはかせてくれる・パンツも脱がせてくれる」術足じゃない方の頑張りがすごすぎる。多分、これはかなり人による。


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