足、のこと。11

【術後半年〜1年】

H整形外科に通うようになったのは2016年1月から。術後約半年がたっていた。片足立ちはまだ難しく、杖なしだと上半身のゆれが大きすぎてまともに歩けるとは言えない状態だった。原因は下半身の筋力がまだ全然うまく使えていないこと。しかしロフストではまったく問題なく歩行ができていたし痛みもまったくなかったので、筋力アップのためにもT字杖に変更を勧められる。さっそくamazonで購入。相も変わらずこだわりのオールブラック、値段は5千円しなかった、はず。痛みがでることもなく、すんなり移行できた。と、いうことはレントゲンで見てももう骨は十分くっついていると言える状態だったし、あとはひたすら筋力をアップしましょう、となる。術後、右と左ではお尻のふくらみにだいぶ差があって、それがつまりRAOで損傷を受けた部分なんだけど、初期のトレーニングではひたすら中殿筋まわりにはたらきかけるような運動を何度も繰り返した。損傷、と言っても筋肉をぶったぎったら使い物にならないのでむしろ損傷させないように大きく筋肉のまわりを切っている、と言った方が正しいかもしれない。ただ、術後ほとんどその部分を使わない(骨がくっつくまでは過度な負荷をかけられない)ために筋力が衰えていること、何ヶ月もの間にその部分の運動の仕方を忘れちゃってること、周りの筋肉が勝手に支えはじめて、一番トレーニングしたい場所の筋肉をうまく使わせてくれないこと、などの問題によって、筋力が落ちているらしい。筋トレは強い負荷を与えずに、気持ちよくその筋肉が運動をできるようになるまで何度も繰り返し根気よく続けるのがポイント。最初、身体の他の場所にめちゃくちゃ筋肉痛がくるのは、うまく使いたい筋肉を使えていない証拠。感覚を言語化するのが非常に難しいし、わたしが選んだ言葉でうまく伝わるかわからないし、間違って伝わってしまうかもしれない。けど、あのとき身体におこったことはやっぱり書いておこうと思う。同じ運動を繰り返していくうちに、ある日身体がスムーズにそれを出来るようになる。術足と、そうでない足で同じ運動をして比較するととてもわかりやすい。両方スムーズにできるようになったら(筋力の差があるので多少術足のほうが大変だとしても)、少なくともその場所の筋肉はうまく使えているということ。逆に、健康な足はすんなりできるけど術足でやるとどう動かしたらいいかわからない、他の場所がつりそうなくらいしんどい、というような場合は多分そこの筋肉はうまく動かせていないんだと思う。リハビリで何しろ苦しめられたのが、言語と肉体の感覚の共有。PTの言うことと、わたしの感覚に差異があってはいけないんだけど、身体の内側のことだから見た目ではよくわからない。ちゃんと筋肉を動かせているかどうか、というのは絶対にマンツーマンで繊細に見ていかないといけないと思う。自己流で、間違いがおこらないように。ああ、自転車を乗れるようになった瞬間に似ているかもしれない。筋肉をうまく使えるようになった感覚、というのは。身体がその動きにしっくりくる感じが大切。なんで今までこんな簡単なことが出来なかったんだろう、と思う気持ちが生まれればもう大丈夫だ。大きめの筋肉のトレーニングからインナーマッスルの筋トレ、内太ももの筋肉も鍛えて偏りなく支えられるようにしていく。徐々に歩行時の揺れもなくなり、術足での片足立ちもすんなりできるようになり、杖を外して歩ける自信もついたとき、術後1年が経過していた。

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