The Case of the Golden Idolの日本語化をしました。①

しました。

http://yupika.dilettantegames.net/nukadoko/goldenidol
↑からぜひどうぞ(1/8 ドメインが失効してたので別の取りました)

以下は遊んでほしいので書きました。
タイトル:ゴールデンアイドル、または物語の楽しませ方について。
ではどうぞ

 The Case of the Golden Idol~黄金像事件~は、2022年に発表された作品で、テーマはミステリーだ。
 このゲームの何が面白いかというと幾つもあるけれど、一つは斬新な視点そのものだろう。

 12の問題は、それぞれが「ある一場面」である。
 全ての問題は独立しているがゲーム内での一つの時間軸にあり、全体の構成の一場面となっている。これはある瞬間であり、その前後についてはプレイヤーはわからない。時間を動かすことは出来ない。
 上記だと、Return of the Obra Dinnと似ていますね。実際、そこから着想を得たのには間違いないと思います。でも、オブラディンでは全体が一つの問題になっていて、時間軸を移動することで論理的な検証をする…というような、メモ型というか、どちらかというとパズルの要素が強かった。

 本作はそれが「ミステリ」重視となっている。論理的な部分ももちろん必要だが、それ以上に文脈の読み解きを大事にしている。ゲームになってるのは全部が全部、ミステリのトロ部分ばっかりってこと!そんなの面白いに決まってる〜〜!
この読み解きは負荷の高いものではなく、問題も大抵、一つの事件が3問ほどに分割されているし、それぞれの問題自体が全体の読み解きの指針もアシストしてくれる。埋めれそうなところから埋めればいいんだ。やれることをやっていこう。

 そしてなにより、最終的にそれぞれ全く違う一問一問に一本の筋の通った文脈が重なる瞬間が訪れる。このとき、鑑賞者の頭の中でだけ見える物語が出来上がるのだ。素晴らしい!この瞬間はまさに一本の優れたミステリ小説の感触であり、ストーリーに十分なスケール(大河感)がある。しかも、これは小説ではできないことで、ゲームだからこそ出来ることなのだ。ミステリが好きか嫌いかは問わず、ゲーム好きもお話し好きも感動できるってわけ。

 過去にゲームの視点というと、RPG、ADV、色々な語り口を試されてきたけど、それらは登場人物視点が多かった。さしづめ本作は読者視点、とでもいうところか。過去、実際に小説を読んでいるようなゲームもあったが、どうしてもゲーム内の登場人物よりの視点になってしまい、そうなると体験としても小説やマンガのような感情移入に引き寄せられてしまいがちだったと思う。本作は最後まで、プレイヤーは外側から推理をさせられているだけ。なのに、こんなにも大きなストーリーを感じるなんてすばらしいな。

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