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絵師さんはPixivニコニコ静止画その他SNSに絵を絶対残しましょうという話


急速なAI技術の発達がついに人間の創作という聖域を侵し始めた、というのは言い過ぎかもしれませんが、注意が必要な事案がでてきました。対応を誤ると、いわゆる絵師の尊厳を根底から破壊されます。今後しばらくは絵を絶対に消すな、と注意喚起しておきます。

・特定の作品群を学習して絵を出力するサービスができた
・いわゆる「絵柄」を手軽に盗める技術である(お手軽贋作システム)
・規約上、作者以外はアップロードしちゃダメとあるが、守られるわけがない
・ネット上の自作品を消したくなるかもしれないが、逆効果
・自作品群をネット上から削除してしまうと、絵柄そのものが乗っ取られる
・自作発言は著作権法の「著作権法第121条違反」
・証拠(自分の古い作品)が無いと、盗作者に訴えられて負けるかも
・NFT、二次創作規約違反で地獄を見るかも
・「無断転載、贋作作成絶対禁止」を明記すべし

順に解説。

絵柄を学習して新しい作品を出力するmicmicというサービスがリリースされました。

規約上、第12条(知的財産権等)7項で自作物(あるいは権利物)以外の入力を禁止していますが、当然守られる見込みはありません。悪用方法としては、有名な絵師の作品群を勝手に入力し、新しい作品を得ることができることになります。

ここで対策として、自分の作品をネット上から消すことが自衛になりそうですが、恐らくは完全に逆効果です自分の作品を贋作呼ばわりされないためにも、証拠として残しておくことをオススメします。なぜなら、現物となる作品のような固有の物体がない場合、著作権を主張するには「古い作品の展示」があることが原則となります。つまり、例えば2021年にアップロードしていたPixiv作品は、それ以降のどこに勝手に転載されていてもより「オリジナル」です。もしも消してしまうと、刑事告訴が難しくなるばかりではありません。下手をすると、「盗作者に逆に訴えられる可能性もある」のです。特に厄介なのがいわゆる自作発言、法律上は「著作者名詐称罪」が非親告罪である点です。絵柄を奪われるばかりか、逆に盗作呼ばわりされる可能性が出てきたのです。つまり、「自作品群をネット上から削除してしまうと、絵柄そのものが乗っ取られる」恐れがあります。

さらに、この技術は嫌がらせ、冤罪にも使えます。例えば、NFTアートでは自作品の価値を投資に使えます。しかし、これは著作権者が著作物を適切に管理していることが前提です。AさんにNFTアートとして供与した作品をBさんにも無断で供与する、二重三重の供与は詐欺に当たります。しかし、絵柄を真似られたうえ絵師名を詐称した上で詐欺を働かれ、逃げられたら事は厄介です。もちろん冤罪なら裁判すれば勝てますが、海外の顧客だと裁判自体が死ぬほど大変です。

また、より身近な例では、今人気の「ウマ娘」、二次創作については実質的にエログロ禁止です。絵柄を真似られてエログロ作品を勝手に発表されたら絵師としての信用も傷つき、下手すれば馬主から裁判を起こされます。これについても、なりすましを防止するために「自作品」をきっちり残しておく必要があると思います。なぜなら、裁判になった際に「この作品を学習データとして与えれば、贋作としてこの作品を出力できる」という検証ができるからです。

対策として、少なくとも、プロフィールに「無断転載、贋作作成絶対禁止」を明記しておくことをオススメします。この記述があれば、勝手なことをされても即「著作者人格権侵害」として刑事告訴できます。

著作権法第121条


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