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見附市山吉町 火葬場跡地供養塔


見附市山吉町 火葬場跡地 概要

見附市山吉町、上越新幹線の高架橋のすぐ下にある火葬場跡地供養塔です。
いつ頃まで稼働されていたのかは分かりませんが、供養塔の裏面には「平成十三年六月」の文字が刻まれています。この火葬場跡地がある山吉町の住民の方々によって建立された碑のようです。
上越新幹線の開通が1982年(昭和57年 当初は新潟市から埼玉県大宮まで)ですが、路線の工事は1971年(昭和46)12月から行われていたそうです。(※ウィキペディアによる。この工事が新潟県でも行われていたかは不明)よって、この火葬場が使われていたのは昭和40年代の半ば頃までかなと思います。
供養塔が建立された平成13年は2001年なので、この火葬場が使われなくなってから20年から30年以上が経過した後になります。稼働停止後から供養塔建立までの長い間、この地は更地になっていたようです(後述)。
現地には、往時を偲ぶことのできる遺構は、何も残っていません。

火葬場跡地供養塔
供養塔の裏面 平成13年6月に建立されたとあります。

見附市には、見附市運動公園(本町3丁目)の近くに現在稼働中の斎場がありますが、この山吉町火葬場は敷地全体の規模は大きくないため、現在の斎場が出来る以前の、集落の火葬場だったのではないかと思われます。
供養塔のある敷地から考えると、火葬場の敷地全体は細長い三角形をしていたように思いましたが、それは間違いでした。こちらについても後述します。

火葬場跡地を東側(正面?)から見る。
火葬場跡地を南側から見る。
火葬場跡地を北側から見る。 ほぼ全景。
火葬場跡地を西側(後ろ側)から見る。
火葬場跡地周辺の景色。水田のただ中にある火葬場跡地です。

国土地理院 空中写真から山吉町火葬場の下限年限を考える

国土地理院が公開している空中写真にこの地域を撮影した写真がないか検索してみると、1965年10月5日撮影、1975年10月27日撮影、1980年8月4日撮影の3点がありました。
※他にも、1948年頃にアメリカ軍が撮影したものなど、もっと古い空中写真があったのですが、河道や集落の様子が今と様変わりしているため、判読不能でした。 
これらの空中写真を基に、山吉町火葬場の下限年限(つまりいつ頃まで建物や施設が存在していたか)を考えてみたいと思います。


1965年10月5日撮影

まず1965年(昭和40)10月5日撮影の空中写真を見ると、今の供養塔が建っていると思しき場所(円内)に小さな建物が見えます。これが火葬場なのでしょうか。もっとも、今とは道路の走り方や集落の家々の並びが変わっているため、位置の判別に自信がありません。参考程度にしてください。
なお、集落のとなりを流れている川は、信濃川ではなくその支流の刈谷田川です。


1975年10月27日撮影

続いて1975年(昭和50)10月27日撮影の空中写真です。円内が現在火葬場跡地供養塔が建っている場所です。解像度の関係ではっきりと判別できませんが、すでに建物はなく、何かの植物が生い茂っているように見えます。
刈谷田川の川の中や堤防に上越新幹線の橋脚が建てられており、すでに上越新幹線の工事が始まっていることが分かります。


1980年8月4日撮影

最後に1980年(昭和55)8月4日撮影の空中写真です。円内が現在火葬場跡地供養塔が建っている場所です。
上越新幹線の高架橋が完成しています。しかも、火葬場跡地の真上を通過しています。
火葬場跡地には建物はなく、更地になっているようです。
前に「火葬場の敷地全体は細長い三角形をしていた」と記しましたが、それは火葬場跡地の上に上越新幹線の高架橋が建設され、敷地の半分が高架橋で破壊されたためでした。元の敷地の形は、等脚台形のような形だったのかもしれません。

まとめると、山吉町火葬場には1965年頃=昭和40年頃は何らかの建物、施設が存在していたようです。この頃は、集落の火葬場として稼働していた可能性があります。
その10年後、1975年頃=昭和50年頃になると、上越新幹線の建設決定と工事開始という大きな変化があり、山吉町火葬場は工事に備えて更地になっていたようです。この頃に、山吉町火葬場はその役割を終えたのでしょう。2023年現在の今から、50年近く前です。
その後、1980年頃=昭和55年頃になると、上越新幹線の高架橋も完成し、火葬場跡の上を上越新幹線の線路が走っています。

こうして山吉町火葬場の経緯と下限年限を考察してみると、1970年代中頃=昭和50年頃が下限年限のようです。そう考えると、地域の火葬場がその役割を終えてから30年近くが経った平成13年=2001年に、跡地に供養塔を建立した地域の方たちの追慕の思いに胸を打たれます。

<2023年11月18日 訪問>

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