医療ソーシャルワーカー71(ピンピンコロリの弊害)

 患者さんやそのご家族と面談する際に「最期はぴんぴんころりが良いね」と言われることがあります。
 たしかに亡くなる直前まで元気で痛み等の苦痛も感じず、家族に介護の負担も背負わせないことは理想的な亡くなり方だと思いますが、その弊害もあると思っています。
 それまで元気だったご家族が急に病院に運ばれて意思疎通や食事摂取も難しい状況になってしまったご家族と面談する際に良く言われることが
・昨日まで普通に過ごしていたのに急にこんなことになるなんて信じられない。
・食べるのが好きな人なので食べられないなんて信じられない
・どんな状態でも本人には生きてほしいので延命治療をお願いします
ぴんぴんころりは理想的な亡くなり方である一方、突然なため家族が受容が追い付かないことが多々あります。
元気だった時に延命治療はしないでほしい、胃ろうはしないでほしい、自宅で看取ってほしい等の発言が本人からあったとしても家族は冗談半分で聞いているため、いざその時になると本人の意向とは違うことを病院に求めてきます。
 面談の際に「ご本人ならどう希望されますか、または以前はどんなことをおっしゃっていましたか」と確認しても「それはまだ元気だった頃の話で・・・」と言われました。
 元気で判断力のある頃の意思表示を尊重しないでいつするのかと思いましたが、そんな突っ込みできず結局その方は胃ろうにして施設入所までの支援を行いました・・・。
 各家庭の倫理があり、それを否定するほど偉くはないことは重々承知していますが、ぴんぴんころりは本人が家族に何も伝えきれないまま今後の方針が決まってしまう弊害があると感じました。
 

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