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④律令国家の形成4-2

4.天平文化

天平の美術

奈良時代には、朝廷の仏教保護を背景に多くの寺院や優れた仏像が作られた。寺院建築の技法は一段と発達し、東大寺法華堂唐招提寺金堂など、どっしりとした建物が作られた。建築には、その他、唐招提寺講堂・法隆寺伝法堂・正倉院宝庫など、当時の宮殿や貴族の邸宅、寺院の倉庫の有り様を今日に伝えるものもある。彫刻ではそれまでの金銅像の他に、塑像乾漆像の技法が発達した❻。

塑像は、木を芯にして、その上を粘土で固めたもの。乾漆像は粘土焼きでおおよその形を作り、その上に麻布を貼って、漆で塗り固めたもの。いずれも加工が容易で、自由な表現に適していた。

その表現は、唐に倣って写実的なものとなり、白鵬彫刻より一層豊かに人間感情を表している。
絵画には、薬師寺吉祥天像のような仏画のほか、正倉院の鳥毛立女屏風(樹下美人図)などの世俗図があり、いずれにも唐の影響が見られる。正倉院宝物は、光明皇太后が東大寺に献納した聖武天皇の遺品を中心とするもので、当時の工芸技術の最高水準を示している。その技法や意匠には、東ローマや西アジア・インドなどの流れを汲むものもあり、それらが唐を通じて我が国に伝えられたことを物語っている。

主な建築・美術作品

建築
法隆寺夢殿・伝法堂
東大寺法華堂(三月堂)・転害門
正倉院宝庫
唐招提寺金堂・講堂
彫刻
興福寺八部衆像(乾漆像)(阿修羅像)
興福寺十大弟子像
東大寺法華堂不空羂索観音像
東大寺法華堂日光・月光菩薩像
東大寺法華堂執金剛神像
東大寺法華堂戒壇院四天王像
唐招提寺鑑真像
唐招提寺金堂盧舎那仏像
聖林寺十一面観音像
新薬師寺十二神将像
絵画
正倉院鳥毛立女屏風
薬師寺吉祥天像
過去現在絵因果経
工芸
正倉院螺鈿紫檀五絃琵琶
東大寺大仏殿八角灯籠
銀燻炉・漆胡瓶

漆胡瓶(正倉院)
東大寺戒壇院四天王像
薬師寺吉祥天像

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