舞台「チョコレート戦争 a tale of the truth」鑑賞記録

【Attention】
ドラマ版及び舞台版のネタバレを含みます。
ドラマ、舞台ともに未視聴の方は閲覧ご注意ください。
1月に舞台の配信を見た時にとったメモを元に感想をまとめています。
円盤発売前に配信で見た時の感想をまとめようと思い書きました。

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ドラマ版が放送された当初、「よく分からない」という感想を抱いた作品が「チョコレート戦争」だ。
正直に言うといささか取っつきにくいとさえ思っていた。
推しが出演しているので頑張って見ていたが、最終回ラストで久保南𥔎が教師として私立百瀬学園に赴任し、篠田康太と出会う場面に「何この既視感…。え? なんで篠田くん生きてるの???」と盛大に頭の中に?マークが乱舞していた。

そして、発表された舞台化。
もう一度正直に言おう。
「え…この終わり方で舞台に続くの???」

うん。
最終回見て「で…結局この話はなんだったの???」ってなっている状態でのあの終わり方に疑問符以外出てこなかった。


物語はまた同じ話を教師が変わることでループするのだろうか?
仁科智也ではなく、久保南𥔎がダスキスの顧問だった場合の平行世界線のお話にでもなるのだろうかと割と真剣に考えた。

実際はそんな平行世界は存在せず、ドラマ版のその後の物語だった。

それがはっきりと分かったのが、テレビ最終話から舞台冒頭へ繋がるセリフ無しのシーン。
ダスキスの部室にいるはずの篠田康太の姿が誰にも見えていない。
彼がどれだけ声をかけても、誰も反応しない。
それは、篠田康太がその場にいるメンバー達には見えない存在だということを如実に伝えてくる。
この場面を見て、瞬時に状況を理解した時は鳥肌が立った。

そして、ここから一気に物語の世界に引き込まれていく。
一幕が終わるまで、画面にくぎ付けだった。
幕間に入った瞬間思ったのは、「これは…すごいものを見せられている」という感想だった。

なまじドラマ版が自分の中ではさほど好感触ではなかったものだから、この感想をもったことに自分自身が驚いた。
だけど、本当に凄かったんだから凄いとしか言いようがない。


久保南𥔎がダスキスのメンバー一人一人に会っていく過程は、ドラマ版を踏襲している。
舞台版になるとこれがまたテンポ感がいい。
ドラマ版と違うのは、メンバーそれぞれが篠田の死に対してドラマ版よりも深い負い目を感じていること。そして、自分たちの気持ちに寄り添ってくれた仁科の不在に対する憤り。
ドラマ版と同じ展開でありながら、メンバーの気持ちがテンポよく伝わってくる舞台が実に心地よかった。

また、篠田の弟貴宏によって語られる篠田康太像がとても新鮮に映った。
それは、ダスキスメンバーにとっても同じだったようで、篠田が自分たちのことをどう思っていたかを知ることが出来て、それぞれが抱えていたものがほんの少し軽くなったように見えた。
特に篠田くんをダスキスに誘った村木が抱えていたものが、貴宏の言葉によって救われた瞬間の村木の涙は美しかった。


もう一度ダスキスを始めようとするメンバーの姿を見ている篠田の姿がどこか寂しそうに見える。

「先生…僕はどこにいますか?」
迷子の様に問いかける篠田がとても頼りない。
なのに「先生はもう分かってる」と久保に声をかける篠田。
自分のことは分からないのに、周りのことはよく分かっている篠田がじれったくて仕方ない。


そして、この「僕はどこにいますか?」という言葉は、この舞台全体のキーワードであるようにも思う。


この舞台は、一幕は篠田がダスキスのメンバーを。
そして二幕は仁科がダスキスのメンバー、由和、貴宏、そして久保南𥔎を救う再生の物語ではないだろうか。
仁科からの手紙を読むのが、久保から篠田へストーリーテラーが移っていく演出がとてもよかった。

ダスキスのリスタートの日に突如として襲い掛かる大人の理不尽。
再開させるように仕向けたはずの理事長が、まさかの活動妨害。
いや、マジで理事長最悪では???

「世の中なんて…そんなもん」って言わせないで。
何度、この子たちに大人のせいで、我慢させたり諦めさせようとするのだろうか。
と、盛大にイラっとしていたけど、そんな理不尽に立ち向かう久保先生めっちゃカッコよかったし、なりふり構わず、放送室に殴りこんでいった由和もカッコよかった。

あと、変な奴だと思っていたポップライフの社長辻雅樹がなんだかいい奴だし、解雇した久保のことを気にかけていたりと、舞台のお陰でこの人は株が上がったなと思わずにはいられなかった。

物語終盤
新生ダスキスが、篠田と6人で踊るシーンが本当にズルい。
5人でのステージだけど、篠田が一緒にいる。
一緒に歌って、踊っている。
その姿が本当に楽しそうで、嬉しそうで…胸にくるものがあった。

「永遠なんてありますか」
「あるよ」
「僕はいますか。どこにいますか」
「いるよ。皆の中に、皆の夢の中に」

そこから始まる「In your dreams」。
もうこの曲は篠田の曲ではないかと思わずにはいられなかった。

そして、テレビシリーズでは周囲への拒絶の言葉に聞こえた「ありがとうございます。じゃ」という言葉が、言うべきところにピタッとハマった瞬間を目の当たりにして涙が止まらなかった。
ずっと迷子の様に途方に暮れていた篠田が、本当に嬉しそうに微笑んだ。
心から笑っているように見えた篠田は、きっともう迷子ではなく、自分の居場所がどこか分かっている。
テレビシリーズで感じていたモヤモヤとか色んなものが吹っ飛んだ瞬間だった。


配信を見終わって、しばらくの間は放心状態だった。
そして、「久しぶりにいい舞台を観たな」という感想が真っ先に浮かんだ。
この舞台の為にあのテレビシリーズは有ったんだなと思いさえした。

舞台化が発表された時、正直チケットを取るかどうか悩んだ。
悩んで悩んで…コロナのことも有って、チケットを取ることは諦めた。
自分で決めたはずなのに、こんなにも劇場で見たかったと思う作品であったとはと、なんと勿体ないことをしたのだろうと思ったことだった。

もうすぐ円盤が発売になるので、またあの物語を巡り合う時間を楽しみにしている。


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余談だが…日替わりコーナーが秀逸だった。
舞台ならではと言えば、日替わりコーナー。日替わりがあってこその舞台ともいう。
このパートは役なのか、演者なのかよく分からない状態で繰り広げられるが、チョコステに関しては、やりたがりが多い印象だった(笑)
最初の配信の時は、大和くんが生き生きとしていた印象だったけど、大千秋楽の時は大和くんを困らせる問題児が多数なのに笑ってしまった。
どっちかというと大和くんはぶっこむ方だけど、締める時は締めてくれる大人だ。
その大和くんが困っていた(笑)なんちゃら滞在記やら変な部族が出てきて大変だったせいか、その後の鬼の下りがヤバかった(笑)
THE大和くんワールド。
他のキャストが「もうやめてください」って舞台上で土下座するの初めて見た(笑)
節分も近かったせいか、鬼のお面バッチリ。
最終的に大和くんもやりたい放題だったから、植ちゃんがいなかったらヤバかったよね。あの日替わりコーナー。
立石くんも嬉々として楽しそうにやっていたので、アドリブ楽しめているようで何よりだった(笑)


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