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行くところ、帰るところ

 昨日は最高気温が18度くらいあったのに、今日は7度か8度くらい。お昼を過ぎてもさして暖かな感じにならず、1日中寒いなあ〜って感じ。そして向こう1週間の天気予報を見てみると、最高気温が10度を超える日はないじゃん!4度とか3度なんて日もあって、これはいよいよ冬。もうこれから春までは、汗ばむような日はないですよーって、毎年どこかにはある区切り目みたいなのが昨日と今日だったんだろうなって感じ。
 ま、当たり前に冬一色になったんですよってことで。自然というか、暦どおりっていうか。自転車で疾走しようものなら、ちゃんとした装備をしないと指先や爪先がとたんに冷えて痺れてしまう。そんな季節になったよ。
 でも、この草木が枯れて何もなくなるかのような景色もまた、それはそれでいいもんだ。空の広さがきわだち、山並みもくっきりと。こんな感じで「はっきりとした冬」みたいなものが眼前に広がるって、東京なんかでは感じられない。ビルなどの人工物ってのは春夏秋冬変わらないわけで、暮らす場所の周囲の色合いの変化で四季を感じることはできない。ここで生活するまで気づかなかったこと。東京ではたんに空気の暑い寒いでしか感じなかった四季が、ここでは眼にはいってくる山野の「色あい」で感じる。他愛もないことかもしれないけど、味わい深いこと。そんなことをふと思った。

 冬になり「立ち枯れ」の花たち。こういうのがあるのに気付いたというか、目が向いたのはここでの2年目、大学を休学してた時だったと思う。天然のドライフラワーみたいに、なんとも言えない風情がありませんか?摘み取って干して人工的に作るドライフラワーよりもずっと素敵な感じがする。

 母から電話あり。お正月は東京に来ないのか?って。何で帰って来ないのかって・・・。別に大した理由があるわけではない。それにしても「帰ってこないのか」って言い方でふと思った。私の中で東京が「帰る」ではなくなったのはいつからだったんだろ?今は帰るというよりも「行く」で、今の棲家の方が「帰ってくる」って感覚。それはいつからなのか、自分でもよくわからない・・・
 夕方、大家さんのおばちゃんに何となくそんな話をした。おばちゃんは東京の生まれ育ち。おじちゃんと結婚してしばらく東京に住んでたんだけど、おじちゃんが家の農業を継ぐ関係でここに来た人。そんなおばちゃんは、ここで子どもが産まれ、育つ間にいつしか東京は「帰る」ではなく「行ってくる」ところになったそうだ。私は・・結婚もしてないし、子どももいないんだけど。そう言ったら、都会からの移住者の人たちよりもずっと早く、すんなりと、元々ここにいた人みたいな感じに馴染んでしまったからねえって。そう言われると何となく嬉しい。そんな日曜日だった。


【台所日記 #021】
 冬の食卓、ひときわ美味しく感じるのは「鍋」か「シチュー」かってところに異論ある人はいないでしょ。で、シチューだけど、クリームシチューとかポトフとかいろいろある中で、私的には「これが王様」って思ってるのがボルシチ。安く買えた牛スジを1時間半コトコト煮込み、いただきました。赤カブではなくふつうのカブだけど。カブが美味しい季節なもんで、シンプルに牛スジ・カブ・カブの葉っぱ・タマネギ・トマトだけで作っていただきました。具がてんこ盛りでビジュアルよくないけどさ、牛の旨みと酸っぱいトマトの味が沁みたカブが美味しいよ〜!!


【音楽室 #021】
 Sigur Rosと同じアイスランドのバンドMúmですね。言わずと知れた北欧エレクトロニカのパイオニア。なんとなく老舗の風格が漂う?その昔、来日公演を恵比寿に聴きに行ったことがある。ドリーミーな空気が心地よくて、さっそくその当時の既発盤すべてを中古市場で買い漁ったっけね。中古盤とはいえ高校生の懐には重たい出費だった記憶が。

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