コロナよりも怖いのは、市場原理による価格破壊というパンデミック。。

コロナウイルスによる経済破壊が問題になっている。

でも、さらに（といってしまうとなんだが）怖いのは市場原理による価格破壊だと思う。

先日、某クラウドワーク上でデザインの仕事の相場を見て見たのだが、こんな価格でよくできるなぁというものばかりだった。例えばチラシだったら、私は企画から含めて片面５万円を基本としていただいているのだが、相場では２〜３万、中には５千円ほどの取引もあった。原稿さえあればおそらく２〜３時間で作れてしまうとは思うので、コンビニでバイトをするよりは割は良いとは思うので、双方それでよければ十分成り立つ商売だ。

また、私はフォトショップでの画像切り抜きサービスを利用していたのだが、結構安くて（一枚150円とか）、こんなサービスがあればアシスタントなんていらないよなと呑気に構えていた。だが今朝「コロナによってインドでの作業が遅れている」とのお詫びメールがきていて、あ、そうか、こんな安くできるのは、インド人にお願いしてたからなのかと気づいた。

こんな仕組みを作られてしまうと、素人（といっても私も技術者だが、、）は叶わない。

先のチラシ作成もそうだけど、２〜３時間で一枚のチラシを作るとなると、0ベースではなく、ある程度のテンプレートを用意するとかしないと割りに合わない。あとは、そういうところにお願いする人は、頭が悪い人も多いので、後出しジャンケン（あとでこれも追加して欲しい）とか、原稿が破綻してるとか、つけてきた写真がクソとかも多いので、それにストレスを感じないようなシステムも必要になる。例えばそういう時用に追加費用オプションをつけるとか、コマンドで簡単に作れるようにするとか。そういうことを考えると、普通にのうのうと守られてデザインをやってきたデザイナーは叶わない。

こういった市場は、近年の仕事不足による余った体力が作り上げていく。ただ、この原理によって、今まで普通にやってきたデザイン事務所の売り上げがダウンし、規模が縮小し、また余った体力が市場に集まる。はっきりいっちゃうとブーメラン。投げられるごとに価格破壊は起こるから止まらないよな、と思う。

ここで仲間と言い合うのは、まともな金を取れるように、クリエイティブの質を上げていけばいいじゃん、そこに価値が生まれるというのだけどね、もう、受け取る側がクオリティを求めてないんですよ。てか理解できてない。いっちゃうと理解する必要もないというか、、。

いいコピーを作ったって、届いても「ああ、いいね＾＾」で終わっちゃうし、イメージアップを図ったって、安い方に流れちゃうし、、。

例えばコスメの広告に高い金出して綺麗な外人使うよりは、安い金で愛用者のおばちゃん出したり、インスタグラマー使った方が売れちゃう、みたいな。。

そんなことしたら街は下品な広告で溢れて品が落ちる、という意見もあるかもしれないが、多分それでも誰も気にしなくて、というか気にするほどの感性の人もいないのが現実なんじゃないかなって思う。

（ってかむしろ、こんなの気にしてるの自分だけなのかも、、。。）

美しさをキープして居た費用が消え、価格破壊が起こる。当然クリエイティブ界の経済は上がらない。（一部儲けてる人はいるけど）。

昔は広告費が１００万あってね、というおじさまもいるが、いまはそんな世の中じゃないんです。広告費10万あればいい方。（あ、物によりますよ）

昔は賃金が良かったかもしれない。でもそんなの運が良かっただけだ。

今賃金が上がってなくて、そういうのを昔の人は不幸だというかもしれないが、求めなければいい話。車買って、家買って、ブランド物買って、いい家電買って、ってそんなのを求める人が少なくなったのは、それがなくても全然なんとかなるじゃんって築いた人が多くなったからだ。無理して働くより、300万でも十分暮らせるスタイルが作れてしまうのだ。

経済はこれからはほんと成長していかないと思う。

私はまだ、古い価値観の人間で、「あ〜、仕事奪われちゃうよ〜」と思ってる側の方なので、そういう私から見ると、こういう市場原理によって起こる、真綿で首を閉められるような価格破壊もコロナに劣らないパンデミックに見えるのですよ。。。涙