ミラノ・スカラ座の新シーズン開幕日
こんにちは。イタリア・ミラノに留学中の清水優美です。
皆さんは、オペラにも「シーズン」があるのをご存知ですか?
例えば、野球やサッカー、フィギュアスケートなどのスポーツには、「シーズン」がありますね。始まる時期、終わる時期はそれぞれですが、試合(競技)が開催される一連の期間のことをいいます。これらと同じように、オペラにもオペラ座ごとに「シーズン」が存在し、1年を通して、公演が行われます。
今回は、「スカラ座のシーズン開幕日」について書いていきたいと思います!
スカラ座のシーズン開幕日は、毎年12月7日。
どうしてこの日なのかというと、ミラノの守護聖人「聖アンブロージョ」の記念日なのです。そのため、"ミラノだけ"祝日になります。
ちなみに、イタリアの祝日は、普通の祝日(例えば日本でいう敬老の日、文化の日、のような…)だけではなくて、各都市ごとの祝日があります。それはなぜかというと、各都市の守護聖人を記念した祝日が定められているからです。
参考までに、各都市の祝日一覧です。
この日は、スカラ座のシーズンが開幕するだけでなく、ミラノ大聖堂の近くに毎年設置されるクリスマスツリーの点灯式があったり、
(ミラノ大聖堂 とクリスマスツリー )
ミラノ発祥のクリスマスケーキ 「Panettone(パネットーネ)」をクリスマスに向けて少しずつ食べ始める日であったりと、
(とても大きいケーキなのです!iPhone6と比べてみました。)
ミラノの人々にとっては、大切な日のようです。
さて、本題のスカラ座に戻りますが、実は当日は、チケットが普段の数倍の値段になるそうで、なかなか手が出ません。
(一番高い席は2500€(日本円で約30万円!)スカラ座のパンフレットより)
さらに、政治家や芸能人などの、VIP招待客などもいるようなのです。
(昨年の様子。イタリアの大統領やミラノ市長も見にきていたようです。11月18日のイタリアの新聞Corriere della Sera より)
….とここで、終わってしまうのかと思いきや、朗報です!
12月7日だけは特別に、スカラ座での上演を「国営放送Rai」がテレビで生中継しているのです。さらに、ミラノ市が主催で、ミラノの色々な場所のスクリーンで生放送(ライブ・ビューイング)することをメインイベントとした、「PRIMA DIFFUSA(プリマ・ディフューザ)」を開催しています。電力会社の"EDISON(エディソン)"も過去9回、スポンサーとして大々的にコラボレーションしているようです。
"EDISON E IL TEATRO ALLA SCALA"
Un connubio di oltre 130 anni, iniziato nel 1883 quando con 2450 lampadine Edison illuminò per la prima volta una rappresentazione scaligera grazie all'energia elettrica.
"エディソンとスカラ座"
130年以上にもわたる(エディソンとスカラ座の)コラボレーションは、1883年にエディソンがスカラ座の公演に初めて2450個の「電球(それまではろうそくの灯りだったようです)」を設置した頃から始まりました。
EDISONの公式サイト(https://www.edison.it/it/prima-diffusa)より
私は、駅に行く度に大きなスクリーンでのCMやポスター、車内でのアナウンスなどに触れて、街全体が盛り上がっていくのを感じました。
(PRIMA DIFFUSAのパンフレット。色々な場所に置いてありました。)
先ほど書いたように、ミラノ市では、色々な場所のスクリーンで生放送(ライブ・ビューイング)しているのですが、その中で特に有名なのは、ミラノ大聖堂の近くのガレリア(下の写真参照)の中に設置される、生放送用の大きなスクリーン。
昨年の様子ですが、こちら!!
(スクリーン左手には、スワロフスキー社のクリスマスツリー)
開演30分前に行きましたが、すでにたくさんの人がいました。ただとっても寒いので、防寒必須です!もちろん自宅やホテルのテレビでも楽しめますので、寒さが苦手な方は、まったり楽しむのもいいと思います。
(昨年の演目は、ヴェルディ作曲「アッティラ」)
ただ、「テレビでは、ちょっと迫力にかけるなぁ…」という人向けには、「PRIMA DIFFUSA(プリマ・ディフューザ)」として行われている、入場無料の(演劇の)劇場や音楽ホールでの生中継をオススメします!ミラノは、スカラ座でとっても有名ですが、実は街のあちらこちらに、たくさんの素晴らしい劇場や音楽ホールがあります。
私も今年、劇場に行ってみました。
演目は、ロシア出身の人気ソプラノ歌手アンナ・ネトレプコが出演する「トスカ」。
(スカラ座公式サイト(http://www.teatroallascala.org/en/index.html)より)
入場無料でも、事前に「整理券」の予約が必要だったのですが、一週間前で、すでにほぼ座席が埋まっており、ギリギリ予約が取れました。
(劇場での生中継の様子1 スクリーンの様子)
大きなスクリーンで音響もよく、スタッフの方の解説付きで、お客さんたちが興味深く耳を傾けていました。
(劇場での生中継の様子2 客席の様子)
また、休憩中には、音楽評論家の対談などもあり、とても楽しかったです。
そして、ロビーには、先に書いたミラノのクリスマスケーキ「パネットーネ」も劇場の方が配ってくださり、なんだかほっこりとした時間になりました。
(左手にある水色の箱が有名なメーカーMotta、今年100周年だそう)
帰宅した後、よくよくこのイベントのパンフレットを眺めていたのですが、エリアに分かれてたくさんのスポットがありました。
劇場だけでなく、駅、学校、美術館、病院、食品市場、ミラノのマルペンサ空港、そしてなんと刑務所まで….!!
(これでもほんの一部!)
いかがでしたか?
もちろん、実際にスカラ座に行けるに越したことはないですが笑、みんなが楽しめるようにミラノ市が企画しているこのイベントはとても素晴らしいと思いました。
次回もお楽しみに!
よろしければサポートお願いいたします。 いただいたサポートは、今後の活動資金や、作業のカフェ代に使わせていただきます(^_^)