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『天顕祭』@メディア芸術祭25周年記念展


東京、天王洲にある寺田倉庫で2023年2月に文化庁メディア芸術祭25周年記念展が開かれました。

https://j-mediaarts.jp/25jmaf/

先日11日間の会期を終え、巡回も無いようですので『天顕祭』に関する展示の様子をここに残しておきます。雰囲気を感じて頂けたら幸いです。


コンパクトな展示台が交互に向きを変えながら並び、窮屈さを感じないよう工夫された展示空間。『天顕祭』この年代順展示の折り返し地点近くに位置した。展示作品のひとつに『天顕祭』が選ばれた理由はやはり「同人誌で初めて」と言うことでは無いかと思う(自家製本を除く)。メディア芸術祭は公募であり国民的ベストセラーもホチキスで留めたコピー本も同じ1点の応募作として扱う。他の漫画賞にはない特色だった。それもあって今回は同人誌版を展示したかった。
上は入賞後にサンクチュアリ出版から単行本として出して頂いたもののカバー絵(プリント)。大幅にトリミングされたので全体を見て頂く機会かなと思って展示に入れた。書籍としてはやはりトリミングによってインパクトが大きくなったと思う。名和田耕平事務所さんにはその後「WOMBS」等のブックデザインでもお世話になった。
下は今回のために描き下ろした真中の絵(プリント)。
おぞましい「天顕祭」から年月が経ち、真中は「フカシ」を吸った竹を切る。地上に残された者のすべき仕事が今日も続く。
(展示用キャプション)


下絵と完成原稿の比較展示。中段の真中のアップのあとは咲の痛々しい背中だがネームでは坂本組との会話等が何ページも続く。下の回想のページも時系列が複雑になるコマをカットしている。


幻想的なシーンではPC上で主線を入れず鉛筆で描いたものをスキャンしてpainterで加筆して使った。仕上がりと比較できる状態で展示した。一番上のクシナダは英語版の表紙に使われている。


台上には奥からプロトタイプ版(未完成)のペン入れ原稿、下の方は下絵抜粋。祭りのシーンで主線にリアル筆ペンを使ったスキャン原稿も。クリックで拡大するとかなり見えます。


今回は何度も描き始めては挫折してきた『天顕祭』プロトタイプの原稿も一部展示した。マンガ原稿用紙にGペンでペン入れしトーンを貼った普通のアナログ原稿。この数枚は「おろちの君」を主人公に描き始めたバージョン。完成作の2つ前くらい。未完。当時はお祭りのイメージだけが強固だった。発想が生々しい。その前にも2、3バージョンくらいありすべて頓挫。展示には入れなかったが、そのうち1つについて以前noteに書いた。https://note.com/yumish/n/ne20b96acb940  当時のあまりの出来なさに情けなくなり最近まで奥深くしまいこんであったが最後の機会と思ったので見て頂くことにした。
1つ前の未完作。咲と真中のイメージがほぼ完成作に近くなるがストーリーが走るところまでは至らない。提灯行列は自分が子供のときの体験をもとにしているので入れたかったが完成作ではうまく入らなかった。そのかわり職人の安全祈願行列が盛大に行われた。


下絵抜粋。スキャンしてPCで主線を入れたのでそのまま残っている。1カ所紫なのは薄墨ペンが変色してしまったのだと思う。多分。



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