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第12回 リーキーガット症候群(腸漏出症候群)

2024年3月18日

健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。

「リーキーガット」という言葉を耳にしたことはありますか?
リーキーとは英語のleakが由来で「液体などが漏れる」、ガットは英語のgutで「腸」を意味します。つまり、リーキーガットとは腸の粘膜から異物(菌、ウイルス、たんぱく質)が血中に漏れ出す状態にある腸のことを指します。

腸の粘膜は普段異物を体の中に取り込まないようにバリア機能が働いています。
免疫細胞の70%が集まると言われている腸は、3つのバリア機能があると考えられています。
1つ目は腸内細菌叢が関与する環境因子バリアで、バランスの良い腸内細菌叢が病原菌などから守ってくれます。2つ目は物理的因子バリアで、細胞と細胞の繋ぎ目(タイトジャンクション)がしっかり閉じて有害物質の侵入を防ぎます。3つ目は生物学的バリアで、腸にある免疫細胞が働いています。
このように腸はいろいろな方法で身体を守っていますが、乱れた生活習慣や食習慣、ストレス、抗生剤などで腸のバリア機能が低下してしまいます。

リーキーガットは腸のバリア機能が低下し、有害物質が腸管の外に漏れ出て、血管に取り込まれたあと体の各部位で炎症を起こすことがあります。時間をかけてダメージを与えるので、気づかないうちに病気を発症したり体に不調を引き起こします。体に炎症が溜まることで痩せにくい体になったり、遅延型アレルギーを引き起こしたり、糖尿病やガンの原因となることもあります。

では、リーキーガットになった場合どのように治療したら良いのでしょうか?
治療方法は大きく分けて二つあります。

まずは原因の除去です。
腸のバリア機能を破壊する生活習慣を改善することが何より大切です。
食事では、グルテン(小麦)、カゼイン(牛乳)、砂糖、アルコール、カフェインを減らします。
適度な運動も、しっかり睡眠をとることも、腸内フローラを改善する上でとても大事です。

もう一つは腸管バリア機能の改善です。
腸管バリアを形成する栄養素はタンパク質、ビタミンB、ビタミンA、ビタミンD、亜鉛などがあります。ビタミンDはようやく日本でも注目されてきましたが、免疫に深く関わる栄養素です。日光に浴びると皮膚でビタミンDが作られますが、日本人の多くは日光を避けて生活しているのでほとんどの方がビタミンD不足です。ビタミンDは腸管粘膜の細胞と細胞の繋ぎ目(タイトジャンクション)をしっかり結びつける作用があるので、腸からの漏出を防ぐことができるのです。

原因不明の発熱や慢性疲労、不眠、肌荒れ、肥満などはこのリーキーガット症候群である可能性もあります。不調が続いているなら一度調べてもいいかもしれません。
不調となる原因を見つけて取り除いていく。
根本治療、体質改善でどんどん健康な体を手に入れましょう。
自分の体は自分でコントロールしていくことが大切です。


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