見出し画像

可愛いの弊害

「有名税」って、マジなんなん?って思ってる。有名人だからどうせ得してるんだろ、だったらその分の損も被れよって思想、私は個人的に日本人の嫌なところが凝縮してて気持ち悪いなぁと感じるのです。マスメディアに沢山出てる=お金持ち=美男美女と交際している=幸せな人生ってな感じでさ、全部等号で結ばれてると思ってる短絡的なとこ。そして他人の幸せを素直に喜べない感じ。「ザ・日本〜!!日の丸〜!!!」って感じがしますよね。まぁ感じ方は人それぞれなんで、強要しないし、共感出来ない人がいても勿論良いと思う。

唐突ですが、私は可愛い。もちろん橋本環奈ちゃんのように100人中100人が「可愛い!」って口を揃えて言う感じではなく。そんな絶対的な可愛さではないの。中の上、比較的、平均よりは可愛い顔してるのは自覚してるんですよ。さすがにこの顔で26年間生きてきたんで。
そりゃそこそこ可愛かったら異性にもモテる。私は隙がある感じを演出しているので(まあ実際に間抜けだしポンコツだし演出と素の半々くらいだけど)、めちゃくちゃにモテる。と言うか、つけ込まれやすい。ちゃんと好きになってくれる人もいるけど、ヤリモクの男がほとんどだ。お前らさ、顔が可愛いだけの女とヤって幸せ?満足する?性欲は満たされるだろうが、ちゃんと自分に好意を抱いてくれてる人と行為したくない?そんなの、私を使ったオナニーなんだよーって言うてますけども。

すーぐ話逸れる、なんの話ですか、これ?
まあですね、結論から申し上げますと、"有名税"と"可愛い"って似てますよねって話です。

私は可愛いので、気になった男性にアプローチして上手くいく事は多々あります。その時は「この顔に産んでくれて両親マジありがとー!」って思うんですけど。自分の好みの人ばっかりが寄ってくるわけなんて当然なくって。
キモおじも、倫理観ガバガバの既婚者も、雄は全部引き寄せてしまうんですよ。でも仕事関係でどうしても飲みの席とか付き合わなきゃいけなかったりするじゃないですか。その時は「もっとブスに産んでくれてたら人生楽だったのになあ」と両親を呪うのです。いや両親は何も悪くねえのは分かってる、分かった上でだ。

今日、ちょっと怖い事があった。私は婦人服を売る仕事をしているので勿論お客様は99%が女性、残りの1%の男性も、女性の付き添いで来店するって感じなんですけども。
開店直後の、私1人しか店におらず周りにも人があまり居ない時間に、50代の短髪白髪混じりのおっさんが来た。中肉中背、見た目は普通だけど、話すと吃音症っぽい。
スカート見てるから「ご贈答用ですか?」と尋ねた。そしたら自分用だと。ここで私は「女装趣味のあるおっさんなのかな?」と思った。むしろコソコソしてなくて良いなとも思った。スカート試着したいと言うから試着室案内して、中々出て来ないから「いかがですか?」って声掛けたらようやくドア開けてくれたの。
来た時は長ズボン履いてたから気付かなかったけど、スカート履いたらちゃんとベージュのストッキングも履いていて、「あ、これ完全に女装癖じゃん」って思ったのね。別にそこまでは良かったの。確かにちょっと「マジかよ」って一瞬固まったのは認める、でも別に偏見とかは無いのよ。セクシュアリティには寛容でありたい。
そっからなんだよね、試着室の中に椅子があるんだけどさ、座ったまま全く動こうとしなくて、だから私が試着室を覗き込む形になってさ、通路からも死角になるし、いつ試着室に引き摺り込まれてもおかしくないなって。ちょっとだけ身の危険を感じて。会話は普通に「このスカート可愛い?似合ってる?」みたいな感じだったから、まあ危害は加えない系かなと思って普通に対応してたんだけどさ。
なんやかんやあって、結局何も買わずに帰ることになったから、一応「この店が8月末で閉店しちゃうんですよー」って帰り際のさ、締めの会話してたらさ、突然名札をジッと見られて、「小堀さんって言うんだね、僕は田中っていいます。そっか、残念だね、せっかく今日知り合えたのに、でも当分こっちの方面には来ないからなぁ…」って吃りながら言って握手を求められて。はい、キモい。ここで完全に私の対応が適当なキャバ嬢モードになったのね。「え〜そうなんですか〜、残念です〜、でもまた来週も可愛いスカート入荷しますし、田中さんにもお会いしたいです〜」みたいな。自分で言うのもどうかと思うが、こういう事言わせたら上手いんですよ、私。
「まあ、また機会があったらね」つって私の肩ポンポンってして去っていってさ。キモ。帰った後すぐにコロナ用の消毒液で手も試着室も全部全部拭いた。空間に次亜塩素酸も撒いた(本当は人体に良くないらしいけど)。

幸い、私は電車の中で痴漢に遭った経験はないんだけど、やっぱりこういうのに出くわすと恐怖とパニックで頭真っ白になるね。ちゃんと変質者が来た時のマニュアル(警備室に隠語で「両替お願いします」って電話する)もあったんだけど、全部飛んだもん。まあ今回はギリギリ変質者じゃないだろうけど。でも痴漢に遭っても声出せない気持ちが分かった気がする。

気になる異性と恋仲になりやすい代わりに、こういう弊害もいっぱい抱えてるんすよ、こちとら。可愛いの弊害。可愛いには可愛いなりの苦労がある。
ちゃんと、どんな外見やどんな職業の人間でも、人生の幸と不幸がプラマイ0になるように設計されてるんですよね、可愛いは得ばっかりじゃない、ちゃんと損もあるんだぞ。だから妬むなよ、それ相応に不幸な目にも遭ってるから。

たまにさ、めちゃくちゃお顔が整っているアイドル(男女問わず)がさ、「好きでこの顔に生まれた訳じゃないっすよ」とか言ってると「何を贅沢ほざいてんだ〜」と思うけど、そっか、その顔で苦労したこともたくさんあったんだろうなと。その顔のせいで、何をするにもハードルが爆上がりして、胃が痛くなる日々を乗り越えてきたのでしょう、偉いプロデューサーに枕営業を求められる事もあったでしょう。全部推測ですが。でもマジで顔が良いってそういう事。

もう来世は美醜を気にしなくて良いものになりたい、木になって風にそよいでいたい、光合成して人間に感謝されながら生きていきたい。あ、クラゲとかも良いですね、水の流れに身を任せてたゆたっていたい。人間疲れた。

ニートなのでサポートして頂けたらご飯を買ったり家賃を払いたいと思います。