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【実用書レビュー】The 12 Week Year

この書籍にはまだ、日本語版がない。いずれ日本語訳が書籍化されるのかどうかも知らない。めちゃくちゃ簡単な英語しか読めない私は、この本のPDF版(全文がある)を翻訳に掛けて読んだ。それぐらい興味が湧いて、実践したいと思ったからだ。

最初に説明されるのは、タイトルにもある通り12 Week Yearの話だ。よく元旦に今年の目標を立てたり企業が年度の始めに年間計画を打ち出したりするが、目標を達成するのに1年は長すぎると筆者は言う。だから1年の始まりの頃はまだ時間があると目標を忘れ、1年が終わりに近づく頃までそれを放置して、最後の1〜2ヶ月で慌てて目標を達成するか、もう間に合わないと諦めてしまうのだと。だから1年単位で立てていた目標を、12週間単位の目標に変える。すると合間に休暇を挟みながら年に4回、年間目標に相当する目標を達成する事ができる。どうせ最後の1〜2ヶ月で達成していた目標なのだから、3ヶ月弱あれば達成できる目標だ、と。

なるほど、と思わせる話だけど、これは掴みでしかない。タイトルにもなっているのでこの12週間を1年に見立てる考え方がメイントピックだと思うかもしれないが、この本の真髄は短いスパンでどんどん目標を達成していくための手法を超具体的に書いてある事だ。まずは12週間ではない、もっと長いスパンの人生の目標を考え、その最終目標から逆算して数年後のビジョン、そこから目の前の12週間の目標を考える。そしてその目標から、戦略(と翻訳されたが、要するに測定可能な具体的な行動)を決める。
この徹底的に測定可能な事にこだわって自分が行動すべき事にフォーカスし、そして実際の行動を評価していく事にこだわっている点が、実践しやすい。そして、自分は今まで知識として知っていてやっているつもりになっていただけで、実際は全く具体的な目標も立てていなかったし評価もしていなかったなと思わされた。

例えば、12週間で6kg体重を落とす事が目標だとする。この場合、1週間に0.5kgずつ体重を落とすという戦略を立てがちだ。例えば、SNSのフォロワーを12週間で100人増やす、そのために週に8〜9人増やす計算、みたいな。
こういう結果に基づいた戦略は立ててはいけない。なぜなら結果は自分でコントロールできず、しかも行動からタイムラグがあって明らかになる。体重は、健康な食事や運動をしばらく続けると徐々に落ちていくものだ。SNSのフォロワーも、何をきっかけに増えるのかわからない。そういう不確定なものを戦略にしてはいけない。
自分の目標を達成するために、すぐできてその時測定できる具体的な行動を戦略にする。例えば、毎日ウォーキングを何分とか何kmする、1日の食事のカロリー摂取量は何kcalまで、など。毎日SNSに何回投稿する、他の人の投稿に何回いいねをする、何回コメントする、など。そういう、これをすれば目標を達成できるだろうと思われる、すぐに測定できる具体的な行動が戦略となる。

この本では実践しやすいように具体的に詳細が書かれているだけでなく、実際に行動した時につまずきやすい問題も書かれている。行動を起こしやすいだけでなく、行動してみて失敗してしても途中で止めてしまわないよう、継続しやすいという部分までフォローしている。知っている知識も多かったが、これだけ計画から行動までをひと続きで解説して、ただの知識で終わらせず行動まで導いている本はなかなかないと思った。

私はこの本を1ヶ月ちょっと前に読んで、その時はちょっと忙しくてすぐには実践できなかったけど、3/4(月)-3/24(日)までの3週間、お試しでこのメソッドを試してみた。3 Week Yearだ。
それまで毎日起きた時にその日の予定を書いて行動していたのだけど、3〜4日後の予定を忘れていてペースが狂ったり、毎週や毎月の決まったタスクをわかりやすく管理するべきだと感じていたところだった。だから自分の需要に合っていたし、行動と測定にこだわったこの手法は達成度が明快でとてもやりやすかった。なぜ3週間にしたかと言うと、1年を4つに分けて12 Week Yearを構成するとき、その期間は例えば以下のようになる。
2024年1期:1/1(月)-3/24(日)
2024年2期:4/1(月)-6/23(日)
2024年3期:7/1(月)-9/22(日)
2024年4期:9/30(月)-12/22(日)
だから1期目をお試しで3週間だけやって、2期目から正式な長さの12週間でやればいいと考えたのだ。やってみると改善点がよくわかるので、区切りよく12週間を始められない人も、お試しで何週間かやってみるのはおすすめだ。
なお、この本は爆速で目標を達成するよう強烈に背中を押す一方、休憩の大切さもめちゃくちゃ説いている。私もつい計画を詰め込みすぎて失敗したりガス欠になったりするタイプなので、休憩を盛り込んだ計画にする事には特に留意するよう伝えておく。

最後に。このメソッドを実践するなら、この本をまとめているウェブページや動画などだけ見て始めるのではなく、本をちゃんと読んでから実践した方が著者の意図が伝わるし、絶対に失敗しにくい。遠回りのように見えて、一番の近道だ。
「12 Week Year pdf」で検索して、英語が読める人はそのまま、私のように読めない人は翻訳に掛けてでも読んで欲しい。機械翻訳にはちょっと日本語が変な部分もあるけど、それでもまとめを読んだり見たりするより得られるものは多い。

『The 12 Week Year』 Brian P. Moran / Michael Lennington 4.0

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