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旅行記 島根県 出雲大社・足立美術館

日本の神話の地 出雲へ
 日本の国を作ったという大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀っている出雲大社。出雲はどんなところか、興味があって、出雲大社に行くことにしました。
 1日数本出ているJALの飛行機で、羽田から出雲空港へ。出雲空港から飛行機の到着時刻に合わせてでている直通バスに乗り込みました。乗り遅れないか心配でしたが、運転手さんは乗降客のバス利用の人がすべて乗ったか確認して、出発していたのでホットしました。約40分で、到着。荷物を預けるところが他にないそうなので、出雲大社のちょっと前、ローカル線一畑電車の出雲大社前駅で降りました。この近くで、出雲名物の割子そばと香りがよく新鮮な舞茸天ぷらをおいしくいただきました。
 出雲大社での観光客は、日本人観光客がほとんどで、外国の方はあまり見かけませんでした。韓国の方がちょっといたかなという感じです。

大国主大神とウサギ
 門前の神門通りを数分歩くと、勢溜(せいだまり)の大鳥居があらわれ、鳥居をくぐって、松に囲まれた参道を歩くと、丸みをおびた数匹のウサギの彫像が目に入ってきました。
 大国主大神が、浜で丸裸になっていたウサギを助けて、元通りの白い毛になったウサギは、お礼に大国主大神を八上(やがみ)姫のところに連れて行ったという話が出雲にはあります。神々が集うという出雲大社は縁結びの神様とてして有名です。
 土産物屋では、多くウサギの置物、うさぎの形のお菓子が売られていて、私も、ガラスのうさぎの置物を買ってしまいました。

神が集う出雲大社と神迎えの浜
 参道の先には、拝殿、御本殿があって、拝殿の左方向に神楽殿があります。御本殿は約24mの高さで、日本の神社建築の最大級で、国宝です。拝殿と、神楽殿には、巨大な大しめ縄が飾られています。建物は、木造で、彩色が施されていないので、全体としては、渋く、焦茶と、鶯茶、灰茶で、長い長い年月を感じさせられます。この建築物の形から、吉野ヶ里遺跡を思い出しました。
 旧暦10月に出雲大社に全国の神々が集まるそうです。神々をお迎えするといわれる稲佐の浜が、出雲大社から、歩いて20分ほどのところにあります。稲佐の浜から出雲大社までの神様が通る道、神迎の道があります。この道をタクシーで通りましたが、通常のアスファルトではなく、ちょっと色が違いました。
 お宮が点在していて、浜が近く、そこから緩やかに上ったところに大社があります。現代のような交通機関・乗り物が発達していない時代であれば、住みやすく、人が集いやすい場所だったのではという感じがしました。

島根県立古代出雲歴史博物館・出雲国風土記
 県立古代出雲歴史博物館の前は、簡素ですが、短い丈の笹、阿亀笹(おかめざさ)が一面に植わっていて萌黄色が鮮やかでした。中は、新しく、出雲の歴史を、短い動画と展示物で分かりやすく展示していました。この数々の動画を見て、出雲の歴史がざっと理解できました。西暦733年(天保5年)に完成した出雲国風土記が、ほぼ完本で日本で唯一残っている風土記です。他国の風土記よりかなり詳しくよくできたものであるそうです。出雲国風土記が完本で残っていたことが、出雲を神話の国へといざなったのでしょう。

出雲大社から足立美術館へ
 出雲大社近くの旅館で一泊し、翌日は、島根県にある足立美術館に行きました。足立美術館は雑誌やTV番組で、見たことがあったので、一度は行ってみたいと思っていたのです。足立美術館は、米国の日本庭園専門誌The Journal of Japanese Gardening の日本庭園ランキングで2003年から日本一に選出されています。日本庭園と横山大観、魯山人などの日本美術の美術館で、この地出身の実業家、足立全康氏が、1970年に設立しました。

雄大な自然の山を借景にした枯山水庭
 JR安来駅から、足立美術館専用の無料シャトルバスで、途中、特に有名な観光スポットもなく、約20分で着きました。足立美術館に入ると、勝山という自然の山を背景、借景にした枯山水の庭の情景が目に入ってきました。枯山水とは水を使わない石や地形の高低で作られた庭だそうです。
 日本庭園ではあるけれど、雄大であり、近景の丸く刈り込まれた木々は、全体と見事に調和しています。自然でありながら、芸術でもあるという日本の美の粋を詰め込んでいるような眺めでした。
 よくも、庭園の借景となる山を見つけて、その地に庭園を造ったなあと、足立全康氏の日本の美への強いこだわりに、感銘をうけました。日本人にとっての極楽浄土の風景ってこんなものかなととも思いました。

生の額絵、心に沁みる
 庭園は、美術館の通路からガラス越しに眺めるのですが、生の額絵という庭園の一部が額絵のように見える、窓枠があります。そこから庭を眺めると、手前に3分の1ぐらいに広がる大木があり庭が額絵のように見れます。
 この構図は、尾形光琳の「紅白梅図屏風」、歌川広重の「名所江戸八景 亀戸梅屋敷」に連なるものがあります。濃い色の樹木が大きく眼前にくることにより、この樹木、植物が絵の主役であるという印象を強めます。
 横山大観の「唯だ絵は何処までも心で描かねばならぬという一事を忘れてはならぬ。心によりて筆生ずだ」という言葉が思い起き、刻刻と変化する自然の中での木々の強さを感じました。

出雲大社と足立美術館を巡る旅は
 日本のはじまりどんなだったのかと思いを馳せ、日本の美を追求した美術館を堪能した旅路となりました。



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