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佐久間裕美子のMyLittleNewYorkTimes

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書籍化したMy Little New York Timesから1年前の今日の日記と今年の日記を対にして不定期にお届けします。
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#アメリカ

6月1日 #blacklivesmatter

大変な週末だった。 警察によるジョージ・フロイドさんの殺人事件への抗議運動が、昼間、平和に行われる模様を、デモが起きると必ず飛び出していくフォトグラファーたちのインスタ・ストーリーで追った。 最初は、デモに参加している人たちの間隔やマスクをしているかを気にかけていたのだが、だんだん不穏な空気が漂い始めるのがわかった。日が落ちるのが近づく時間帯から、状況が急激に悪化して、パンデミックが起きていることを忘れさせるインパクトの事態に発展した。見る写真が平和なデモ隊から、警察とデ

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マリファナをめぐるあれこれについての続報

「真面目にマリファナの話をしよう」は、アメリカの、そして国際的なマリファナに対する認識がどのように変わったか、ということを、歴史的な推移と、医療的にマリファナを必要としてきた人たちによる戦いを通じて振り返り、かつ医療面での効能で今わかっていることについて書いたものであった。 意図として「日本ではタブーになっていることを平坦な言葉で書く」というものがあったので、日本の法律的なことや医療面での効能は、かなり割愛した部分もあった。 もうひとつ、本が刊行されるときに「日本では、こ

ロバート・フランクのアメリカ、私のアメリカ

数日前、川内倫子さんのアニエス・ベー・ギャラリーで行われた個展を訪ね、その後みんなでご飯を食べているときに、ニューヨークの友達から、ロバート・フランクが亡くなった、というニュースのリンクが送られて来た。 大御所が亡くなるたびに、いろんなことを考えるわけだけれど、今回はいつも以上にズシンと心が沈むような感覚を覚えた。ロバート・フランクがいなければ、自分のキャリアはなかったと思っているからだ。 アメリカに行って10年が経った2006年頃、ほとんど東海岸の一部でしか時間を過ごし

白人ナショナリズムの心理学

インディアナのファーマーズ・マーケットで、ブースを出していたオーガニック・ファームのカップルが、実は白人ナショナリズム団体とつながっているという疑惑が持ち上がり、ひと悶着起きている、という記事を読んだ。 この記事を読んだときの暗澹たる気持ち、どう説明すれば良いだろうか。 まずひとつに、この記事を読むまでは、ファーマーズ・マーケットのような場所にいる人たちはプログレッシブであろう、というナイーブな仮説のもとに自分が生きてきたことである。そして、もはやその希望的観測をもっては

トランプ・カントリーにて(4日目)

3日目のエントリーは、こちらにアップしました。 ノースダコタ州ファーゴのモーテル。チェックインを済ませ、外に出ると、口笛とともに「ママシータ」という声がする。声が聞こえたほうを見ると、灰皿の横に、サングラスをかけた白人男性二人が立っている。周りを見回すと、女性は私しかいない。車に乗り込んで、what the fuck is wrong with people とつい言葉が出た。男友達が「なにか言われたのか?」というので、起きたことを説明すると、「気のせいだよきっと。あっちの

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トランプ・カントリーにて(第2日目)

ミズーラに1週間ほど滞在していたコリーがパッキングする間、友人のベン・フェレンズに連絡した。ベンはFairEnds というブランドをやっていて、ミズーラ郊外のファームに住んでいる。

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マリファナをテーマに本を書きました

先日、ニュースのヘッドラインに「ニューヨーク」「大麻」という言葉を見た人も多いと思う。 日本では、メディアや書き手によって「合法化」「非犯罪化」「処罰を緩和」など、表現にバリエーションがあった。実は、ニューヨーク州では、マリファナ(カンナビス)の所持や吸引を、いわゆる犯罪ではなく、立ちションや路上での飲酒と同様に、罰金を課す軽犯罪として扱う「非犯罪化」は、とっくの昔(1977年)に最初の一歩が行われていて、ただ長いこと、NYPDがそれを無視するという時期があり、そこから少し