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第一東京弁護士会 創立100周年記念 宇宙法シンポジウム

 今回は、第一東京弁護士会が開催する創立100周年記念宇宙法シンポジウムをご紹介します。

1.第一東京弁護士会 宇宙法研究部会

 第一東京弁護士会の宇宙法研究部会は、2016年春に、司法研修所の同期同クラスの水島淳弁護士と構想して、立ち上げることにしました。

 諸手続きを経た後、2017年1月から、第一東京弁護士会においてシンクタンク的機能を有する総合法律研究所内に設置することが認められました。

 設立メンバーは22名でしたが、若手弁護士の宇宙法分野への関心は高く、第一東京弁護士会としては異例のスピードで100名規模に達しました。

 特徴は多様性で、弁護士会務の経験が少ない大手法律事務所、外資系法律事務所、インハウス(企業内弁護士)の若手会員も多数所属しています。

 部会は年8回開催し、通常は、部会員2名が発表をして、質疑応答などを通して部会員同士で議論をするスタイルで進めています。

 また、青木節子慶應義塾大学大学院教授、小塚荘一郎学習院大学教授、中須賀真一東京大学大学院教授、袴田武史株式会社ispaceCEO、夫馬賢治株式会社ニューラルCEO、内閣府宇宙開発戦略推進事務局・防衛省等の外部講師による部会内講演も開催してきました。

 他にも、国立天文台や宇宙航空研究開発機構(JAXA)の視察、「弁護士による宇宙ビジネスガイド」(2018 年 同文舘出版)の出版等積極的に活動しています。

2.テーマは「宇宙資源開発」

 宇宙法研究部会には、設置時から、第一東京弁護士会が100周年を迎えるにあたってシンポジウムを開催して成功させるという重要なミッションがありました。

 そのため、このミッションを念頭に置いて、宇宙分野の研究活動を進めてきました。

 宇宙資源開発は、当部会内で最も法的議論を積み重ねてきた分野になります。
 部会内の主流派である積極的見解のみならず、慎重な見解からも、国際法や国内法問わず、様々な法的角度から議論をしてきました。
 
 そして、2021年6月、日本では、民間事業者が採掘した宇宙資源に対する所有権を認める「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律」(令和3年6月23日法律第83号)が議員立法で成立しました。

 米国、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦(UAE)に続き、世界で4番目の国内宇宙資源法になります。

 この法整備のために、水島弁護士、藤井康次郎弁護士、石戸信平弁護士等複数の部会員が政府・与党に協力しました。

 2020年当時のNASAは、2024年に約50年ぶりに有人月面着陸を実現させる「アルテミス計画」を進めており、この計画を加速させる目的で、同年10月に、日本を含む有志国8ヵ国が「アルテミス合意」に署名し、後に10ヵ国が順次追加署名しています。

 2021年には、5月31日から6月11日まで、オーストリアのウィーンで、ハイブリッドによる第60会期国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)法律小委員会が開催され、続く同年8月25日から9月3日までは、第64会期国連COPUOS本委員会が開催されました。
 2022年は、前年と同じ方式で、2月7日から18日まで第59会期国連COPUOS科学技術小委員会、3月28日から4月8日まで第61会期国連COPUOS法律小委員会が開催されました。

 私はいずれの会期にも全日程においてUNISEC-Globalを代理して出席しました。

 現在、国連COPUOSには、日本を含め100カ国がメンバーとして加盟し、UNISEC-Globalは、パーマネント・オブザーバーの資格を有しています。オブザーバー資格は、現時点で、世界で約50の団体・国にしか認められていません。

 そして、いずれの会期においてもメインテーマは宇宙資源開発と言っても過言ではない状態でした。「アルテミス合意」と宇宙諸条約との関係等を巡って、メンバーやオブザーバーによる白熱した議論が繰り広げられた上で、宇宙資源WGが設置されることになりました。
 今年も会期の内外で、宇宙資源WGによる多国間協議が続けられています。

 国際社会の最新イシューともいえる宇宙資源開発は、当部会が設置当初から研究してきたもので、当部会は国際社会における最新の法的知見を有していると自負しています。

3.「人つながりて事なる」

 第一東京弁護士会は2023年5月8日に創立100周年を迎えます。
 そこで、2022年4月から2023年3月までの1年間に、複数の100周年記念行事を開催することが決まりました。
 
 宇宙法シンポジウムは、一連の100周年記念行事のトップバッターを務めます。

 ご来賓挨拶は、上川陽子衆議院議員(前法務大臣)にお引き受けいただくことになりました。

 上川議員には、2018年に、第一東京弁護士会元会長(1987年度)の岡村勲弁護士の紹介で、初めてお目にかかりました。

 岡村弁護士は第一東京弁護士会を代表する弁護士のお一人であり、著名な方なので、ご存じの方も多いと思います。

 以来、上川議員からは、プレゼン方法のアドバイスをいただいたり、複数の法分野でご支援いただいてきました。

 私にとって、青木教授、上川議員、川島レイUNISEC国際委員会委員長は、ロールモデルにもさせていただいている3人の尊敬する女性です。

 以前、初めて本を出版した際、ご指導いただいた岡村弁護士に対して、記念にサインをくださいとお願いしたところ、「人つながりて事なる」との言葉を添えて書いていただいたことがあり、とても大切にしています。

 現在、宇宙法シンポジウムの準備を進めていますが、多くの方々からのご協力を得ることができ、岡村弁護士の薫陶を日々噛みしめています。

 下記に宇宙法シンポジウムのご案内をいたしますので、皆さまにご参加いただければ幸いです。

4.「宇宙資源がもたらす新たな産業・社会パラダイムと法」

【日時】 2022年5月27日(金)午後1時~午後4時

【場所】  Zoomウェビナーによる開催

 【参加対象】 一般公開(どなたでもご参加いただけます)
【参加費】        無料
【定員】    500名(申込順、事前申込制)
【主催】    第一東京弁護士会 総合法律研究所 宇宙法研究部会
【参加方法】    末尾のPDFをご確認いただき、申込フォームからお申込みください (申込期限:2022年5月13日)
                         https://forms.gle/QMjyqni16hbnne5o8

▶宇宙法研究部会2030-活動紹介と将来展望
髙橋優 弁護士(長島・大野・常松法律事務所)

第一部 基調講演

▶はやぶさ2の挑戦と宇宙探査技術
津田雄一 氏(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 教授)
▶宇宙産業の発展における法律家の役割
小塚荘一郎 氏(学習院大学法学部 教授)
▶宇宙ビジネスとルール形成の新地平
夫馬賢治 氏(株式会社ニューラル CEO)
▶世界の宇宙資源ルールメイキングと我が国のビジネス・法政策の進展
水島淳 弁護士(西村あさひ法律事務所)

第二部 パネルディスカッション

モデレーター
大島日向 弁護士(中村・角田・松本法律事務所)
パネラー
津田雄一 氏、小塚荘一郎 氏、夫馬賢治 氏、石戸信平 弁護士(西村あさひ法律事務所)