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第三章 手続き編④(高額療養費)

一人暮らしの独身の弟が意識不明で入院した。その時、家族は何を、どんな順序で、どのように手続きしていけばいいのか。遠方に住む場合はどうすべきか。高額の医療費を払ったときの高額療養費申請について。(家族が意識不明で入院した時しなければならないこと~倒れた弟は遠方で一人暮らし、独身、会社員~第7回)
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9.高額の医療費を支払ったときは「高額療養費」を申請


自己負担限度額(以下の図を参照)を超えた医療費を支払った場合は、申請すると支払過ぎた分が払い戻される。高額療養費は①「限度額適用認定証」を使わなかった時②月の途中で転院して合算の医療費が自己限度額を超えた時③同じ公的医療保険加入の家族も21000円以上医療費を支払い、合算額が自己限度額を超えた時に申請する。

ただ、通常払い戻しに3カ月ほどかかってしまうので、もし資金繰りが大変な時は、「高額医療費貸付制度」を利用できる。これは、高額療養費支給見込額の8割を無利子で貸りられるもの。すぐに健康保険組合に問い合わせしよう。この貸付制度は国民健康保険でも利用が可能だ。

自己限度額(各月の1日~末日の支払額)は年齢と収入で違うため、以下の図を参照のこと。

69歳以下の自己負担限度額(協会けんぽHPより)

①「限度額適用認定証」を使わず医療費を支払ったとき

 万が一、「限度額適用認定証」の申請が間に合わず、病院窓口で自己限度額を超えた医療費を支払ったときは「高額療養費」の支給を申請しよう。
 

②月の途中で転院したとき

 「限度額適用認定証」を提示しても、転院すると双方の病院で限度額まで支払う必要があるため、高額になってしまう。それぞれの病院で支払った額の合計が自己限度額を超えた場合は「高額療養費」を申請すれば、限度額を超えた分は払い戻される。

③同じ公的健康保険に加入の家族も高額の医療費を支払ったとき(世帯合算)

同じ公的医療保険に加入している69歳以下の家族がいて、一人当たり1カ月2.1万円以上窓口負担した場合は、合算できる。
合算した額が自己限度額を超えたら高額療養費を申請しよう。少々ややこしいのだが、外来、入院、医科、歯科の4区分で、それぞれ1カ月2.1万円以上支払いした場合のみ合算が可能だ。

ただし、共働きなどで夫婦が別々の保険に加入している場合は合算できないので、注意が必要だ。また、健康保険の被保険者と後期高齢者(75歳以上)医療保険の被保険者分も合算できない。

申請できる医療費については第二章◆医療費を参照のこと。それ以外は自己負担限度額の適用外(自費)となる。

加入している健康保険組合や共済組合のホームページで、申請書類をダウンロードして必要事項を記入して健康保険組合に郵送する。振込口座は本人以外も可能だ。診療日の翌月初日から2年間は申請ができる。

厚生労働省のHP「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf



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