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【2020年1月11日全国高校サッカー選手権準決勝】観戦記

日本のお正月はスポーツイベント満載

お正月といえばニューイヤー駅伝、サッカー天皇杯に始まり、スポーツイベントが目白押しです。

今日はその中でも全国高校サッカー選手権大会(通称:選手権)を現地観戦してきました。

私は毎年、準決勝(年によっては決勝の場合も)を30年近く観戦しています。

昔は準決勝からが旧国立競技場で、高校サッカーの合言葉は「夢の国立へ」だったのです。

2014年度から舞台は埼玉スタジアムに映りましたが、年々高校サッカーのレベルや戦術レベルは上がり、そして近年は地域差も少なくなってきています。

早速レビューしていきます。

準決勝は以下の2試合

第1試合 青森山田高校(青森)vs帝京長岡高校(新潟)
第2試合 静岡学園高校(静岡)vs矢板中央高校(栃木)

第1試合 青森山田高校(青森)vs帝京長岡高校(新潟)

この10年ぐらい、青森山田は高校サッカーの横綱的存在となっています。過去10年間の選手権で決勝進出3度(うち2回は優勝)。青森県代表となるのは23年連続25回目と圧倒的です。すごいのは県レベルですごいのではなく、全国的にトップレベルだということ。

対する帝京長岡高校は、ここ数年、全国的な知名度がどんどん上がってきているチームです。選手権は2年連続7回目の出場。準決勝進出は初めてです。

試合前は漠然と「青森山田が優勢だろうなぁ」と考えていました。

試合開始から帝京長岡のラッシュ炸裂


試合が始まってみるとチャンスを作るのはとにかく帝京。序盤に惜しいチャンスが2〜3度。どんどん仕掛けて、シンプルにセンタリングして真ん中で合わせていきます。

青森山田も「らしくない」不用意なパスミスを突かれてみたり、戦前の私の勝手な予想に反して、帝京が優位にゲームを進めていきます。

と思った矢先、なんと山田が先制。右サイドの落ち着いたボール回しから少し崩れた体制でヘディングを押し込んでいきました。

これが伝統の力なのでしょうか?

帝京長岡の谷口哲朗監督は私が座っているメインスタンド3列目からすぐ近くにいます。大きい声とアクションで選手に指示を送り、鼓舞します。

「ブロック!ブロック入れ!」「守備から!守備からだぞ!」

帝京は左サイドからの崩しをよくしていました。特に9番は同じフェイント(得意の形なのでしょう)から3〜4度いいボールを中央に送っていました。

前半はあっという間に終了。

後半開始直後に追加点


後半開始直後、両チームともにちょっと「ゆるんだ」一瞬がありました。そのスキをついて山田が2点目。選手にも観客席にも「緊張感のゆるむ時間」がありますが、まさにそんな時間でした。

これで2対0。ですが、グランドレベルの攻防はとにかくスリリングで互角の戦いです。帝京も早めに1点を返せれば全くわからない状況。

チャンスはどんどん作る帝京。64分のチャンスは山田のGKがナイスセーブ。またもスタンドにため息が。

帝京の攻めが少し単調になり、「縦に」「真ん中に」なってきたと感じていたころ、77分になんと1点を返します。

これでまだまだ分からない、場内は少しザワザワしています。チャンスはまだまだ作ります。ギリギリまであきらめない。最後まで攻め続けます。

最後のシュートが外れ、しばらくしてタイプアップ。

2対1で青森山田が決勝進出を決めました。

第2試合 静岡学園高校(静岡)vs矢板中央高校(栃木)


静岡学園が選手権の準決勝に上がってきました。静岡県代表となるのは5年ぶり12回目の出場です。以前、準決勝で見たことがあります。多分1996年かな。久保田選手(だったかな?)の胸トラ&ボレーを覚えています。

対する矢板中央は赤と黒のユニフォームで「強そうだな」と感じるスタイル。センターバック陣の体格も良く、フィジカルは例年強いイメージがあります。まさに「赤い壁」がシズガクの前に立ちはだかります。

対照的な両チーム

試合は戦前の予想通り、靜学の「攻め」、矢板の「守り」という構図。しばらくすると矢板陣内に靜学GKを除く21人が入っている状況。矢板は守って守って「ワンチャン」にかけます。

靜学はとにかくドリブル!ファーストチョイスは全員がドリブルです。そして仕掛ける。撃つ!。タイミングは他のチームよりも1秒ぐらい早く撃ちます。完全に抜いていなくても、ボールをずらしてコースが少しでも空けば「撃つ!」。とにかく潔い。メインスタンドのサッカー通おじさん達はうなります。

「靜学撃つね〜」「はやっ!」「仕掛けるね〜」「やっぱり撃つね」

攻撃の中心となるのは背番号10の松村選手。彼もボールを持ったら小気味良いドリブルで仕掛けます。驚くのはキレイに抜けなくても、とにかく前に前に進むこと。そして彼が動けばオトリになって、周囲の味方がフリーになります。

攻める靜学、守る矢板。「ワンチャン」もなかなかやってきません。

そして試合終了間際


これはPK戦かなぁ、と誰もが考えていた90分。アディショナルタイムは3分と表示されました。靜学が攻め込み、ワンタッチパスを受けた選手が左足アウトサイドで持ち出そうとした瞬間、倒れます。そしてレフリーはPKを指示。場内騒然。メインスタンドの私の位置からはPKか外側か際どいと感じましたがリプレーを見ると、完全にエリア内。

そして松村選手が落ち着いて決めて、そのままタイムアップ。静岡学園が1995年以来の決勝進出を決めました。


「攻め」と「守り」。「矛」と「盾」。コントラストのハッキリした対戦。しかもハイレベル。うーん良い試合。

2試合を見ての感想


2試合ともにレベルの高い良い試合でした。特に1試合目の帝京長岡は青森山田相手に「かみ合った」試合内容で、むしろ押していたのは帝京でした。先制点が帝京に入っていたら、本当にどうなるか分からない試合だったと思います。

でもこれが伝統の力なんでしょうか。青森山田は昨年、一昨年のチームにあったような圧倒的な個のレベルの高さ、というよりもチームとしての平均点の異常なまでの高さ、を感じました。やはり黒田監督、長年の指導でプレーの隅々、細かい先述の一つ一つまで高めてきています。

というわけで、夕焼け迫る埼玉スタジアムを後にしました。

やっぱり高校サッカーは良いですよね!若さって良いなぁ、青春って素晴らしい。オジサンは毎年毎年感動しながら帰ります。

また来年、準決勝を見に行きます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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