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エッセイ等

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柔らかめの散文
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2020年12月の記事一覧

生命の水

生命の水

 その国を、虚無がむしばんでいた。
 住民たちは恐怖におののいていた。

 ドイツの児童文学者、ミヒャエル・エンデによる長編ファンタジー『はてしない物語』(上田真而子・佐藤真理子訳)を三十数年ぶりに読み返したくなったのは、緊急事態宣言のさなかだった。
 あかがね色の布張りの、ずっしりした本のページは黄ばみ、奥付を見ると「一九八六年一○月一日 第二四刷発行」とある。
 その年の十二月下旬、父方の祖母

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