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母からのお下がりを実家に送る日

12月30日

適当に朝食を済ませて
ダンボールを組み立てる。

粛々とハイブランドのバッグが詰められていく。
CHANEL、LV、GUCCI、、、
あと、名前は忘れたが200万するとか言われたバッグetc...

全て母からのお下がりである。
総額いくらするかも分からない。
ハイブランドに興味がないからだ。

そんな貧乏性な私のもとへ来てしまったばかりに
日の目を見ることはなかったバッグたち。

それらを母に返すのではなく
一時的に実家に置かせてもらうという話でまとまったので
ダンボールに詰めて行った。

これは私にとって大きなステップである。
年末に不要なものを手放せるといった快感を抱きながら
ひとつひとつ丁寧に型崩れしないよう新聞紙を詰めながら
ダンボールに納めていく。

手を動かしながらふと思い返す。
そもそもなぜ使いもしないのに
受け取ってしまったのだろうか…

そうだ、そうだ。
断れなかったのだ。

私は断るのが苦手だ。
これらのバッグも
「ありがとう。でも、私には可愛すぎるかな」
「小さいから使わないかも〜」
なんて曖昧な返事をするものだから

母からは「大丈夫!シンプルだから!」とか「絶対使いやすいから!」とか言われて
とりあえず持って帰るという流れになってしまったのだ。

最後にもらったお下がりはGUCCIのバッグ。
このときばかりは私もはっきり言えるよう成長していた。(つもりだった。)

私ははっきり「有難いけど要らない。」と口にした。

思いつく限りの断り文句も口にした。
「デザインが好みじゃないし」「こうゆう形使いにくいから使わないんだ」「持ち歩く荷物が多くなったし、汚れてもいいやつがいいんだよね」

母に刃向かったと思われるんじゃないかと
ドギマギしながらも
断った。これだけ言えば断れた思った。

「いやいや、あんたの荷物みてたらこっちの方が絶対にいいよ!」
「デザインだってこれからも使えるし、汚れても大丈夫な素材だから!」
と言って私の車にポンと乗せてくれた…。

どうしようか。
でもやはり使えない。
これは私が意地っ張りなのか?
もっとこれらのバッグに合う洋装をしろというメッセージ?

いや、しかし
今は0歳児を抱えながら3才児を追いかけ走り回る毎日。

お出かけといえば
友だちのお家でお昼ご飯を食べるとか
送迎ついでに公園で砂に塗れて遊ぶとか

そのため足元は常時スニーカー。
UNIQLOのスキニーに汚れても良いロンT。
メイクはほぼすっぴんに近い。(これもまた別の理由があるが、ここでは割愛させていただこう。)

ハイブランドのバッグなんてチグハグにも程がある。
いや、ハイブランドでもカジュアルなものならまだいいのかもしれないが
母からのお下がりというと
VERYに出てくるような『可愛いキラキラママん♡』系のバッグ

とにかく手放したくて仕方がなかった。

ああ、そういえば1度だけ職場に持っていったことがある。

私なりに母の気持ちを汲んだつもりだった。
でもプライベートで友だちと会うときに使うのは恥ずかしいし、
職場だったらファッションとか関係ないし、使うのに丁度いいという理由だった。

持っていったその日、先輩から
「そんなブランドバッグ持ってきたら危ないよー!もったいない!」
と指摘を受けた笑

それ以降クローゼットに終われ、引っ越しのときと気分で掃除をするときのみ手に触れた
それだけ。

次第にクローゼットを開けるたびにバッグと目が合う気がして
だんだん胸が苦しくなってきたのだ笑

私なりに母とのコミュニケーションを学び
先日やっと
「あれ、使わなくてさ、申し訳ないんだけど。」
と申し出てみた。

母「売るのは絶対にダメだからね!」

私「うん、もちろん売るなんて考えてないよ」と、
お下がりには感謝していることはしっかり伝える。
私はやはりキャラ的に使えない。
→娘がいつか使いたいと言うかもしれない
だからそれまで実家に置かせてほしい。

といったことを伝えてみた。

不思議と以前のようなドギマギは薄かった。
以前よりも母の目をみて話す時間が長かった。

なるべく怖がらないで
そのために母からの言動に愛情を感じ取ることに注力して

そうやって対話を試みた。

実家に置かせてもらえることになった。

そんなことを思い返しているうちに
ダンボールにバッグを詰め終わり
玄関に運んだ。

また一歩、母との距離が縮まった気がした。

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