作文「意外な素顔」局外者編

よく見かけるから、覚えてた。

目立つ子だから覚えてた。

彼女は私の家の近所で良く見かける、若い子だった。毛先だけをピンクに染めた、変わった髪色をしており、いつもメイクはバッチリで、色白の肌にはピンクのアイシャドウとチークが踊っていた。

何処に行くのかというくらい、高いかかとの靴を履いて、サンダルとスウェット姿の私をすれ違いざまチラッと見下して追い越して行った。

だから、初めは見間違いかと思った。彼女が夕刊を配る姿を見た時は。

だけど、あの毛先だけピンクの髪色は見間違いようがない。

色白の肌はそのままに、彼女はブカブカ過ぎるパーカーに、無骨なヘルメットを被り、ジーンズにスニーカーという、およそオシャレとは程遠い格好をしていた。それに、彼女は意外と小柄だった。すれ違いざま驚いたが、なんと私よりも背が低かったのだ。

彼女は私を追い越し、道端でおしゃべりしている同年代の女の子達をも追い越していった。

その毅然として歩いて行く、新聞を持った小さな後ろ姿を見て、苦労という文字が結びつき、次いで私の中に同情という名の感情が生まれた。

私は遠ざかっていく彼女の後ろ姿を、見えなくなるまで見ていた。

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