バチくそ長いママの話(プロローグ+エピソード7つ)

「てきとーに、てきとーに。」
それがうちの母の口癖である。

しかし全然、てきとーにしているようには思えない。
本当にてきとーに育てたのなら、子ども6人全員が若干マザコン(表にはあまり出さないが「ママ大好き」って思ってる。兄弟だから感じる。)に育つわけはないと思う。

実際、地域の中では、子育てにおいてプチ有名ママで、子育てについて話してほしいと講演会やエッセイのお誘いもあるらしい‪wでも本人はそんな気はあまり無さそう。なので代わりに、子ども側の目線でママについて書いてあげる。

私の理想の母親は自分のママだ(もしかしたら今、全人類が自分の母親に対して思っていることを言っているかもしれない)。が、そう思う理由をちょろちょろ書いていく。


ママが子育てをしている6人(男4人、女2人)は、あいにく世話のかかる子どもばかりである。1番目の子どもである私から見てもそう思う。

長女は、ママが好き過ぎて保育園に行きたくないのでパジャマのまま引きずっていかないといけなかった。小学校中学年くらいまでは体が弱く毎年1,2回は入院しなければいけなかった。飲み過ぎて深夜に病院に迎えに行かなければならなかったときもある(こういうとき怒るより心配して安心させてくれる両親でほんま良かった)。
次女以外は、誰かしらがすぐに大怪我をするので年パス買った方がいいくらい外科に通っている。
男どもは、いい意味でも悪い意味でも学校で目立つので、学校から電話がかかってきたら「またなんか悪いことしたんやな」と思うらしい。

まあたくさんありすぎるので、兄弟の話についてはまた別で詳しく語ることにする。

現在は6人が、保育園児、小学生、中学生、高校生、浪人生、大学生、と、見事に各施設に散りばめられている。

来年の春はなんと、同時に、保育園、小学校、中学校、高校の卒業式及び入学式があるという一大イベント重なり祭りがある。
ママは「服装は同じでコサージュだけ変えて出るねん」と、意気込んでいる。
パパは仕事があるので運動会とか卒業式などのイベント事には来ない。
卒業式・入学式のハシゴ、頑張ってほしい。


私が母のことをヤベ〜(尊敬)と思うのは、単にやんちゃな子どもを多く育てていることだけにではない。
私だったら気が狂いそうなこと、というか出来ないことをやってのける。

以下、いくつかエピソードです。


その1。健康的な料理を作る。

ママの母であるおばあちゃんは、美味いものの食べ過ぎが原因の糖尿病で60歳の時倒れるまで、夜中にコーラを飲むような人だった。出来合いのものも食べるし、カップ麺も食べるし、炭酸飲料もがぶがぶ飲む。
そんなおばあちゃんに育てられたとは思えないほど健康的な食生活を提供してくれる。「健康が1番大事」ってのを合言葉にしている。栄養士の学校に行っていたらしい。完全に生かされている。真面目に栄養の勉強してくれて良かった。先日、2日で10万歩歩くという暴挙を成し遂げた私だが、事ある事に「健康で良かった〜〜」と思った。感謝。

3食きっちり提供してくれる母だが、作り方がすごい。圧力鍋で白ご飯を炊くのだが、ご飯を炊き始めてから炊きあがるまでの15分で1人で5品くらい8人前分作ってしまう。味噌汁も毎日ある。なんで毎日そんなタイムトライアルをしているのか分からない。何をどうしたらそんなに一瞬で料理が出来るのだろうか。3時間かけて1品くらいしか作れない私には分からない。
冷凍食品やレトルト、惣菜、カップ麺などは一切使わず毎日3食、子ども全員が満腹になる量を提供してくれるのは両親の方針だが、本当にバケモンだと思う。でもその分保証される家族の健康から得られるものはとても価値のあるものだと実感している。


その2。子どもの好きを伸ばす保育士である。

栄養士の学校を卒業したあと、保育士の学校にも行っていたらしい。しかも、学生時代に私を産んだママは、私が0~1歳のときに保育実習に行っている。私も保育士養成の学校に行ったため分かるが、保育実習とかいう私の人生で唯一病んだような大変なものを、よく赤ちゃんを育てながらできたな!私の面倒見ながら日誌書いてたって、どういうこと!寝る時間あった?いや、卒論とかもやけど!タフ過ぎる!といった感じである。意味が分からない。

私の小さい頃から、読んでと言ったら声が枯れるまで毎日絵本を読んでくれていたそうだ。確かに、読み聞かせを断られた記憶が無い。その当時から図書館によく通っていて、今でも、家族全員の図書カードを使って大量に本を借りては読んで返してを繰り返している。ちなみうちには400冊ほど絵本がある。中学生になったらみんな漫画を買うから漫画もいっぱいあるよ♡とにかく活字は尽きない。

そして、6人ともいろんな習い事をさせてもらってきた。公文、ピアノ、水泳、柔道、空手、体操、新体操、野球。土日にある科学教室やキャンプなどのイベントも見つけたら申し込んでくれていた。託児の役割も果たしているのだろう。その送り迎えも全部してくれていて大変やったと思う。でも、嫌な顔せずいつでも送り迎えしてくれる。母がなんかでインタビューを受けていた記事を見たとき初めて知ったが、近場でも送り迎えをすることで子どもと話す時間を作っているそうな。感心。確かに、ママとの1対1の時間になってる。

さらには、ダメとかアカンとか言われたことない。まずは「いいんちゃう?」と言われた記憶しかない。否定されないし、怒られない。だから私はなんでも出来ると思ってなんでもしてしまうんやと思う。

この前も、ママが趣味で、羊毛フェルトを針で刺して形を作るみたいな手芸をしてきた。それを見た私(22歳)が興味を持つと、余っていたフェルトを貸してくれた。それでハートを作ると、「やっぱ上手いな〜!すごい!!」と褒めてくれた。そこで私は、他のものも作りたいと思ってバイトの前にダイソーに行こうとした。そしたら、「ママが買いに行ったるやん」と言ったので、必要な色(3色くらい)を伝えて頼むと、なんとダイソーに置いてある色全色買ってきていた。こりゃ〜いっぱい作れるぜ!
というふうに、多分昔から、子どもが興味を持ったことは、すかさず材料を用意してくれたし、すごいすごい!と言ってくれた。やから6人ともそれぞれいろんな趣味を持ってるんやろな〜なんでもやらせてくれて、応援してくれてありがとう。

また、ママは、ボランティアで20年、地域のファミリーサポートをしている。私が生まれた時からである。そこでも、人気殺到らしい。週4くらいで他の子の習い事の送り迎えもしている。家でさらに2人くらい子どもを預かることもある。ほんまに子どもが好きなんやなと思う。どの子どもにも愛を持っていて、すごい。

ママは、母であり、私の憧れの保育士でもあるのだ。


その3。多趣味である。

先程も言ったように、母の趣味から私が興味を持つことがある。それがなんとも多趣味。
書道、太鼓、手芸、パッチワーク、アロマ、料理教室、断捨離、読書、サロン、ヘルストロンなど、ずーっと動いている。針金アートとか写真をデコるやつとか、どこからどうやって出会うのか分からない趣味もたくさん持っている。ママの趣味の全貌は誰も知らない。暇な大学生以上に出かける。その上、漂白とか整理整頓とか洗濯とか家事も怠らない。これって普通なん?私無理なんやけど!‪w

滅多に悲しそうにならないママが悲しむときは、明日の予定が急に無くなったときである。だからコロナは天敵や。ママを悲しませるな!


その4。家族をまとめる。

いつでも無償の愛をくれる。

ありがとうって毎日100回くらい言う。
いつも仕事に行っていて、家族との時間が少なめのパパも含め、家族一丸って気がするのは、ママのおかげな気がする。毎日「パパありがとう」って独り言で呟いてるから。

パパのことが大好き。両親は毎日2時間くらい2人で話している(体感)。パパが単身赴任しているときも変わらずである。両親が仲良いのは子どもの心の安定に繋がると思う。

私が小5のときから5年間パパは東京に単身赴任していた。私の記憶によるとパパは毎週末帰ってきていたが、それにしても、その間もワンオペというやつで5人の子ども(小5,小2,5歳児,3歳児,0歳児)の育児・家事をこなしていた。驚くことに、今思えば、そんなに大変なのに、家の手伝いを強制されたことは今の今まで無かった。私は何もしてあげられた覚えは無いのに、「○○(私)ちゃんのおかげで助かるわ〜」と感謝だけされた。

ママの仕事量に比べたら私含め子どもたちは全然なんにもお手伝いなんてしていないで、のうのうと暮らしているのだが、ママは文句を言うどころか、以前、「○○家(うち)あるある」を家族で言い合ったときに、「うちの子は皆家事ができる」と言ったことには驚いた。ああ、親バカなのかな。自由気ままに生きて親不孝な子どもだと思っていたけど、親が良い意味で変で良かった。

ママが出かけている時は唯一兄弟が一致団結する。ママが帰ってきたときに綺麗な状態にして喜ばようという魂胆である。素直に感謝とか伝えられないひねくれ者ばかりの兄弟やけど、根気強く育ててくれて有難い。

結婚する前からパパの両親と一緒に暮らしていたし、今もうまくやっている。スゴすぎ。どんなにいい人でも他人と暮らすのはストレスでは?真面目でしっかりした姑とも仲良くしていることにも憧れを抱く。

うちら家族は、ママのことが好きだという気持ちで繋がっている気がする。(もちろん血も繋がっているよ!)

天然。愛嬌。ママ天才。


その5。泣かない。

私が印象に残っているママエピソードは、ママの涙に関することである。

私は泣き虫で小学校5年生まで学校で3時間ぶっとうしギャン泣きとかして先生を困らせていた。人が嫌な思いをしたときとか弟の発表会見たおきとか怒られたときとか喧嘩したときとか卒業式とか、すぐに泣いてしまう。今までで一番泣いたのは、ドラえもんの誕生日スペシャルの指名手配犯のやつか、映画の8年越しの花嫁である。

7年前、おばあちゃんが糖尿病で倒れた。
やけにガリガリなってるなと思っててん。
本人がダイエット成功して痩せたって喜んでたから発見が遅れてん。

当時15歳の私とママで、おばあちゃんの住んでいるところの近くの大きな病院に電車で行った。

ほっといたら一日中喋っているような、毎月3回は旅行に行くような、毎日1万歩歩いて遊びまくっているようなおばあちゃんが倒れた。
2日間起きなかった。寝る時もだいたいいびきをかいているので、こんな静かなおばあちゃん初めて見た。私は不安とショックで病室でボロボロ泣いてしまった。

そんなときもママは気丈に振舞っていた。
そういえばママの泣いているところを見たことないなと思った。
泣かない女って、めっちゃカッコイイ〜!!と思った。マジで泣かない女を目指そうと思った。

男に優しくしてもらうには(?)女は泣けばいいやん、というようなニュアンスのことを昔ママに言われたことがある。そんときは、えぇ…(汗)と思った。でも、子どもは親の言った通りにはならず、した通りになる、と言われるように、ママはそんなことしなさそうなので、私もそんな理由で泣いたことはない。ていうか、男の前で泣いてもみんな嫌な顔するだけやで!‪w

映画とか見てもだいたい途中で寝るし、感動することってあるのかな?出産6回もしたらその他の感動も薄れるのか?

はいはい。でもみんな聞いて。
そんなママの涙を見ました私。

それは2年前。私が20歳の誕生日。
ママとパパと私の3人でディナーに行くことになりました。こんなのって兄弟が出来た日から無かった!!
結局弟に熱が出てパパは店の前まで来て帰ったからママと2人で食べたんやけど、食べてる途中でパパから、大人の仲間入りおめでとう!みたいな長文LINEが来ました。それを読んで、泣き虫(泣くまいとはしている)私は案の定、ぼろぼろ泣きました。

なんと!!!!!!顔をあげると、、
それを見ていたママが泣いてた!!!

どひゃ〜いいもん見れた。
このためにとってた涙なのかな。
大人になるっていいなぁ。

書きながら思い出し泣きしてますが、

堪えたくても必死に耐えても涙は出てしまうので、私はもう泣かない女を目指すのはやめました。
多分よく泣く人と泣かない人は生物学上の違いがあると思うので。


その6。舞台女優だったらしい。

学生の頃は、親衛隊がいたらしい。
学校で修学旅行や運動会の写真を売り出したら、関係ない人がママの写真を買っていたとはよく聞く。
昔のアルバムを見せてもらったが、確かに、断トツで可愛い。テニスコートのトレーナーとかヘリコプターのトレーナーとか(おばあちゃんの趣味)を着てても断トツで可愛い。意味わからん。今もおばあちゃんの趣味で豚がたくさんあしらわれた服が与えられ、主にそれを着ているが、よく似合う。私と違って毎朝ちゃ〜んとメイクをしているしいつまでも可愛い。
箱入り娘で、家から自転車でも歩いても行ける私学の学校にしか通ったことがないので、電車にまともに乗れない。高速道路に乗って実家に帰れただけで「ママ天才」と言う。地理的感覚とかないので、新幹線が「長野→大阪→京都」の順に停まると思っていた。ここらへんは子どもの方がしっかりしている。


その7。超素っ気なクール。
私の友達なら皆分かってくれると思うが、 LINEは基本、「まだ」「ついた」「はい」のどれかである。4文字以上はレア。絵文字は最近覚えた。
大学生になった今でも出かけたら必ず、夕方以降になると「まだ」と来る。これは、「早く帰ってこいよ」という意味ではなく、「今ちょうど迎えに行けるけど?」「迎えに行くなら何時?」「お風呂抜いていい?」「ご飯いるの?」「寝ていい?」などの意味が含まれていると解釈している。
つまり、他意はない。
だから私も「まだ」と返す。
ママと私のLINEの文面を見ると、喧嘩してるとか怒ってるとか思われるらしい。
マジで他意はないの。
でもこんな2文字からも愛を感じるので子どもって都合いい!

もともとうちの家族は全然電話で話さない。基本電話は1秒で切る‪w話している途中に切られるなんてザラである。小さい頃、公文に迎えに来てもらう時毎回電話をしていたが、「あ、もしもし、むかエッ」くらいで「はいはーい」と言って切られる。それくらいママが忙しい。

私はそれが普通だと思っていたため、大学でシェアハウス相手と普通にLINEしたり電話したりして、「怒ってる?」と言われて初めてこれが素っ気ないということを知った。大学に入って電話の切り方を初めて友達に教わった。普通は、要件を伝え合ったあとは、「はーい」「じゃあねー」「ばいばーい」「切るねー」「うんー」「ばいばーい」「…」「……(プツッ)」という感じで何ラリーかしてから切るらしい。いや、時間の無駄!‪w‪wって最初聞いた時思ったけど、多分これをしないと冷たいやつだと思われるから電話するときは気を付けている。LINEも、できるだけ顔文字とか付けて優しい感じに心がけている。教えてくれてありがとう。

私が大学2年間シェアハウスしてたときも、1度(業務連絡、それも15秒くらい)しか電話をしていない(もちろんパパとは一回もない)。熱が出たときも原付で転けたときも、Twitterにはのせたが親には連絡しなかった。仕送りはお金をまとめてくれた。一方、シェアハウスを一緒にしていた相方の子は、娘一人ということもあると思うが、食材の仕送りがあったり、課題を手伝ってもらったり、昼ごはんや晩ごはんを毎日のように連絡していた。親の下宿先の滞在時間も500倍くらい違う。
でも、なんでもかんでも自由にやらせてくれてありがたかった〜。こんなに連絡とってなくても安心感あるんよな〜。


ママ愛しています。
以上、母への惚気でした。

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