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大阪IRカジノ「関連協定(案)」の公表

山田 明

9月5日午後、酷暑のなか第10回副首都推進本部(大阪府市)会議を傍聴した。表題のIRカジノ誘致が議題になるからだ。府庁は庁舎管理が厳しく、不快に感じることも多かった。運よく抽選に当たり、大阪市廃止の法定協議会の会場で傍聴して、改めて問題点も見えてきた。質疑など聞きとりにくかったが、とりあえずコメントしたい。

IRカジノ誘致の関連協定で大きく変わったのは、開業が2030年秋頃とされたこと、事業費が約1900億円増となったことである。事業費増に伴う追加資金調達については、中核株主(MGMとオリックス)による出資額の増額により対応。
そのほか、実施協定、事業用借地権設定契約、立地協定の概要が示され、事業者と適切にリスク分担を図りながら、今後、実施協定等を締結していくとしている。会議後に、ある記者から取材を受けて話したことを箇条書きに記録しておきたい

事業費増の内容

・実施協定の国への申請は、基本協定書によると府とSPC(事業者=大阪IR株式会社)と書かれているが、SPCはどのようなスタンスなのか。
情報公開請求して入手した公文書と同じく、写真の資料にも事業者は「事業前提条件が成熟していないものと判断」「最終的な事業実施判断を行うことができる状況にない」と書かれている。これで国に申請などできるのだろうか。

・何回もレポートしてきたが、地盤沈下対策が最大のネックになっていると考えられるが、これまでの「説明」と同じ文言が並んでいる。要は事業者が地盤沈下対策の費用負担を認めているかが問題である。
・質疑でも話題になったが、IR事業の工程と万博との関係である。大幅に準備が遅れている万博工事とIR工事が両立できるのか。国は万博工事に支障が生じる恐れのあるIR工事などを認めるのか。大阪府市の楽観的な見方が気になるだけでなく、IRカジノ事業者の負担とリスクを高めるのではないか。

・IR事業の工程に、環境アセスメントについて書かれていない。IRアセスは、まだ準備書も提出されていない。評価書が確定しないと、IR工事は実施できないはずだ。この点でも、工程の甘さと不備を指摘しておきたい。

(2023年9月6日)

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