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見えてきた夢洲IRカジノ

山田明

 「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備関連協定」が9月28日に締結され、明日で1ヶ月が経過する。実施協定などが全面公開されないので、その骨子を何度も読んできたが分からないことも多い。正式に締結したのに、なぜ全面公開しないのか。
 24日の夢洲懇談会の大阪市との「団体協議」に参加して、IR推進局などとの質疑を通じて、夢洲IRカジノの方向性が見えてきた。忘れないうちに、レポートに記録しておきたい。
 夢洲のIR用地の液状化対策工事は、秋ごろから実施と記載されているが、まだ始まっていない。建物周辺の地盤に5㍍ほど対策。工事はIR事業者が業者に委託して行い、土地引渡し以降に支払う。IR事業者が「解除権」を行使すれば、工事費を支払わない。液状化対策は大阪市が実施するので、アセスの対象ではない。
 横山市長は「一定地盤の方向性もめどがついた」と会見で述べたが、大阪市が地盤沈下対策の負担をするのでないかと問うと、実施協定にも記載してあるが、IR事業者が責任をもってする。咲洲・舞洲の実績からも、夢洲でも想定外の沈下はないものと想定。新たに実施協定に明記された特定地中埋設物撤去は、地中障害物で把握できないものへの対応である。
 来年2024年夏ごろからの準備工事は、主にインフラ工事だが、25年春ごろからのIR建設工事と明確な違いはない。事業者の解除権は土地引渡しの関係から、準備工事から失効する。そこで事業前提条件が充足されたと判断。なお環境アセス「評価書」が公告されないと、IR建設工事は始められない。
基本協定は実施協定の締結時点で失効する。実施協定などの全面公開は、事業者との関係もあり検討中である。
 以上は私とIR推進局との質疑で明らかになった主な点だ。実施協定で解除権が3年延期され、夢洲IRカジノに不透明感を感じたが、大阪府市としては来年夏ごろからの着工、2030年夏ごろに工事の完了、秋ごろにIR施設開業を想定しているようだ。大阪IR会社は、こうした事業日程にどう対応するのか。2026年9月末までの「解除権」の延長など、まだ釈然としないことも多い。
 夢洲IRカジノの「行方」を示すのが、大阪IR環境アセスメントだ。大阪市との協議翌日、25日にアセス「準備書」公告・縦覧が発表された。「方法書」が昨年4月に提出され、市民からの意見書提出などを経て、8月に市長意見が提出された。今回「準備書」が10月27日から11月27日まで公告・縦覧され、意見書は12月11日まで受け付けられる。その間に事業者による説明会、公聴会も実施される予定だ。専門委員会答申、市長意見を経て、「評価書」(準備書の修正)の公告・縦覧となる。そこからIR建設工事が開始される。来年の夏ごろであろうか。

2023年10月27日


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