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夢洲IR差し止め住民訴訟「中間報告」

 昨年(2022年)12月末の原告住民と弁護団による住民訴訟「中間報告」(一部割愛)です。

 山田 明

合議不調という住民監査請求結果を踏まえて、私たち原告住民は2022年7月29日に大阪地裁に提訴しました。請求の趣旨は次の2点です。

  • 大阪IR株式会社との間で、大阪市が土地所有者の責任として大阪IR株式会社による事業のために必要な土地改良事業費を負担する旨の合意を締結してはならない。

  • 上記土地改良事業のため、大阪IR株式会社に対し、一切の支払いをしてはならない。

 これに対して、大阪市から9月22日に答弁書が提出されました。原告住民の訴状への反論とともに、大阪市の主張が詳しく述べられています。裁判所とのWEB会議を経て、10月18日の第1回口頭弁論期日において、原告から意見陳述を行ないました。12月5日付で答弁書への反論を記載した原告第1準備書面、13日付にて基本合意関係文書のうち早急に開示を求める第2準備書面と文書提出命令申立書が提出されました。18日の第2回期日では、これらの書面の確認などが行なわれました。

 提訴から5ヶ月が経過しましたが、原告と大阪市双方の主張も明確になってきました。本件住民訴訟の現段階の最大の争点は、土壌が広範囲に汚染され、高層建築物を想定していない、きわめて軟弱な地盤の大阪湾の埋立地・夢洲に巨大なIRカジノ施設を計画し、大阪市が底なしの財政負担することの違法性です。大阪市は夢洲のIR用地の土地課題対策のため、港営事業会計の債務負担行為により788億円の公費を投入します。これが第1の問題です。しかも基本協定書によると788億円は事実上「上限」となっておらず、地盤沈下対策など大阪市の財政負担は「青天井」とならざるをえないことが明らかになっています。

 大阪市の負担に上限はあるのか?これを知るためにも土地関連契約の開示が必要であり、原告住民は大阪府・大阪市と大阪IR株式会社が締結した「基本合意書」を情報公開請求しました。結果、表紙しか開示されず、次の文書は全部非公開でした。

  • 別紙1:大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備等実施協定書(案)

  • 別紙2:大阪夢洲地区特定複合観光施設設置運営事業事業用定期借地権設定契約書(案)

  • 別紙3:大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の立地及び整備に関する協定(案)

  • 別紙4:大阪夢洲地区特定複合観光施設区域の立地及び整備に係る土地使用等に関する協定(案)

  • 別紙5:継続協議事項

非公開とされた別紙は、本件住民訴訟の審理に欠かせないものであり、大阪市や大阪市会、国に対して開示を要求してきました。また裁判所に文書提出命令の申立てもしています。大阪市はなぜ別紙をはじめとした土地関連契約を隠し続けるのでしょうか。土地関連契約が市民に知られると、IRカジノ誘致に重大な支障をきたすのでしょうか。大阪市にやましいことがなければ、早急に開示すべきです。

(2023年8月26日)


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