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愛犬ふくの幼稚園親子面談



私が子どもの頃、「犬」は家の外にいて犬小屋なるものの側に鎖で繋がれていた。
食事は人間のおすそ分けを食べていた。
地面に置かれた金物の器で。ガツガツと。
犬を撫でるなんて。
その頃はした事もなかった。
犬は 知らない人を吠えるからだ。
危うく噛まれるのか…。と思うと近寄れたもんじゃなかった。
小学一年生の時は飼い主がいる目の前で追っかけられて怖い思いもした。
見ていた大人はそれを止めずに笑っていたから、大概な話だ。
犬とは並行な関係、近寄らないままで
よかった。

そうやって過ごしてきた私が 家の中で、犬と一緒に暮らす事になった。
かわいい小さな身体のものだけど。
しかも生後3ヶ月の赤ちゃんだそうだ。

さて、どうやって一緒に暮らすのか分からず 助けの策を検索していたら、犬のしつけをするのに 「犬の幼稚園」があると知り 是非「犬の幼稚園」にすがろう!と思った。


家から通える距離で「犬の幼稚園」を検索してみると3件ほど見つけることができた。

そのうちの一件に連絡をして 面談の約束をした。

犬の事をよく知らない私。
そして「かわいい」だけで犬をお迎えしたその家族。
呆れた家族だな。
こんな私たちはどんな顔して面談に向かえばよいのだろう。


そして
犬の幼稚園代表の方との面談の日。

旦那さんと私と幼犬「ふく」は車に乗って「幼稚園」へ出向いた。

到着した私達を若いスタッフの人がとても好意的に迎えてくださり、私は緊張が少し和らいだ。
しかも 広いフロアがあってふくは喜んでスタッフの人と一緒に走り始めた。
写真も撮って貰っていた。
「犬のことなら何でもお任せくださいね。」の景色が見えて頼もしく感じた。

何組もの家族がこうして訪れてきたのだろう。スタッフさんの対応が流れ良い。

私と 旦那さんは 椅子の方へ案内された。
入学試験の親子面接のようだ。

代表なる男の人も私たちの視線の先の椅子に座った。

「どのようにして私たちの事を知りましたか?」
いよいよ面談の始まりだ。

「困っておられる事がありますか?」
と代表の方。

私が悩みを打ち明け伝える。

「家族は犬のことをよくわかりません。
留守番をさせると家のあちこちに便をして困っています。」

答える私の横で旦那さんは 何も話さず、しかも脚を組んで横柄な態度だ。
おそらく、こちらの代表なる方の「人となり」を見定めているのだろう。
そういうのは密かにするべきだ。
その悪い態度が物言う以上に気になるぞ。自身の人となりを疑え。


代表がフロアで走るふくの様子を見て
「やんちゃさんだねー」と言った。

やはり一筋縄ではいかないお犬様だったのか…?


続いて、
「フードは 何を食べていますか?」と質問された。

市販のものからネットで販売されているもの。海外のもの。
様々あるフード商品の選択は 経済的な事情や愛犬への関心具合がよく分かる。
なるほど、いい質問だ!


「添加物の少ないものを選んでいます。食べムラがあります。」

ここは私が積極的に答えておいた。

実は少々値段のお高いフードに辿り着いてしまいそれをリピ買いしているからだ。
ここは「ふく」への関心が消極的な旦那さんでいてくれて助かった。
お高いフードと知られたら あとで何かイヤミを言われるだろうから。

続いて
「ふくちゃんは どのような存在ですか。
1番 家族
2番 番犬
3番 ペット 」

この質問も 飼い主の意識を掴むのに鋭い質問だ!

私は 「家族です。」と答えた。
ひとつ屋根の下、寝食を一緒に。
大切な存在だよ。


旦那さんは
「ペットです。」
とあっさり迷わず答えていた。
ふくのいる前で「ペット」とは。
ザックリな答だな。

旦那さんの態度や発言をみていると、この先の面談の進行が危ぶまれた。
親子面談で声を発したかと思えばそんな答えなんかい。

そもそも今日の面談はこちらから連絡をして、面談するという経緯で行われているのだ。
我が家の犬の事で困っているのは私だけでその付き添いで来ました…てな様子だ。
入学試験の親子面談なら父親の態度を見た試験官は
   (父親の態度に問題あり)
と記していたはずだ。

そんな風に面談が進行していると
フロアを走っていたふくが、こちらに走ってきてヒョイと私の膝の所へ飛び乗ってきた。
ふくが初めての場所でそのようにした事に私はびっくりした。
自宅ではそのような事がなかったからだ。

ふくは自分の頼るべき居場所をわかっていたのだ。
若いスタッフの方と遊んでいても…それはソレ。
遊びに飽きたら
「かあさん、ただいま〜。」
と言うべきか、私の所へ戻ってきた。
かわいいじゃありませんか。


それから、代表から幼稚園の待機状況や送迎の希望などのお話を伺って面談は終了した。

帰る際、先程スタッフの方が写真を撮っていたふくの写真をプレゼントしてくださった。
面談の間に写真にしてパウチ加工までしていただいたようだ。
写真は、いつものふくらしい表情でとても可愛かった。
家に飾ろう!と思った。

幼稚園面談で合否の結果を待つわけではないのだが。
やはり、幼稚園へは入園希望をお願いしておいた。
半年くらい、待機期間があるそうだ。

しかしあの面談の評価は良くなかっただろうな…。
ごめん、「ふく」。

自宅では これまでと変わらず、どのように暮らすのかを手探り状態の日々だった。

そのうち、日毎に ふくは家族にも生活にも慣れてきて トイレは決まった所でできるようになった。
家族が帰宅したら からだ全身で喜んでくれた。
お散歩も楽しそうに、家族みんなの様子を伺いながら歩調を合わせて歩くようになった。
できるお犬様!になっていった。

特に困る事がなくなったのだ。

私もふくと打ち解け 声かけのやりとりに手ごたえを感じるようになった。
つまり少し自信が出てきたのだ。

幼稚園にかかる費用だが…。
ふくが私たちと生活するにそれほど問題ない状態となったら その支払う金額について

高くないか??

と感じるようになってきた。

大変、人騒がせな経緯ではありますが、幼稚園への入園待機を取りやめさせてもらうように電話をすることにした。

旦那さんの面談での態度もひどいもんだったが、私も他人の事を言えたもんじゃない。
入園希望をしたのもそれを取り下げたのも私だ。

先日、市報のページの一覧に

「犬の飼い方教室
   家族で学ぶ犬との暮らし」
という事で50人の参加を募集していた。

私たちの様な迷う家族がやはり居るんだなあ。
幼いふくが家に来た時に この講座に参加したかったな。

お迎えする前に理解しておきたかった。
赤ちゃんだったふくに辛い思いをさせてしまったんじゃないか。と思うと今でも心が痛む。

幼稚園に行かなかったふくだが とても社交的で家族思いだ。

どこでそんな気持ちが育まれたのか、学んできたのか。
ふくに備わっているココロは 大きいようだ!

草の匂いをクンクンしていたら目の病気になってしまったり。
皮膚を掻きすぎて赤くなってしまったり。
お腹が空いて吐いてしまったり。
まだまだ私の不注意で反省することも多いが、健康で幸せな時間を過ごさせてあげられるように頑張るぞ!

今の私とふくで 幼稚園面談に臨んだら
合格❣️
をもらえると思います。











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