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なんごくのゆめ

ざー、ざー
どこだろう
どこから聞こえてくるんだろう
私の首の右斜め上辺りが太陽で
じりじりと
熱を帯びている

どうやらここは
なんごく らしい
南国ではない

常夏。
きっとここはそんな場所なんだろう
思った通り、ヤシの木が横に立っているではないか

そういえば
昨日の夜ごはんなんだっけな
うーん
思い出せないな
夢を見ているんだろうか
頭がおもたい

ここでようやく 目の前に広がる
青々とした海と 目が合う

なんだ 海か
やっぱりここは なんごくか
南国ではない

すがすがしいな
あまりにもすがすがしいから
「おおおおーーい!」
と叫んでみたが、
それもそのはず 返事はなし

私は何者で どこから来て
そしてここはどこであるか
誰も知らない
知ってるはずもない
知っているのは 私自身のみだからだ

海の音に耳をすませ
目を静かに閉じる
海の上を光の速さで駆け抜ける 風
になった心地がする

あぁ そうか ここは
なんごくで あったか
私はわたしであったか

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