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「食欲の秋に食へのこだわりを語る」

西尾さんのリレーエッセイもどき
#食欲の秋に食へのこだわりを語る
に参加します。

最初にお断りしておきますが
私たちの世代は食に貧しく
何でも有難くいただく主義で
こだわりなどありません。
 
それでは記事にならないので
「ささやかな手作り料理」を
紹介します。
なんと、それも秋ではなく、春限定なのですね。
 
筍が市場に出回った時に
年に一度だけ「季節限定食」として
「ジャージャンメン」を作ります。
 
これは子供時代からの
父からの仕込みです。
 
私の記事「大東亜戦争」から
長い記事なので抜粋します。
 
第3章:「民間人との交流」
 父の戦友は狙撃隊員だったが、一人食料班がいた。
中国内陸部は塩はとてつもなく貴重品である。
海から遠いため、岩塩を使用していたのだが、
生産量がきわめて少ないため、一般庶民はかなり
高額な値段で手にしたようである。
日本は海に囲まれて、当時は塩田もかなり存在し、
塩は有り余るほどあった。
食料班は食料庫の鍵を保管していた。
おそらく10キロ程度の小袋であろうが、
こっそり拝借して(ばれれば銃殺刑であるが)
自由外出時間に集まり、近くの農家を訪れた。
「ジャージャーメン」と言って塩を差し出すと、
農家の主人はにっこり微笑み、早速、家畜の豚を
1頭処分し、肉を細切れにした。
麺は自宅で製麺したものを大鍋でゆでた。
味噌は中国古来から伝わる黒っぽい味噌で、
かなり濃厚な味だったという。
私が少年時代に父がよくジャージャー麺を作ってくれたものだが、
日本の味で一番近いものが京都の赤だしだといっていた。
現在のジャージャン麺は、ラーメンの上に
肉みそあんを乗せるものだが、
中国のものは、大なべのなかで、
ゆであがった麺と具材をかき混ぜて炒めたという。


 
 
ということで、父は良くジャージャンメンを
作ってくれました。
下関の知り合いにはいろいろ山を
もっているところがあり
秋には松茸を山ほどもってきてくれて
七輪で網焼きをして、たらふく食べたものです。
(今ではかんがえられないのですが)
春には竹林を持っている友人が、
たくさんの筍をもってきてくれました。
 
筍が手にはいると早速父が日曜日の夕食の
料理をしました。
貧乏はしていても、豚肉を奮発して筍をあわせて
適当に炒め、ゆでたラーメンをぶちこんで
溶き赤だしを混ぜ合わせるというシンプルなものでした。
父が言うには、
「これが本場のジャージャンメンじゃ、
本場はキュウリなどいれない。
キュウリをつけるのはジャージャンメンとは
いえない」とのこだわりがあったようです。
 
やがて結婚し、時々春のシーズンともなると
筍が安く手に入るので
数回、ジャージャンメンを作るようになりました。
 
最近のこだわり。
1.      筍100%、玉ねぎは足さない
2.      年に1度の限定食
3.      豚ひき肉は国産を使用する
4.      京都の赤だしを使う
5.      赤だし以外の調味料は一切使用しない
6.      野菜を補うためキュウリは添える

といったところでしょうか。

野菜はサラダでも良いのですが
店のジャージャンメンはキュウリを
のっけているので
ここだけは店と同じように
キュウリにしています。
 
 
それではレシピ。
 
ゆでた筍はみじん切り
 


 
キュウリを細切り
 


 
豚ひき肉をサラダ油でよく炒める
 


 
筍をあわせ軽く火を通す
 


 
お湯溶きした赤だしをあわせ
火が通ったらすぐに止める
(赤だしとお湯の量は一発で
決めるため、長い経験を要する)
 


 
ラーメンはあらかじめ大鍋でゆでておき
水でさらし、冷やして良く水切りしておく。
 


 
ラーメンの上にアンをたっぷりかけ
キュウリをそえて出来上がり。
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