相撲シャーク
狂ってるように青い空、青い海。飛沫上げる波の間には真っ赤な帯が一筋、流れている。最初の犠牲者である幕内力士、大陸棚の血だ。
泣きそうな顔で弟弟子の大昆布が聞いてきた。
「兄さん、次は俺だと思う。俺のほうが太ってるから…」
俺はそうは思わない。奴は明確にターゲットを決めている。最初は平幕、前頭、小結、関脇。
「次は、俺だ。」
次は大関。俺だ。そして奴の番付は西の横綱。格下に変化はない。
「兄さん!」
海面に潰れた背びれが浮かび、猛烈に俺に迫ってくる。正面から見れば背びれはまるで大銀杏のようだ。ならばせめて力士として。海中に体を沈めて、仕切りに備える。
迫ってくるのは体長が10mはあろうかという巨大な鮫だった。その腹ビレの周りは一周ぐるりと色が白い。まるで廻しだ。
(時間いっぱい…)
俺は何時も通り、頭から力一杯当たろうと思った。
【Tomorrow's torikumi...】
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