「早見沙織×ハイレゾ」なんて、耳がとろけてしまうじゃないか

ずっと、ずっと、ずっと、待ち続けた早見沙織さんのハイレゾ音源。
2019年12月18日配信の『Statice』で、遂にハイレゾが登場しました。

初の配信シングルで、初のハイレゾ。
ゲーム『無双OROCHI3 Ultimate』主題歌の『Statice』。
作詞は早見沙織さんが自ら務め、作曲は田辺望さん、伽羅奢さん、瀧口系太さんという、今回初めて早見さんの楽曲関わる若手クリエイター陣。そして肝心の編曲は、『やさしい希望』『Installation』『その声が地図になる』などのタイアップ曲を多く担当してきた前口渉さんです。

シンプルな音数で演奏することの多い早見さんですが、『Statice』はたくさんの楽器を使用していて、ゲームの壮大な世界観を表現しています。
ライブで早見さんも話していた通り、まさに、「良い音で聴くのに、良い楽曲」だなぁ~と。


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冒頭から肌に感じるハイレゾの真価

冒頭(0:00~)の音。シンバルの音をサンプリングして逆再生した”リバースシンバル”という音なのですが、この冒頭の音からして早速ズルいですよね。特にシンバル・リバースシンバルは高音の倍音成分が多いので、ハイレゾと圧縮音源で聴き比べてもらうと、どんなに耳が悪い人でも「音の残り方が違う!!!」ってなると思います。

前奏の時点から、ピアノの高音と低音、ストリングスの高音と低音、様々な音域で様々な楽器が登場してくるので、耳が忙しい……!
ちなみに、特にストリングスとアコギは圧縮音源だと埋もれがちな音なので、是非注目してあげてください。というか『Statice』、ハイレゾだと「おい君、めちゃくちゃ重要な役割果たしてるじゃないか!」ってくらいアコギが聴こえると思います。1番のAメロ後半あたり(0:31~)から、L寄りで鳴っています。

息継ぎの“生”っぽさ

『Statice』では、1曲を通じて、早見さんの歌声にはシンプルなエフェクト(リバーブ、ディレイなど)しか掛かっていないです。ボーカルのエフェクトが凝りまくっているときは、ハイレゾでの楽しみどころの1つになるんですけどね。
逆に言うと、本来楽器数が多い曲は、コンプやエフェクトを掛けまくらないとボーカルが埋もれてしまうのですが……まったく埋もれることのない早見さんの透き通った歌声に感動。

なおボーカルにおいて、ハイレゾで1番差が出てくるのは“息継ぎ”。高音成分が多く含まれていますからね。特に『Statice』はボーカルの高音域を入れ目にしているので、ハイレゾと圧縮音源で、息継ぎの音がかなり違います。
Aメロ(0:17~)とかがわかりやすいですかね。「長い戦いのあと」のあとなど。お腹から息を吸っているんだな……という、深い息継ぎ。圧縮音源だとカッサカサになっちゃうんですよ。歌い方まで違って聴こえます!

息継ぎは”ノイズ”と捉えられて、MIX過程で音量を抑えられちゃうこともあるのですが、『Statice』ではしっかりと息継ぎまで入れてくれているので、早見さん好き&ハイレゾ好きとしては嬉しい限りです。

電子音、いや、電子”っぽい”音……?

『Statice』で着目したいのは電子”っぽい”音
『Statice』は早見さんの楽曲としては珍しく、ドラムやクラップしかり、サビで出てくる「ピロピロピロピロピー」(1:06~)っていう音しかり、特にサビを中心に電子音をちょこちょこ使用しています。
残念ながら電子音は倍音成分が少ない(場合によっちゃ、ない)ので、ハイレゾでは差が出にくいです。
※上述の「ピロピロピロピロピー」なんかは、倍音成分が一切ない音です。

そんな中で注目してほしいのが、Aメロで登場する「ホワワ~ン」(0:17~)っていう音。(♭ラ~~♭シ~シ~♭レ~~で動く音です。伝われぇ~~!)
10回くらい聴いてから気づいたけれど、おそらくこの音、元はピアノの音で、ピッチをかすかに上下に揺らすことで電子”っぽい”音にしているよう……?倍音豊かな不思議な音色です。
電子っぽいながらも生っぽい音を追求する辺り、長年早見さんの編曲を手掛けてきた前口渉さん、わかっていらっしゃる……!

音圧と、抑揚と。

サビは存分に音圧を楽しみましょう!楽器が中音域に偏っていることもあり、圧縮音源だと音と音が喧嘩しがちな分、ハイレゾだとだいぶ音の広がりが変わってきます。
1番サビの前半(1:00~)や、間奏(2:57~)など、2拍子で大きく刻む箇所のグルーブ感も魅力的。

ただ、個人的にハイレゾの好きなところは、音数が少なくなったときの美しさなのです。
例えば、1番サビ~2番Aメロのあいだの間奏(1:29~)や、ブリッジ(3:13~)など。特にブリッジは、早見さんの歌声に柔らかく掛かったエフェクトまで聴こえてきます。

コーラスはもう1歩欲しかった

強いて言うとしたら、コーラスの厚みがやや欠けるのがもったいないなぁ~と。今回の『Statice』くらい壮大感のある曲だったら、コーラスを5~6人くらいは重ねてほしかったなという我儘。ハイレゾなら何人いても聴こえるからね!
そしてコーラスの発声が純日本式なのがちょっと気になります。コーラスが聴こえてくると、“非日常”から”日常”に戻されてしまうんですよね。もちろん、“いつもの早見さんらしさ”をキープしているという点では、良さでもあるのだけれど。

ただ曲最後(4:35)のコーラスの「Statice」の「ce」の子音の残りはとても綺麗なので、ハイレゾで必聴!

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『Statice』の壮大な世界観は、ハイレゾならでは。
ハイレゾをリリースしてくれて、ありがとう。本当にありがとう。

その一方で、これまでリリースしてきた音数の少ない楽曲も、ハイレゾではまた違った表情を見せてくれるんじゃないかと思っています。過去曲のハイレゾ化、そして2020年3月25日発売予定のミニアルバム『シスターシティーズ』のハイレゾ配信にも、期待が高まりますね!

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