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まん防で「ホテルが休館」することを意外にポジティブに捉えている件について

「本日休館です」

雲仙温泉、雲仙公園にある有明ホテルのTOMYです。初めて投稿してから約1か月が経とうとしています。書かなきゃ!ってタイミングにペンを取らないと「あれ?あのとき何を書こうと思っていたんだろうか・・・」ってすっかり忘れてしまうもの。

忘れるほどホテルの仕事が忙しい・・・。

それなら良いのですが、今年の1月18日に長崎県にも適用されたまん延防止等重点措置(以下まん防)の影響により時折「休館」を余儀なくされているのが実情。と申しましても、毎日が休館というわけではない。このような状況下でもしっかりと感染症対策を行った上でお泊り頂くお客様もいらっしゃいます。お客様は神様、涙で前が見えません・・・。

しかし、まん防以前に比べるとお客様の数は激減。雲仙温泉に留まらず、全国各地、多くの温泉観光地では悲鳴を上げているところではある。

お客様が少ない・・・つまり仕事が無くて暇なのでは、、と思われるかもしれませんが、実際のところ、毎日がとても忙しくなった理由が他にある。

休館でも毎日の掃除は欠かせない。

スタッフの皆が一つになった

『社長!この機会に色々と新しいことにチャレンジしましょうよ!』

と声を上げたのは20代の若手社員。有明ホテルの平均年齢は60歳。数少ない雲仙温泉・有明ホテルで働く貴重なZ世代である。温泉業はある意味職人の領域。布団畳方ひとつさえ、背中で覚えろ!そういう空気感が満載の中、勇気を振り絞って声を上げたのである。

さかのぼること昨年の11月。引き続き起こる“コロナという”国難に向けて、若手社員が恐る恐る手を上げた。11月は緊急事態宣言が全面解禁された後。若手社員には先見の目があったと、今となっては思える。

(若手社員)『社長!これからはワーケーションの時代です!以前なら訪日外国人観光客もいたし、企業の旅行や団体旅行も多かった。けれど、続くコロナの影響から見ても新しい集客装置は必要だと思うんです』

「新しいことを意見するときは若手から発言すると良い」、「上層部から発言しては下のものは意見を言いにくい」。マネジメント著書を近所の本屋で立ち読みをした社長がこれだ!と思い、有明ホテルでも若手社員を入れたビジネスミーティングを初めて開催したのである。意外にも20代のZ君は手を挙げてくれたのだ。

雲仙温泉テレワークを体験中の記者さん

(社長)『小涌園(こわきえん)?』

(若手社員)『社長!惜しい!もしかしてコワーキングのことですか?(笑)ワーケーションですよ!わーーけーーしょんっ!小涌園へ行きたい気持ちもわかりますが、ワーケーションです!我々のような温泉地で観光をしながら仕事をする新しいライフワークのことです。都市部を中心に広がるテレワークの導入により、都会では働き方も多様化しているんです。若い世代には受け入れやすいモデルなんですよ』

(社長)『そんな情報はどこで手に入れたんだ?』

(若手社員)『インターネットです。インターネットなら新しい情報がすぐキャッチできるじゃないですか?社長はいまだにiモードですか(爆)!?』

まもなく止まる?ガラケー。今でも3G回線契約数は800万件を超えるとか。

この時、社長はガラケーユーザー。あまりのショックでiphone13へ変えたのだと、後から本人から聞かされた。「あの時はよいショック療法でした。私もシャイで若手社員と話することなんて今まで正直なかったんです。こういった緊急事態が無い限り、話すこともなかったもしれない。普段言えないことも話が出来た。風通しの良い環境にしたかったし、いろんな意見が欲しかったんです」(社長)と、スマートフォンを通じて若い社員とコミュニケーションを取ることをとても喜んでいた。

(社長)『温泉の中だけにいたら情報をキャッチできない。ありがとう。これからインターネットや有識者も入れながら、新しい情報をキャッチしていこう。これからは意識が高いメンバーで集まって、この有明ホテルを変えていこう!』

住込み副業・雲仙温泉テレワークの誕生

初めてのビジネスミーティングは大成功。その後、紆余曲折を重ねて「住込み副業・雲仙温泉テレワーク」が誕生したのである。サービス内容はこうだ。

①テレワークをしている方に宿泊してもらう
②実際にホテルの仕事を手伝ってもらう

「テレワークの課題はユーザーのコストだと思うんです。都心のIT企業は副業OKの企業が増えてきました。その点を逆手にとって弊社の温泉業務を副業してもらうと考えたのです」(社員)。

サービスを作り、多くの方に声をかけた。先輩の友人が早速利用してくれたり、プレスリリースを投げたら地元のテレビも来てくれた。最近では、東京から沢山のメディアさんが取材に来た(3月になったら沢山記事が出るのでお楽しみに)。人手不足とワーケーションを繋げた「雲仙温泉テレワーク」は、全国から沢山の問い合わせをいただき、これまでに20名が利用している。

シーツの交換方法も先輩方が教えてくれるので安心だ

12月に利用した30代男性のよると「温泉宿のご飯って量がおいじゃないですか。この雲仙温泉テレワークの賄いであれば正直丁度良かったんです」というように、毎日温泉の食事も飽きることも考慮して、賄い程度の量でバランスを考えている点も魅力の一つのようだ。

住込み副業・雲仙温泉テレワークは賄い料理が出てくる(朝食の例)
住込み副業・雲仙温泉テレワークは賄い料理が出てくる(朝食の例)

(若手社員)『現在も問い合わせを沢山いただいているが、残念ながら、まん防により新規受付は止めているんです。集客が増えないと仕事も増えない。そんなジレンマになっているんです。そういう点では、僕らが仕事を作らないといけないですよね・・・」と若手社員からもポジティブな意見もでるようになった。

(社長)『社内で沢山議論を重ねて雲仙温泉テレワークが完成したんです。今も沢山のお客様を待たせてしまっている状況ですが、課題も見えてきました。しかしまん防が終わったら再開したいですね。その時はバージョンアップして、ワーケーションメニューを充実させたいですね』

情報の共有、アイデアの共有、プランニング、実行までをLINEグループで行う。「スピーディーに意思決定ができるようになったことは大きい」(若手社員)。というように、会社の中の風通しを良くするためにもITツールは必要不可欠だと分かっただけでも大きな成果だったという。「温泉業界はIT化、DX化がかなり遅れている。弊社も改善しないといけない」(社長)と危機感を感じている。

ご周知のとおり、本日2月13日(日)までのまん防適用だったがものが、3月6日(日)まで延長された。

有明ホテルの次の一手

2022年で創業118年となる雲仙温泉・有明ホテルの外観

(社長)『私たちは、昨年10月に緊急事態宣言が全面解除されたときから、ウィズコロナの戦い方をしていこうと社員皆で意思決定をしたんです。全員で意見を出し合おうと。当然、多方面からの意見は協力も得ながら。まだまだ経営的には厳しい状況は続きます。しかし、待っていては何も起こらない。動いたとき、何かが変わる。今回、それに気づきました。情報を発信しない限り、気づきは起きない。この変化の連続を有明ホテルは実践していきたいと思います。Noteが更新できなかった理由も、次の一手の準備にみな忙しかったんだと思います』

Noteを更新できなかった理由。次の一手とは何か。それは3月に情報解禁になるらしい。

今日も活発な議論がLINEグループで繰り広げられる。休業になっても前向きに次の打ち手を考えるスタッフの成長を日々感じるTOMYでした。