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フランス・ロスチャイルドの水道事業民営化から脱却するには「再公営化」しかない

飲料水などに使う上水道で導入される全国初の試みとして、宮城県の水道事業の運営主体が4月1日から民間企業となった

水質悪化や災害復旧の遅れなどが不安視される声としてある

県は「対応は今後も変わらない」と強調

 
これまで県が担ってきた浄水場や下水処理施設の修繕や薬品の調達について、今後20年間にわたって管理する


全国初の上水道民営化、宮城で始まる 料金や災害復旧…残る不安

コンセッションという民営化の方式

コンセッションとは、施設の設計や建設のすべてを担う完全な民営化ではなく、水道管や施設は公有のままで、その施設の運営権を民間に委ねる方式

https://www.japanwater.co.jp/concession/wp-content/uploads/2018/03/58252d8c7f183a2dba95156b45fd649f.pdf

民営化は一つの流れとしても外国に任せるのはいかがなものだろう

コンセッション方式では所有権をもつ地方自治体が民間企業への監督権をもつ

「アフェルマージュ」は、施設の整備は公共が担当し、維持管理・運営・料金収受を民間企業が担当する。このように、用語の使い方が日本と若干異なっていて、日本で言う「コンセッション」は、設備の更新投資を民間企業にどこまで担当させるかにもよるが、フランスのコンセッションとアフェルマージュの中間に位置する手法と言える

水道料金の値上げは避けられないのか?

水道事業は基本的には自治体が独立採算制で運営し、利益を出さなくてはならない
加えて水道管、浄水場などの設備の維持・更新費は上がり、水道事業を支える人口が減少しているため、現状の設備を維持しようとすれば水道料金が上がることは避けられないという

フランスのパリ市では、1985年に民営化され2008年までで174%値上がりした例もあったが、中でも凄まじいのが南米ボリビアのコチャバンバ市の事例1999年に民営化され、上限いっぱいまで値上げした結果、月100ドルの収入しかない貧困層に20ドルもの水道料金を課し、払えない家庭には水供給を停止したことで、市民の反対運動がついに暴動に発展し、2000年4月には6人が死亡したほど
同様のことがベルリンやクアラルンプールでも起きていた


2000年から2014年の間に世界で180件が再公営化されたパリでは再公営化で水道料金が8%下がったが、市民からの反対の声が最終的には自治体に再公営への決断をさせた

https://www.tni.org/files/download/heretostay-jp.pdf

世界では再公営化の流れにあるのに、どうして日本では民営化なのか


再公営化は簡単ではなく、違約金の発生や投資家とのトラブルの可能性も高い
例えばドイツのベルリン市では30年わたる契約が結ばれていたが、2013年に再公営化のために運営権を買い戻す費用が13億ユーロという膨大なコストとなった
 また、ブルガリアのソフィア市でも再公営化の動きがあったが、多額の違約金の支払いがある為、コンセッションの縛りが効いている

日本を狙うグローバル企業

フランスのヴェオリア・エンバイロメント社とスエズ・エンバイロメント社は水道事業の2大巨頭であり、ヴェオリアは四つの事業会社(水、エネルギー、廃棄物処理、公共輸送)のコングロマリット
グループの売り上げは年間3兆円を超え、水道事業は世界約100カ国で展開し、約1兆円を売り上げる
スエズも同様に上下水道事業を130カ国で展開している

こうした声もある

再公営化へ向かうべきか?

世界で上下水道事業の再公営化が増えている
理由の多くは、民間の水道事業者が約束を守らず、利益優先で地域社会のニーズを無視したことへの対応によるもの

15年間で水道事業が再公営化された事例は35カ国の少なくとも180件

この30年以上、国際金融機関や各国政府は民営化とパブリック・プライベート・ パートナーシップ(PPP)を強引に推進してディープステートの思惑に沿ったシナリオで動いていると考えられる

共通の問題としては、インフラ投資の欠如、料金値上げ、環境汚染

再公営化とは、それまで民営化されていた上下水道サービスを地方自治体や、より広くは公共コントロールの手に取り戻すことを意味するが、公共の手に戻っても現時点での政権運営に任せて大丈夫なのか?

清廉潔白な政治に近付ける為には「民間監視による諮問機関の誕生」といったような社会変革を起こす力が望まれる
低所得国のように地方自治体の財源が少なくなれば、多国間銀行の融資条件に縛られる事になるだろう
日本は今高所得国から転落していく段階だとすれば、日本の未来は明るくない


https://www.maplelink.co.jp/blog/world-water-services-privatization-rate/

水質改善につながるのか?

フランスで言う「再公営化」とは「料金収受(需要リスク)を公共へ移すこと」のみを言うそうだが、そもそも再民営化した理由は「水道料金の高騰、管理運営サービスの低下、設備投資の不履行、監査モニタリングの体制の不備など」であり、水質云々とは少し違う

フランス給水人口上位10都市の民間事業者との契約更新の状況

高所得国での再公営化の件数は急速に増えており、2010年から2014年に実施されたのに81件という数字は、それまでの5年間と比べても倍増したことになる

フランスなどはこの傾向が特に強く、特に2010年のパリでの再公営化は大きな注目を集め、国内だけでなくスペインなど諸外国にも大きな影響を与えた

「水道民営化は組織的な犯罪に近い」という声も

著者は東京都杉並区長


水道をひねればいくらでもきれいな水が出るという「あたりまえ」が脅かされていることをこの本で知った。水道の民営化を許してしまったら日本は三流以下の国になる。新自由主義の思想がグローバル化によって世界の隅々にまでいきわたるなかで、人間の生活の基盤を支えるガス、電気、水道、鉄道などが次々と民営化されていった。効率化によって自治体の負担が減り、サービスが向上する、選択肢が増える、といったふれこみで行われた民営化がもたらしたものは、料金の高騰、老朽化の放置、生活困窮者へのサービスの打ち切り、そして自治体そのものの弱体化だった。こうした状況に憤った、パリ、バルセロナ、ロンドンなどの都市の市民たちが立ち上がり、水道の再公営化を推し進めている。その手法は、デモを行ったり嘆願書を送ったりするだけでなく、民営化に伴う資金の流れを含む実態調査を行い、それを公表する一方で、地方議会で議席を獲得し、他の都市とも連携するという戦略的なものだ。
それ以上に、ここまでわたしたちの生活の基盤が見知らぬ「株主」たちに利益をもたらすための装置となってしまっていることに対する危機感、ここまでコマを進められてしまったという情けなさのほうが強い。水道民営化の歴史を知れば、1980年代から日本にもトップダウンで植え付けられてきた新自由主義は、グローバル資本と国家が結託して地域社会とそこに生きる国民から搾り取れるだけ搾り取るための教義だったことに気づかざるを得ない。
いま政権と深い関係にあるといわれる教団のことが話題になっているが、グローバル資本主義も一種の宗教のようなものでその伝道師たちは政府や自治体に深く入り込んでいる。それでもこの構造に楔をうつための武器はある。著者が注目しているのが地域内での富の循環と蓄積を促す公共調達によるインソーシングだ。このやり方で疲弊した地域をよみがえらせているのがイギリスのプレストン市である。市民一人ひとりが覚醒し、行動すればこんな変化も起こせるのだ。

著書のレビューをamazonより引用

これも水道民営化の謳い文句の嘘が明らかになった結果


より具体的な水道事業の再公営化を導いた要因は世界的に共通しており、民間企業による劣悪な管理運営(ダル エスサラーム、アクラ、マプート)、投資の不足(ベルリン、ブエノスアイレス)、事業コストと料金値上げをめぐる対立(アルマトイ、マプート、インディアナポリス)、水道料金の高騰(ベルリン、クアラルンプール) 、民間事業者への監督の困難さ(アトラン タ)、財務の透明性の欠如(グルノーブル、 パリ、ベルリン)、人員削減と劣悪なサービス品質(アトランタ、インディアナポリス) などがある

ヴ ェオリアとスエズが世界中に輸出している「民間経営モデル」を直に経験してきたフランス

水道民営化の経験が最も長い歴史を持ち、世界最大手の多国籍水道事業会社の本拠地で再公営化の波が起きていることを私たちは認識する必要がある

水道料金の高騰も各地で確認された

例えばパリでは1985年から2009年までに何と265パーセント上昇した

民間企業である以上、採算がとれなければ話にならないので、公営以上に水道料金の引き上げは簡単に行われる

民間企業による不正も目立ち、例えば世界に先駆けた事例の一つであるパリでは、2002年の監査で経済的に正当化される水準より25~30パーセント割高の料金に設定されていることが発覚した

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