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どこにも全振りできないけれど、強いて言うなら生きててほしい
自らを夢女子だと自覚してから今までずっと続く葛藤がある。
私が好きな彼はアイドルなので、沢山の人に愛されたくて、愛されているし、そして沢山の人を愛したいという人だ。
私はライブに行くのがいつも怖かった。
彼を好きな人は私以外にも沢山居るのだという事を実体として思い知らされることが怖かった。
持ち物から服装までフル装備の可愛いひと、実際に彼の隣に並んでも違和感ないほど綺麗なひと、私の手元で光る灯りと同じ色を両手目一杯に光らせているひと。
そういう人たちを目にした時、どうして不安になるのか。私はどうして私の「好き」という気持ちにこんなに自信がないのか。彼の晴れ舞台であるライブでそんな思考がぐるぐると巡って酷く元気をなくしたこともあった。
出来るならば私の視界に一人も同じ色をみつけたくなかった。少なければ少ないほど安心している自分がいた。そしてまた胸が痛くなる。アイドルである彼になんて失礼なことを思ってしまっているのだろうかと。私はなんて傲慢なんだろうかと。
そんな同担拒否の呪いから、ようやく解かれたような気がした。
私はアイドルをしている彼を好きなのだ。
好きになったきっかけはライブだった。
歌い、踊り、愛を振りまく姿が好きなのだ。
たくさんの愛を受けて、たくさんの幸せを届けるその姿が好きなのだ。
(どうしてかこういう話をしようとすると涙が溢れる)
ライブを、恋人として観るということは私には出来ないということ。それが最近の気付きだった。
8月4日、初めて映画館で彼に出会ってから昨日で6度目を迎えて、ようやく呪いの正体を知った。
ライブ会場で私がしたいことは、恋人として内心で周りを蹴散らすことでもなく、大量のグッズで周りにマウントをとることでもなく、同じ色を灯しているひとを睨むことでもなく、彼を愛して応援することだ。
彼のことだけを見つめていれば、彼はいつだって愛をくれる。いや、なにもくれなくても好きだけれど。あまりにも素敵で眩しくて遠くて、その寂しさに泣かされても好きだ。実際泣いてばかりだし。
ライブは愛を交わし合う場所なのだと思う。
ここでしか本当の意味での対話は出来ない。
「愛しているよ」と彼は歌い、「愛しています」と私は彼の色を灯して彼の名前を呼ぶ。
たった一本のペンライトにたくさんの愛を込めて。
他の誰かのことなんて気にする余裕のないくらいあなただけを見つめて。
あなたの声に、あなたの笑顔に、あなたの姿に、何度でも熱い涙を流したい。
多分、この思いは夢思考とかそういうものではなくて、純粋に彼のことが好きで、大好きで、ずっとずっと応援していたい、永遠を見ていたい、そんな気持ちなんじゃないかと思う。
あなたを独り占めすることはあなたの幸せにはならない。あなたが沢山の人に愛されることを私の幸せとして感じることが出来るのだと、初めて知った。
きっと、愛に溢れた彼だからなんだと思う。
とても大切なことに気付かせてくれた。
そのことさえあったかくてまた泣いてしまいそうになる。
彼らを好きな沢山の人たちと、彼のことを応援したいと思えたことが、嬉しくて幸せだ。
これが例えどんな視点の考えだとしても、これも私の本心。本当は私だけのあなたでいて欲しいって思うことがあるというのも、本心。
私の中には沢山の「好き」が溢れている。
あなたのおかげだね、ありがとう。
とてもとても、愛しています。
あなたの幸せをたくさん願っているよ。
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