ある水曜日

ある水曜日のこと。毎週の習慣となっている台所の生ごみ整理&廃棄のため、朝5時に起床し、まとめたゴミをマンション横の集積所へ運び出すところだった。マンションの向かいに住む老婆(いつもこのあたりで住民のゴミ出しの面倒をみている)が私を呼び止めボソボソと何か言う。良く聞こえない...もう一度言ってごらんよと促すと、ニコリと笑ってこちらをまっすぐ見つめ、ゆっくり口を開いたかと思えば、突如顔面が熟れたトマトのように赤く真っ二つに裂け、おそらく昨晩食ったのであろうドンキ焼き芋の甘い匂いがほのかに香る緑スライム状の液体を私の顔面を覆うほどの量、ドバッと口から吐き掛けた。その刹那、響き渡る轟音と共に、私の右腕のみがマリマリマリっと膨張し、東京スカイツリー円周に匹敵する太さにまでなっていた。その腕を上空約600mほど振り上げてから渾身の力で叩きつけ、杉並区一帯の住宅地を破壊する私。それを安堵の表情で見守る老婆の目には、うっすら涙が浮かんでいた。

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