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源田の補殺記録を分析する

先日西武の源田壮亮が補殺数を510まで伸ばし、NPB遊撃手の最多補殺記録を更新しました。

1948年以降全く更新されてこなかった記録ですから、素直に素晴らしい記録だと思います。

この記録以前に補殺というワードがホットになったのは、広島の菊池涼介が二塁手の補殺日本記録を更新した2013年~2014年以来ではないでしょうか。

1試合3失策を犯したり、リーグ最多の失策数を記録していた菊池が、実は広大な守備範囲を持ち、より多くのアウトを生産していたことを世に知らしめた記録だったように思います。

ただその記録も、純粋な菊池の守備の実力によるだけでなく、広島投手陣のゴロ生産能力の高さも一因であるとの見方も多くありました。

確かに当時の広島投手陣の中心は、前田健太・B・バリントン、野村祐輔・K・ミコライオ等に代表されるようにゴロ生産能力の高いGBP(グラウンドボールピッチャー)が多いのが特徴でした。

実際、現在も日本記録として残る535捕殺を記録した2014年は、セリーグトップの49.3%というGB%を記録しており、他球団に比べゴロ性の打球が多かったことが分かります。

またK%がリーグ4位の17.0%とそこまで三振を取るような投手陣ではなかったこともあり、フェアグラウンドに飛んだ打球が比較的多かったのも、母数増によるゴロ性の打球の多さにもつながったのではないでしょうか。

以上の環境的な要因もあり、また菊池の類い稀なる守備能力の高さも相まってこのような記録に結びついたのでしょう。

では源田の場合はどうなのでしょうか。

実際に目で見ても、軽やかな身のこなしや取ってからの速さはずば抜けたものがありますが、源田の守備能力の高さはセイバーメトリクスの指標内にも表されていて、守備範囲を示すRngRでは両リーグダントツの22.3をマークし、UZRもこれまた両リーグトップの30をマークするなど数字で見ても圧倒的です。

以上のように非常に高い守備能力を持つことが数値からも分かりますが、菊池のように環境要因も補殺数の多さに影響を与えているのでしょうか。

まず西武投手陣のGB%を確認してくと、リーグ3位の47.4%と相対的にそれほど高いものとは言えません。

先発陣の柱の菊池雄星・多和田真三郎の両名は50%超えのGB%をマークしていますが、その他の投手は軒並み40%中盤から前半とGBPと呼ばれる投手が少ないのが影響してそうです。

この辺りは菊池とは少々事情が異なる部分ですね。

ゴロ性の打球の割合は決して多いと言えない西武ですが、そもそもゴロ性の打球の分母は多いのでしょうか。

決して割合は高くなくとも、フェアグラウンドに飛ぶ打球の数が増えると自然とゴロ性の打球の母数自体も増えていくはずです。

実際、西武投手陣のK%は17.4%とリーグ5位の数値で、三振を多く奪うような投手陣ではなく、フェアグラウンドに打球が飛ぶことが他球団と比較しても多かったのではないでしょうか。

さらに、パリーグ各球団の内野手の守備機会の数をまとめたものが上記表となります。

この表を見ていくと、K%の低い西武・ロッテが内野手の守備機会が多くなっていることが分かります。

ゴロ・ライナー・フライが一緒くたになった数値のため、これだけでゴロ性の打球の母数が増えているとは言えませんが、フェアグラウンドに飛んだ打球も増え、内野手の守備機会が増えているということは、自然とゴロ性の打球も増えていると推測できます。

GB%は高くないものの、内野手の守備機会の多さから、他球団と比較してもゴロ性の打球は少ないとは言い切れないはずであると、ここまでから言えるのではないでしょうか。

そんな中で、次にすべきなのは打球方向に偏りがないかというところですが、かなり大雑把に見ると、対西武投手陣の右打者の引っ張りの打球の割合はリーグ3番目の35.9%、左打者の流しの打球の割合はリーグ5番目の20.2%と偏りは見られず、フィールドの左側に飛んだ打球はむしろ少ないように見えます。

この数値は二遊間に飛んだ打球をまるで考慮していないので、はっきり偏りがないかは分かりませんが、極端に多いということはないのではないでしょうか。(一応右打者のセンター方向の打球がリーグ2位の39.0%、左打者のセンター方向の打球がリーグ5位の36.3%となっています)

以上から、ハッキリとしない部分も多くはありますが、源田の補殺数の多さは環境的な要因というよりも、源田本人の圧倒的な守備範囲が生んだ記録ではないでしょうか。

最後に源田の守備力について分析してあるDELTA社のコラムとパリーグTVの源田の守備動画のまとめです。

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