逆トレーサビリティをつくりたい。
トレーサビリティ。
いつ、だれが、どこで、どうつくったかわかる、流通の情報のこと。
このトレーサビリティがコーヒーの世界ではよく議論されるんですが、僕はその逆バージョンをつくりたいと思っていて、今日はその話をします。
トレーサビリティとは
トレーサビリティ(Traceability)は、日本語に訳すと「追跡可能性」。
原材料の調達から、加工、流通まで、関わった人と仕事の記録をあとで確認できるようにしておく「履歴づくり」のことです。
情報があることで、問題が見つかった時に原因を特定して改善できたり、消費の安全につながったり、なにより公正に取引をしている証にもなります。
コーヒーの一連の流通はこんな感じ。詳しくは過去のnoteにも書きました。
この1つ1つの工程が、いつどう行われたかの記録があることがコーヒー消費にとっては大事だとずっと議論されてきて、今ではブロックチェーンを使った情報管理の仕組みもでてきました。
(参考:20200826の記事 スターバックス、ブロックチェーン技術で消費者とコーヒー豆農家を繋ぐ)
そもそも僕は、美味しいコーヒーをもっと世の中に広めて、それによって生産者がもっと農業を続けられる形にしたくて、コーヒー屋さんをやっています。
情報価値への難しさ
今のコーヒーの取引では、結局生産者が持ち寄った商品リストの中から、バイヤーが美味しさと価格で選んで買い取る、っていう形がほとんどで、なかなか情報を商品改善にはつなげにくいような気がしています。
そうしたら、生産の情報が消費者に届くことで、コーヒーの価値をあげられるのでは、って思うんですが、情報で価値を上げるって本当に難しいことだと感じます。
僕もベトナムやバリ島で農家さんとコーヒーをつくっていて、そこには膨大なストーリーがあるんですね。生産者夫婦のラブストーリーから、積み重ねた発酵の研究、1つ1つのロットでの味作りの工程。その生豆をストーリーとセットでお店向けに販売したことがあるんですが、今までにない量の情報をボンっと渡されたお店側は、それをお客さんにどう伝えるか技術が整っているわけではないので、どんなに生産の情報があっても結局味と価格のコスパ勝負になってしまったんです。
もしかすると、わかりやすく情報を可視化することや、生産者の意思が直接消費者に伝わる仕組みや、売り手の伝え方の工夫でここはまだこれからよくできるかもしれません。
ただ、そんな中でふと思ったのが、情報の流れが一方通行だってことです。
作る側→飲む側へと情報は伝わるんですが、それだけではぼんやり価値は生まれにくい。でも、コーヒーは農業で、つくっている人のモチベーションって、誰かが喜んでくれるからだったりします。
僕はこの逆トレーサビリティ、誰がどう消費して楽しんでいるか、の情報を生産者に届けたいなと思いました。
ベトナムやバリ島の生産者を日本の僕のカフェに連れてきた時、彼らは、「自分が作ったコーヒーがこうやって液体となってお客さんに渡って、こんな笑顔で楽しんでくれている、ということが直接見れたのが1番良かった」と言ってくれました。
農園オーナー制度で生産者にも情報を
コーヒーを飲む人が生産地に行ったり、実際に一緒にコーヒーを作ったり、感想や意見を生産者に伝えたり、という形をつくりたい。バリ島の僕たちの農園で、先日コーヒー農園のオーナー制度をはじめたのは、そんな思いもあったんです。
コーヒーの木のオーナーになることで、コーヒー生産を自分ごととして楽しめるので、フィードバックを生産者に伝えたくなる。生産地に行きたくなる。
生産者に飲み手の情報が熱く伝わり、生産意欲も改善も加速する...。そんなことをオーナー制度を通して実現したいと思っています。
バリ島コーヒー農園のオーナー制度 "COFFEE FARM OWNERS"は9月末まで参加募集中です!!
詳しくはこちらのnoteに書いたので良かったら読んでみてください。
生産者を主役にしたい
使う人にスポットライトが当たり、消費があるから利益が生まれるわけなんだけど、一番偉大なのはつくる人。
つくる人がもっと楽しんで、もっと価値を生んでいく世界になれば、つかう人ももっと楽しいはず。
これからも、もちろん生産者の思いを飲んでくれる人に伝えつつ、飲み手の情報も作り手に伝わり、生産者がもっと輝けるような仕組みをつくっていきます。
農業でも製造業でも、主役はつくる人なんだ、と僕は思います。
川野優馬
さいごに
ご興味を持ってくれた方、どんどんコメント・フォローいただけたら嬉しいです!
Twitter: @yuma_lightup
Instagram: @yuma_lightup
"COFFEE FARM OWNERS"はこちらから
過去にコーヒーの商流について価値変動も含めてnoteも書いたので詳しく知りたい方は見てみてください。
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