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おばさん。私を今日一番感動させた人。


全く感動してしまった。

今日、出社して1番心に残ったのは、アポイントでも先輩とのブレストでもない。

お昼を食べてビルの共有スペースでコーヒーを飲んでいた時、話しかけてくれたおばさんの話。いつも行く定食屋さんのバイトのおばさん。

「お姉さんは、何年目?」
「2年目です。」
「あらー、じゃあ私のボーイフレンドと同い年だわ。ふふ。」

あ、てことはこの人定食屋さんのおばさんだな。割烹着着てなかったから分からなかった。

「あ!定食屋さんの!」
「そうそう。休憩でお昼食べてたの。私のボーイフレンドはね〜……」

いつもの話が始まった。
"ボーイフレンド"というのは、私の会社の同期で、元野球部イケメンのこと。おばさんはとっても人懐っこくてお店に来る人をすぐ覚えて声をかけている。

「〇〇くんが言ってたけど、今大変でしょ?また緊急事態宣言なんてね。会社どう?」

「そうですねー、状況あまり変わらずですね。休業も取らないといけないし。」

「でも、ノルマとか数字とかあるんでしょ。あなたの会社の人によく聞くわ〜」

「コロナとか言ってられないですよね。でも私たちは雇ってもらえてるだけ恵まれてます。守られてますよ。辞めなきゃいけない人も大勢いましたし、、」

「仕事掛け持ちしてる人もいるんじゃないの」 

「はい、バイトしてる人大勢いますね、というかそうじゃないと食べていけない人も大勢です。」

「あら〜、、。お姉さんは何やってるの?」

「ライターのお仕事させてもらったり、新しくスクールコーチの応募もしたところです。」
「へえそうなの!楽しそうじゃないの!」

この後も30分ぐらい話した。

我々が扱っているエンタメを使ったイベントの話、おばさんの好きな相撲を絡め、相撲部屋を訪問したりちゃんこ鍋を食べるツアーを過去の会社の先輩に作ってと提案した事、大学時代の話、、etc.

更にはスポーツが大好きなようで、大学生の相撲やラクロス、野球の試合などもすぐ見に出かけるそう。

「私、"十字の下に"(体育会応援団の発表会)なんて何回も見にいってるのよ。あなたの学校、六大学野球少し前に優勝したでしょ。池袋に優勝パレード見にいったわ〜」

そう言って、一緒になぜか
「みよや十字の〜」
と、応援歌をうたった。
校歌なんて、おばさんの方がよく覚えてた。
新座キャンパス通ってたのね!なんて言われて、すごく嬉しくなった。

そこまではただ楽しかったのだが、その後グッと心を掴まれた一言がある。

「辞めちゃダメよ。」

どんなに辛くても、先が見えなくてもやめたらもったいない。そこで終わっちゃう。何かを掴んでから辞めなさい。

「あなたの先輩もね、そうやって楽しそうな仕事してて。でも3年くらい経つとやめちゃう。今の状況、辛いでしょう。バイトしたり、副業したり。でも、とことんやりなさい。いいじゃない!文章書くのもスポーツするのも好きなの、多彩ねぇ。」

「こうやってお話しするのでも何かに繋がったりするのよ。私のこと記事にしてもいいわ。笑 観光学部から旅行会社に進んだの、楽しいじゃないの。スポーツも旅行も、×記事で…色々広がるわ。私は好きなこと何でもする。どこへでも飛んでいく。相撲部屋の親方と仲がいいの。そうやって生きていたら、人生すっごく楽しいわ。」

「それが好きだと思ったのなら、とことんやりなさい。」

お世辞にも給料はいいとは言えない。
企画書作ったり見積もり作ったり、おいこれ何になる?!?!って叫びたい日もある。こうしてる間にもアポイントを重ね、提案を重ね、勝っていける業界でブイブイ言わせながら成長している若手もいるのかな、なんて気持ちがぐらつく日もある。社内営業に勝てるあの人の声が悔しくて、イヤホンしながらpcに向き合ったこともある。先輩の送別会の帰り、達成感に満ち辞めていく先輩の顔が眩しくて何か悔しくて泣いたこともある。部活の時の写真を見ながら。

だけど。
コツコツコツコツ、やっている事を見てくれてる人は確かにいる。それがまた信用に繋がる。社内での信用が、紹介案件に繋がる。添乗に呼んでもらえるようになる。いずれ引き継ぎ顧客になる、かもしれない。一番近くにいる社内の人間に信用されない人が、初めましての誰かから信用を得る事なんでできるか。

とはいえ私は既に転職活動をした身。
一度は現職を捨てた身。

隣の芝生が青く見えるだけでなく、本当に青いかもしれない可能性は十分に感じる。

だけど私は今、この場所が好きなんだ。
この仕事が楽しいと、心から思ってるんだ。

いつでも仕事は辞められる。
辞められなかったのではなく辞めなかったのは、やっぱり「好き」だったんだ。まだやりたい事があったんだ。

おばさんから何気なく発せられた「辞めちゃダメよ。」の一言に、今の生活や仕事の中に楽しさ嬉しさがあることを思い出した。

でもなんかこう、そんな堅苦しく考えなくてもいい気がした。楽しいからやってるんだ!って言えるくらいの気軽さで、いつ辞めても後悔ないくらいどっっっぷりと浸かって。

おばさんの言葉にはきっと前置きがあって。
楽しいのなら辞めちゃだめ。楽しさが見えなくなってるのなら、もっと気軽に。楽しさがまだ見えないのなら、もっと真面目に真剣に。向き合ってごらん、という意味を受け取った。

コロナがあったから世の中が変わったんじゃなくて、前から世の中の変動は激しい。だけどその中に生きる私たちが、状況によって生きる場所や選択を変えていく必要性に迫られ、より行動に移すようになっていった。

3ヶ月後、何をしているのかは分からない。1年後はもっと分からない。常に「私」として動けるように腰を据えず、地に足付けて。
「好き」のアンテナをもっと磨いて好きを死ぬほど追い求めて過ごそう、おばさんのように。

生きるのに大事なエピソードをくれるのはいつも、色々な人生経験を積んでる「先輩」だなと思った。

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