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ダム湖の桜が散る前に

今週末あたり、地元の桜も満開になるようです。
ところが、今週の天気予報はずっと雨。
菜種梅雨で、満開になりきらずに桜が散ってしまいます。

先週午前中晴れていた間にえいやっと桜を見に行ってきました。

九州南部の山の桜は五分咲きといったところ。それも夜の雨で花がぽつぽつとガクごと落ちていました。
真っ青な空と深い緑を映したダム湖に散りかかる桜吹雪は例年凄みを帯びた美しさがあります。
まだ満開ではないものの、屋台は展望所に出ていました。
それを素通りして、猫とピクニック。
トンボ猫はダムが怖かったらしく、車の中に帰ってしまいました。
セミ猫は例によって花の香りのする場所でうとうとと日向ぼっこ。
人間がお弁当を食べても興味を示さず、風に揺れる枝や鳥の声を時折瞼を上げては興味深そうに聞いていました。

まだちょっと肌寒かったようです。

お弁当食べたら、小雨がパラパラと降り始めました。
ダム湖の1万本の桜には、赤っぽい葉のついた山桜もあり、色の濃い枝垂桜もあり、桜の博物館のようにいろんな種類がありました。
看板に種類が書かれていたようです。
何せ雨が降り始めましたから、看板のところで車を止めてみる余裕はなく、早々と山を下りました。
たった1時間ほどでも、ダム湖と一周して眺める桜はいいものです。広いのでそこそこ人がいても静かで、ツーリングのバイクが数台以上通っても、音がうるさく感じません。

ざあっと雨風に揺れる花の音にかき消されてしまいました。

山は急いで下りたのですが、途中で車を停めることになりました。
車窓からキジが見えたのです。
車の窓を開けて写真も撮りました。
全く警戒心のない猫よりも体高のある鳥が、警戒心もなく散歩するように草原を歩いていました。
野生のキジを見たのは、子どもの頃依頼。
まだこの辺の里山にも生きていたんだなとしばし感動を覚えました。
キジの雌はヤマドリのような地味な色をしているそうですから、この美しい緑の羽の赤い肉垂はまごうかたなきオスのキジ。
乱婚でメスしか子育てしない鳥ということで、生態にはあまり興味が持てないのですが、やっぱり見た目は大事というか、「こんな綺麗な鳥を鍋にして食べているんだよな」と思うと少し複雑な気持ちになりました。
子どもの頃から、野生のイノシシやシカやキジの肉は料理するところがあって、食べたことがあります。個人的には好きなのはイノシシ汁。
それも、もう何年も食べたことはありません。
鶏にも派手な羽色をしたものは多いです。
けれども、野生のキジの美しさは何か高潔なものを感じました。
キジは特に逃げはしませんでしたが、墓参りに行く途中だったというのもあり、写真だけ撮ってちょっと眺めたら近づくことはせず、その場を去りました。
姿を見ることはあまりなくても、子どもの頃によく聞いたケーンケーンというキジの高い声が去り際の車内で脳内に蘇ってくるようでした。

地面をゆっくり歩いてお食事なさっている様子のキジ様。

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