人として働くということ

正直な心情

NCGへの入社まであと2ヶ月を切っていますが、正直今は不安な気持ちでいっぱいです。毎回研修にいけば「みんないい人だ!」と安心するのですが、数日経つと訳もわからず不安になってしまいます。

私の就職活動は波乱から始まりました。個人で面談にまで行っていた第一志望の企業が、今年は新卒採用を行わなかったのです。インターンをしに行った企業・業界を中心に選考を受けました。
その業界はかなり狭く厳しかったため、他にもみていた企業の中にあったのが、NCGでした。
志望業界以外を見るときに一番重視していたのが「人」です。私は見た目と中身に少々ギャップがあるようで、中身を見てもらえたと感じた企業はあまりありませんでした。そんな中で、NCGの方は私が口に出さない部分まで、見てくださったと感じました。また、最終面接の際に「君みたいな子が成長するところを見てみたい」といっていただいたこともあり、NCGの内定をいただくことにしました。

このように選考を受けていたときには前向きな気持ちでいたのになぜこんなに不安な気持ちになるのか、最近までわかりませんでした。
しかし、自分が不安になる傾向を掴んでいく中で、わかってきました。「わからない」ことが私を不安にさせていたのです。
志望業界ではなかったため、「自分が本当に本気になって打ち込める(好きあるいは得意な)ことなのか」わかりません。部署もたくさんあり5月になるまで自分が何をするのかということも見当がつきませんし、ごく一部の人しか知りません。

それであれば、「わかる」ようになればいい。ただ、先にいったような内容は、今の私には解消しづらいことです。

だから、部署や周りに左右されない目標を、やるべきことを設定することにしました。


人としての力を磨きたい

前回のAIについてのnoteで、私は「AIが発達するにつれて、我々はより『人間らしい』ことを提供したり身につけていくべきなのではないか」と考察しました。

機械が奪う職業・仕事ランキング

また私は、イベントやゼミも行うカフェ併設の書店でアルバイトをしていました。この書店は面積が狭く、欲しい本を買うのならば、ジュンク堂や丸善といった大型の書店に行った方が、いや、Amazonで買った方が確実です。それでもわざわざこの書店に買いに来てくださるお客様がいるのは、取次(書籍専用の商社)が売り場面積などを加味して送ってくる書籍ではなく、社長からアルバイトまでのスタッフがセレクトした本が置いてあるからです。または、「私たちスタッフに本を選んでもらいたい」「話をしたい」と思ってくださっているからです。ここでの経験からも、私は相手が企業であれ個人のお客様であれ、人の魅力や対応が1番の武器であると感じています。
そして、やはりNCGで一番魅力を感じたのが「人」であることからも、やはり「人」としての力を磨きたいです。
今回は、陳腐な言葉で言えば「人間力」といったものに沿って、『仕事のお守り』という本の内容とともに、決意を固めたいと思います。『仕事のお守り』はミシマ社さんという出版社が著者の方々や名著からの金言を収録した本です。


信頼関係がなければ、決していい仕事はできない

東レ経営研究所社長となった佐々木常夫さんの言葉です。「信頼がなければ仕事を任せてもらえない」といった言葉はよく耳にしますが、家族の困難を乗り越えながら経営に関わってきた佐々木さんは、少し別の切り口から信頼関係の必要性について述べています。

”団体競技”である仕事では、一人ひとりが効率的な仕事をしたとしても、信頼関係がなければチーム全体、結果として個人の効率性が下がる

では、どうしたら信頼関係を築いていけるのでしょうか?

信頼するかしないかは日頃の行いで決まるがどれほど(『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー)

小手先のコミュニケーションではなく、普段の行いが重要となってくるという話です。
私がスタッフをしていた書店では、様々な業務があります。イベントに来てもらうために来店されたお客様に対して行う営業、レジ、ポップ作り、カフェの仕込みや洗い物、書籍や食材の発注業務、雑誌の返却、棚の整理、掃除…
私はコミュニケーションやマルチタスクへの苦手意識があり、それまで家庭教師しかしたことがありませんでした。実際、アルバイトを始めた当初はできることが少なく、お客さんの前でも焦ったりどもってしまうことが多々ありました。そんな中、「迷惑をかけず自分にできる仕事」として、自然と掃除や棚の整理を行っていました。そして、営業に自信を持ってできるようになった後も、お客さんがいない時間帯にいわゆるクレンリネスをすることが習慣になっていました。
すると、ある日店長が「ゆうちゃん、いつも棚整理してくれてありがとね。社長が京都はいつも棚が綺麗だって言ってたよ」と言ってくださいました。
また、社内だけではなく、お客様に対しても、日常の行いで決まるところがあるとアルバイトをする中で気がつきました。よく来てくださる近所の飲食店の社長さんが「あの子の接客はとても感じが良くていいね」と言ってくださったそうです。
一方で、本棚や床がきれいでも、ほとんどの人は「この店は棚がきれい」などと褒めることはありません。しかし、もし棚や床が汚ければマイナスのレッテルを貼られてしまうということにも気がつきました。

入社時、私にできることはほぼありません。
コミュニケーション能力も、処理能力も、同期に劣ると思います。
だからこそ、私は誰にでもできるけれどサボることもできる仕事あるいは態度を日常的に行っていくことで、よりよい仕事につなげていきたいです。


メディア力をつける

メディアの本来の意味は「媒介」です。すなわち、何を、どう、受け取り伝えるかがメディア力であるとミシマ社は定義しています。このような力は、人としてとても大切な力であるように感じました。少なくとも現段階で開発されているAIにはまだできない、人間らしい能力であるからです。

それでは、このメディア力は、どのように磨けばよいのでしょうか?

人生において、誰かの「一言」がどれほど大切なものであるかを考えるとき、インタビュアーのほんの小さな相づちも、「きちんと打たなきゃダメだ」と肝に銘じます。(『聞く力』阿川佐和子)

阿川さんは、週刊文春で900回を超える対談を行ってきたインタビュアーです。この本では、聞く技術以上に、人との向き合い方が書かれています。「聞く」代表選手の阿川さんが、上手に言葉を引き出すことよりも「受け止める」真摯な態度が大切だとおっしゃっているのですから、重みのある言葉です。

では、逆に伝えるときはどうしたらよいのでしょうか?ベネッセの小論文編集長を務め、独立された山田ズーニーさんは次のようにおっしゃっています。

言いたいことを言うのと、伝えることは違う。「好きだ、好きだ、好きだ!」自分の気持ちを押し付けても愛はちっとも伝わらない。でも、相手が必要としていることをさりげなく差し出すと、「私のこと、大事に思っててくれたんだ!」って、コンマゼロ秒で愛は伝わる。(『おとなの小論文教室』山田ズーニー)

耳が痛い言葉です。私は、つい、自分の感情や私欲を入れた返答をしてしまうことがよくあります。そのせいで友人と喧嘩になったこともありました。そんなとき、「媒介としての自分」になることで、障害がなくなり相手が必要としているものを差し出すことで、伝わるそうです。
書店で営業をする際、「営業とるぞ」と意気込んでチラシを渡してそのままイベントの説明を始めてしまうことがあります。しかしそれよりも、お客さまの見ている本や棚を見て「何かお探しですか?」とお聞きしたり、「この棚わかりにくいと思うんですが、こういう企画になっているんです!」とお声がけしたときの方が、お客さまも心を開いてくださり、私がお伝えしたいことも伝わるということも身をもって経験しました。

営業などはつい押せ押せな姿勢になってしまうことが多いと思います。
相手の話を真摯に聞くこと、相手が必要としていること伝えることを徹底していきたいです。


じぶんの「目的」ではなく「限界」にこそ向きあうのが仕事

ひととしての「限界」をひしひしと感じながら、それでもひととしてしなければならないことをしているという感覚がもてたとき、わたしたちは働いているという実感に満たされることになるのだろう。(『だれのための仕事』鷲田清一)

皆さんも国語の教科書やテストでお世話になったことがあるであろう哲学者、鷲田さんの言葉です。

何か崇高な目的がないといけないのではないか、と思ってしまうことがよくあります。実際に、何か目的のために突き進むのがよいことだという風潮はあると思います。
しかし、よくよく考えれば、私は受験勉強も不向きであった大学の部活も、自分を変えたいからはじめたし、続けていたのでした。
そして、結局、人は限界以上のことはできないのですから、限界に挑むことは最善の仕事をすることと同意なのではないでしょうか?
賛否両論あるかもしれませんが、限界に向きあうことこそが仕事、という言葉によって私は救われ、頑張れる気がします。


人間は経験を積むために生まれてきた

最後に、私が仕事、いや、人生に対する姿勢として大切にしたいことで締めたいと思います。

上記は、日本人で初めて南極越冬をした西堀栄三郎隊長の言葉です。西堀さんは、どんなつらいことがあっても、それが自分の経験になると思ったら、貪欲にやってみるのだそうです。

これは、私がここ数年モットーとしてLINEのメッセージに書いている言葉にも、通じるところがあります。

そんなあたしはシンガーソングライター
君にフラれたくらいで
生きる意味なくしたりしないよ全部ネタにするから
君にたくさん大好きと 伝えてたこの声で歌うの
(『SSW』コレサワ)

(メジャーデビューアルバムでこの曲を作ったコレちゃんがとってもかっこいい)

理不尽なことがあったときにも、うまくいかずしんどいときにも、「この経験が私を形作っていく」と思うと、「まぁいいか」と思えます。泣きながら自分に「これもネタにするから」と言い聞かせる日もあります。こういった考えのおかげで、私は昔より楽観的に生きることができるようになりました。

また、こう考えていくことで、挑戦することができるようになりました。いざ失敗しても、この経験が未来の私になるのならおいしい。

挫けないためにも、そして挑戦し続けるためにも、「経験を積むことが人間の使命なんだ」ぐらいの気持ちで構えていきたいです。


終わりに

このnoteを書いていたら、不思議と心が落ち着いて前向きな気持ちになれました。よかった。

NCGのみなさま、未熟者ですが私らしくがんばっていきますので、よろしくお願いいたします。


参考資料・文献

今さら聞けない「AI・人工知能」とは?
https://ainow.ai/artificial-intelligence-3/

『仕事のお守り』ミシマ社編