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女性側の「自衛と貞操観念」にばかり責任を負わせる性教育


①最新の性教育と、自分の学生時代の性教育の比較


私が小中高生の頃(2000年代)、保健体育で取り扱っていた性教育は、二次性徴、思春期の心と身体、避妊や性感染症についての基礎知識のみでした。

最近は性教育も、またネット上でも「セイシル」などの性教育系メディアが発達して、以下のような性と健康についての情報、または恋愛・性行為における実践的な知識を得ることができるようになりました。

・月経痛やPMSの対策

・LGBTQ(性的マイノリティ)

・性衝動との向き合い方(セルフプレジャー)

・性的同意の取り方

・コンドームやピルの使用法

・性感染症対策と予防接種

・(日本では未認可の)海外で使われている避妊法

・セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)

10代の青少年だけでなく、大人にとっても勉強になる内容です。

②「妊娠中絶のビデオ」を女子だけに見せる性教育

このように、性教育の内容は校風や時代によって差がありますが、先日「昔、掻爬法の妊娠中絶のビデオを見せる性教育があった」というXのつぶやきが話題になりました。

以下のような内容です。

これどう思う?
中学生の時に、確か女子だけ集められて
中絶のビデオを見させられたんだが、
胎内で子供の首を折って器具で
掻き出すってやつ……その後に

「中絶というのは人を一人殺す行為です。
女の子はそれを覚悟して性行為について
考えてください」って言われたけどさ、
女の子だけで妊娠はできないんですけど?

って思うのは自分だけ???

他にも、同じ内容のポストがありました。

日本の学校で行われる性教育が、
性行為をして妊娠しないよう脅す教育であり、
それが終生にわたる女性のトラウマになっているという話は有名

発達障害の男の子・女の子に対して、こういう仕事をしてはだめと先入観から脅すような教育も、将来その子を窮地に陥らせる可能性があるから慎重になりたい。

私自身は、中絶のビデオを見せられたことはありませんが、1954年生まれの母から、中絶のビデオを性教育で見せられた、ショッキングな内容なため体調不良者が続出したと聞いたことがあります。

ちなみに、私の同年代の友人の中にもそういったビデオを見せられた人もいます。

③女性側の「自衛と貞操観念」にばかり責任を負わせる性教育

私自身は、性教育で妊娠中絶のビデオを見せられたことはありませんが、ニュースの報道で「妊娠して相手に逃げられた女性が、トイレで赤ちゃんを出産し殺害」し逮捕されるという話をしばしば聞くため、

女性一人で妊娠はできないのに、なぜ相手の男性は罰されないの?DNA鑑定をして特定すべきでは?」と私も強く感じていました。

胎児の身体をバラバラにする中絶のビデオを、女子だけ集めて見せる性教育にも言えることですが、レイプや望まない妊娠のこととなると、女性の自衛意識や貞操観念にばかり責任を負わせているようなそんな気がしてなりません。

確かに、責任が取れない年齢での望まない妊娠を防ぐのであれば、「結婚するまで性行為はしない」のが有効かと思われます。

しかし実際は、妊娠中絶件数は未婚の若者よりも、既婚者の方が同等かそれ以上に多いというデータもあります。

40代の予期せぬ妊娠 中絶件数が10代よりも多いその背景とは

人間は生殖目的以外にもコミュニケーションとしての性行為を行う、それ自体は決して悪いことではないはずです。

ただ、簡単に薬局などで入手できる避妊具はコンドーム(避妊失敗率2〜18%)しかなく、ピルや緊急避妊薬を手に入れるのにさえ、手間も金銭的にも負担があるという改善すべき問題があります。

④自衛意識から、若い頃は恋愛を避け続けていた私

もし女性がレイプされれば「2人だけで飲みに行った女性側にも原因がある」と言われたり、
望まない妊娠をしたり、人工中絶を経験した女性は、貞操観念についてあれこれ言われる風潮もある。

そして、もし学生の頃に妊娠すれば中退に追い込まれるのは女性側だし、男性側にも責任があってもやり逃げ可能で、そういうとき往々にして「自衛が足りない」と責められるのは女性側ばかりのため、私は若い頃ほど恋愛を避けていました

若いうちは望まない妊娠などが怖くて、恋愛を避け続け、気づいたらアラサーに…
そういう女性は私以外にもいるのではないかと思います。


まとめ


今でもまだあるのかは分かりませんが、「女子だけ集めて、中絶のビデオを見せる」という性教育は、性行為に過剰な恐怖を植え付け、望まない妊娠の責任を女性の貞操観念や自衛だけの問題にすり替えてしまうという歪みを感じます。

女子だけでは妊娠できないのだから、女子に見せるなら男子も見るべきです。

そして、望まない妊娠による、中絶の残酷さを叩き込まれる前に、正しい避妊法、緊急避妊薬の入手法、性的同意の取り方など、教わるべき情報はもっとあるはずです。

若い頃の私は、自衛意識から恋愛を避け続けたり、トイレで赤ちゃんを出産・殺害した女性のニュースについて、女性だけでは妊娠できないのに、何で相手の男性はお咎めなしなのだとモヤモヤしていました。

1、日本におけるリプロダクティブライツに変化の兆し

それでも、ようやく最近、「緊急避妊薬を全国145の薬局で試験的に販売」というニュースを見かけ、日本社会における※リプロダクティブライツにも変化の兆しを感じます。

「緊急避妊薬」きょうから全国145の薬局で試験的に販売 処方箋なしでの販売ができるか調査研究

リプロダクティブライツ…妊娠、出産、中絶について十分な情報を得られ、「生殖」に関するすべてのことを自分で決められる権利。

2、海外における避妊の選択肢、若者の避妊への経済的支援

ちなみに、海外の避妊の選択肢や、経済的な事情から(特に若者が)避妊できなくなるのを防ぎ、支援するシステムは以下の通りです。

今後の日本におけるリプロダクティブライツがどう変化してゆくかは、これらの知識を踏まえながら、見守ってゆく必要があるなと感じます。

・多くの欧米諸国では、避妊具や避妊薬は安価で入手しやすく、日本では未認可の避妊パッチ、避妊注射、避妊インプラントなど、より安全な避妊法も普及している。

・特に若者に関しては、避妊薬や避妊具が無料になるなど経済的に優遇されている。

①イギリスでは緊急避妊薬も含め、避妊のためのピルやコンドームなどは年齢問わずほとんど無料。

②ドイツ、ベルギー、オランダ、ノルウェーをはじめとする欧州諸国では、10代の若者を対象に避妊が無料化されている。

③フランスでは、25歳以下の女性に対し、2022年1月から避妊薬や、避妊に関する医療機関での受診を無料にすると表明。(若い女性が経済的理由から避妊をやめることを防ぐため)

参考文献

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)とは

フランス、25歳未満の避妊無料に

避妊は自分らしく生きるための権利。#なんでないのプロジェクト・福田和子さんに聞く、日本にはないさまざまな避妊の選択肢

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